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私は、自衛隊が好きです。 高校時代、進路の選択肢に考えるほどに。 (並外れた体力のなさと、防衛大に入るほどの学力のなさに、早々に諦めましたが) 現在も、日々、ブルーインパルスの航空ショーの日程をチェックするほどに。 ブルーインプパルスが好きで、イージス艦が好きです。 でもこのことは、公言していません。 人を殺める乗り物を好きだということに、気が引けるからです。 でも『空飛ぶ広報室』を読んで、ガツンとやられました! 戦闘機は、人を殺める機械ではありません!! 人を、国を守るための守備なのです!!! 何でそのことに、気付かなかったのだろう。 これでは作中のリカと同じレベレね。 これからは、自衛隊好きを隠すことなく、ガンガン行こうと思います! 過ちに気付かせてくれた、本作品。 戦闘部門ではなく、広報室という、着眼点が非常に面白い作品です。 有川さん特有のベタ甘度は、弱冠低めですが、そこは有川さん! 自衛隊への愛に溢れています。 この作品を読めば、身近でない自衛隊が、近くに感じられること間違いなしです。 飛べなくなった航空自衛官、空井の咆哮。 自衛隊CM撮影中の、父親からの餞。 そして「あの日の松島」 もう涙なくしては読めませんでした。 私の中では、今年ベスト3に入る良書です。 そして何より…… これに尽きます。
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読書 《あ行の作家》
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妻を自殺で喪い息子を一人で育てるサラリーマン。 家族を捨て、後悔の念にさいなまれるラジオディレクター。 定年退職後、新たにタクシー運転手を目指す元トラック運転手。 前触れもなく彼から別れを切り出されたキャリアウーマン。 不況下で中小の広告代理店に入社し不安を覚える新入社員。 単調な日々の仕事にうんざりする契約社員……。 彼らの平凡な日常に舞い降りた小さな奇蹟とは? 感動作『約束』に連なる、現代の心の渇きを潤す短編集。 『約束』の続編のような短編集。 世相を反映してか、精神疾患に悩む人や、安定しない雇用形態に不安を抱く登場人物が多いです。 そのためか、『再生』をテーマにしながらも、どこか閉塞感が拭えません。 『約束』の方が泣けました。 けれども、泣けないのは年月を重ね、心が疲弊し淀んでしまった、私自身のせいかもしれません。 それでも『ミツバチの羽音』、『海に立つ人』、『東京地理試験』『火を熾す』、『出発』には、 心を動かされました。 『ミツバチの羽音』 横の繋がりを持たない契約社員達が、ノルマをこなすため、 ひたすらキーボードを叩く音は、ミツバチの羽音に似ている。 転職の希望どころか、現在の仕事の存続すら危うい現実。 苛立ちの中、鬱陶しく距離を縮める、隣のおばさん。 そのおばさんに、障害を持つ息子がいることを偶然知ります。 息子の待つ家に、おばさんを一刻も早く返すため、 他人の仕事を手伝ってはいけないという会社の決まりごとを、主人公は破ります。 誰かを思う気持ちが憤る心を生み、優しい行動を起こさせる、 胸に沁みるお話です。 『海に立つ人』 季節外れに訪れた沖縄で、海の中に立ち、 白い粉を風に運ばせる、美しい女性。 その白い粉の正体に気づいた男は、強く女性に惹かれるようになります。 私自身、その白い粉の正体の気づいた時、背中がぞわりとしました。 『東京地理試験』 定年退職した男性が、タクシーの運転手として再出発するため、 東京の地理の試験に挑みます! 頑張る人の尊さ。 その人を支える、優しく深い愛。 素直になけるこのお話が、この本の中で、私は一番好きです(*^o^*) 『火を熾す』 定年退職をした男性の熾す火が、休職中の男性の心を奮い立たせ、 登校拒否の少年の心を、優しく包み込みます。 温かな焚き火の炎同様、心温まるお話です。 『出発』 自分と同じような安定した人生を送らせたいと願った父は、 息子に厳しく接し、勉学を強要ます。 結果、息子は父に反発し、大学にも行かず、逃げるようにして家を飛び出します。 遠くの地で就職した息子は、不景気で職を失い、 栄養失調になりながら歩いて戻ってきた翌日、父は早期退職を会社から迫られます。 永遠に続くと思っていた安定が揺らぎ、まっすぐに続くはずだった道が崩れた時、 父は初めて息子の気持ちを理解し、息子は父親の存在を認めます。 自分の努力だけではどうにもならない現実は、人事とは思えません。
それでも、前向きに生きようとする主人公に、希望と再生を感じました。 |
死が村を蹂躙し幾重にも悲劇をもたらすだろう―― 人口千三百余、三方を山に囲まれ樅を育てて生きてきた外場村。 猛暑に見舞われたある夏、村人たちが謎の死をとげていく。 増え続ける死者は、未知の疫病によるものなのか、 それとも、ある一家が越してきたからなのか。 村は死の中に弧絶している―― 忍び寄る死者の群。 息を潜め、闇を窺う村人たち。 恐怖と疑心が頂点に達した時、血と炎に染められた凄惨な夜の幕が開く。 殴ったら、確実に人が殺せそうな厚さの本です。 二段組。しかも字も細かく、上・下巻。 泣ける話だと聞いていたので、いつかは読みたいと思っていたのですが、 このボリュームに、中々手が出せずにいました。 けれども、アニメ化されると聞き、その前に原作を読んでおきたいと思い、 思い切って、図書館で借りました。 登場人物は、150人超え。 メモを取りながら読むといいという意見もあったので、 私は、最初の方は、ウィキペディアを開きながら読みました。 (この読み方の悪い所は、物語の先が分かってしまうという事です ^^;) 冒頭は、外場村の住人達の日常と思い、人間関係が描かれ、 話に起伏はなく、はっきり言って、退屈です。 でも、100頁を過ぎた辺りから話が動き出し、俄然面白くなります。 死んだ人間が起き上がり、「屍鬼(しき)」となって村人を襲ってゆきます。 これだけ書くと、屍鬼=悪となってしまいますが、 屍鬼は、生きるために人間を捕食し、その血を吸います。 これは、生きるために、私たちが豚や牛を食べるのと、何ら変わりはありません。 逆に、食べるために牛や豚という「命」を飼育する人間の方が、 必要な分だけを自らの手で捕食する屍鬼より、残酷な気がします。 屍鬼の存在は、決して悪ではありません。 人を捕食する生物が、この世にもいた。 ただ、それだけのことです。 けれども、私は人間です。 自分が狩られるのは嫌ですし、屍鬼は恐ろしいです。 物語の中に、医者の尾崎敏夫と、住職の室井静信という二人の男性が登場します。 屍鬼の存在に気づいた敏夫は、悪と考え、退治する方法を懸命に考えます。 対して静信は、屍鬼の存在を容認し、共存の道を考えます。 荒々しい敏夫より、穏やかな静信の方がいいなと思いながら読んでいました。 けれども、屍鬼を狩ろうとする敏夫に反対し、擁護しようとする静信が、 私にはどうしても理解出来なくなり、敏夫の方が良くなりました。 家族や友人を殺されて、それでも屍鬼を許そうとする静信の精神構造が、 私には分かりません。 静信が、屍鬼を守ろうとすればするほど、私には、 生き残るために屍鬼を狩らなければならない現実から、 ただ、逃げているだけのように感じられてなりませんでした。 屍鬼を、人類の敵とみなすか。 屍鬼を、人と同じ捕食者として受け入れるか。 敏夫に近くなるか、静信に近くなるかによって、物語の読み方は、 随分と変わってくると思います。 静信の言うことは、正しい。 正しいからといって、我々は、黙って捕食されるわけにはいかないのです。 この物語の中で、一番可愛そうなのは、屍鬼となった人々であり、 それに気づいた子供達です。 一番最初に、屍鬼の存在に気づき、立ち向かっていった夏野。 自分の意見を決して曲げない、自己中心的にも思える夏野が、 友人の徹が起き上がり、自分を襲ってきた時、その存在を許します。 敵だと思っていながらも、かつての親友を退治出来ない夏野の姿に、 人間の本質を見たような気がして、その心に、泣けました。 簡単に、敵と味方に分けることの出来ない、 読めば読むほど迷いの深くなる、考えさせられる物語です。 この言葉が、この物語の全てであり、人という者の業なのかれません。
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「歌姫」の能力を持つのは女性のみ。 生まれ乍らにその身は国に捧げられており、彼女達が歌い続ける限り国は平安を保つ。 そんな中、禁忌である男の「歌姫」が存在して…!? 彼を巡って、悲しくも優しい物語が紡ぎだされる。 心の友、Mさんが、大分以前に、お薦めされていた本です。 ずっと気になっていたのですが、貧乏と積読本の多さに中々手が出ず、 先日やっと、購入・読むことが出来ました。 表紙と記事を読んで、「どんなに繊細で儚げな男の子なんだろう」と、 一人妄想していたカインですが、想像に反して、口達者で賑やかな男の子でした(^_^;) でも、心は繊細だと思います。美しい、顔立ちも♪ 男の国王が国を治め、女の歌姫が国を守る世界。 女王など生まれるはずもなく、男の歌姫など存在するはずのない世界で、 国王に女子が、歌姫に男子が生まれます。 自分が歌姫の資質を受け継いでいると知らないカインは、 歌姫として育てられたマリアを、歌姫に寄生することで存続を図る村人達から、 必死に守り、遠ざけようとします。 そんな二人に、損得抜きで友として、優しく接するトーマス。 その純粋な優しさすら、カインは拒もうとします。 トーマスに恋するマリアは、そんなカインを、煩わしく感じるようになります。 歌姫ではないのに、必死に歌姫であり続けようとした、マリア。 マリアを守るという名目で、自分の居場所を作ろうとした、カイン。 マリアへの思いと、村長の息子としての立場に板ばさみになる、トーマス。 「歌姫」というしがらみと、決して融合しない、それぞれの思いが切ないです。 カインもトーマスも、優しいと思います。 マリアは、女の子としての一番嫌な部分が出ていて、ちょっとずるいです。 けれども、そのずるさは、同性として、良く分かります。 良く分かるだけに、ちょっと嫌いかもです。 トーマスの優しさが際立った、本作品。
一番のお気に入りは、北の歌姫、エマです。 すっきり、さっぱり、まっすぐのエマを、優柔不断の私は、 尊敬と憧れで見てしまいました。 エマ、大好きです(*^o^*) |
小劇団「シアターフラッグ」 ――ファンも多いが、解散の危機が迫っていた…そう、お金がないのだ!! その負債額なんと300万円! 悩んだ主宰の春川巧は兄の司に泣きつく。 司は巧にお金を貸す代わりに「2年間で劇団の収益からこの300万を返せ。 できない場合は劇団を潰せ」と厳しい条件を出した。 新星プロ声優・羽田千歳が加わり一癖も二癖もある劇団員は十名に。 そして鉄血宰相・春川司も迎え入れ、新たな「シアターフラッグ」は旗揚げされるのだが……。 有川さんの文章はストレートで、とても読みやすいです。 「赤」は「赤」、「痛み」は「痛み」として、真っ直ぐに伝わってきます。 それは多分、エンターテーメントを意識しているからだと思います。 文中にも、玄人に認められる作品よりも、万人に受け入れられる作品を、 劇団は志すべきだと書いています。 その考えは、そのまま有川さんの考えだと思います。 難しい言葉を綴り、文学的要素を散りばめた、 詩的な小説も素晴らしいと思います。 でも、そういった作品は、得てして難解だったり、 作者の意図するものがつかめなかったりします。 けれども、ライトノベルといった分野は、 その名の示すとおり、軽いと言われていますが、 徹底的なエンターテイメントに則した分野だと思います。 勿論、どちらが正しいというわけではありません。 それぞれが、それぞれの分野で、それぞれに語ればいいのです。 ただ軽いから、文学的ではないからといって、 大衆的要素のある作品を一蹴するのは、非常に愚かであり、 危険な思想でだと思います。 伝統ある歌舞伎が栄えるように、大衆演劇もまた、 人々に支持され、深く愛されているのです。 エンターテイメントについて、改めて考えされれた、今作品。 裏表紙のあらすじを読んで、「司さん、好きかも!」と直感しました。 読んでみて、その直感には間違いはなく、「金は正義!」と叫ぶ司さんに、 大きく頷きながら読みました。 お金は価値を表すバロメーター。 素晴らしい物には、価値として、高い値段が付きます。 それが、良いか悪いかは別として、その物の価値を知る、 一つの判断基準となるのは確かです。 お金が全てではないけれど、お金がなければ全てが始まらないのも、 また事実です。 愛や夢では、お腹はいっぱいになりませんからね。 今回の作品の中には、ベタ甘はありません。
でも、何だかんだ言いながらも、弟が可愛くて仕方がない兄と、 兄に全幅の信頼を寄せる弟の間にある愛情は揺るぎないもので、 男女間に存在する愛よりも強く、ほっこりした気持ちになります(*^o^*) |





