舞姫たちへの片恋文

ストリップの舞台と舞姫への思いを綴ります。速報はTwitter「@st_kangekisya」で。

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 今公演は、後述のように「TEARS」から振り移された景も多く、通常であれば「TEARS 2nd」という位置づけの公演である。フライヤーデザインなどからも、その様子は読み取れるが、それでも公演名を「LAST SCENE」と変えたのは、言うまでもなく伊沢千夏さんの引退公演であることを強く意識しているからに他ならない。

 伊沢千夏さん。2007年11月21日、浅草ロック座でデビュー。“薔薇”の花にたとえられる気品と、柔らかく繊細、それでいて存在感のある演じぶりで、“浅草トリシスターズ”の一員として「浅草」のトリを11年にわたって務め続けてきた。ある時期の「浅草」では、小澤マリアさんと「1st」「2nd」のリレーを行なうことが多く、その個性と演じぶりの違いが振り移し景にどのように反映されるか、毎回楽しみに拝見させていただいたことを思い出す。

 その伊沢千夏さんの「LAST SCENE」は「TEARS」同様、ダンサーズ出演なし、舞姫のみ9人による香盤であることに加え、開演時刻を12時30分へと30分繰り上げ、1公演10景(フィナーレ含む)で約2時間15分というボリュームでの一日4回公演と、異例ずくめの公演になっている。カウントダウンに向けて走り始めた初日4回目を観劇。


【1景=早瀬ありす/The Sound of Music】
1景は伊沢先生に交代しての振り移し景。
「ド」のハイジは背の順で早瀬が“音階振り”からブランコも実に楽しそうに演じ進めていく。
本舞台奥で胸元や裾をフリルが飾る白のひざ丈ベッド着に替えた早瀬が、伊沢に連れられて前盆へ。

伏せた姿勢で「さよなら」と手を振って伊沢先生と別れ、音楽を渡る。
ベッド前半、「チューリップ」の形から座り姿でのゆっくりとした手の振りを経て、上体を前後に振り動かし、
片ひざ立てであお向けに寝ると、上体を起こしての座り姿から両手を広げ上げ、
両ひざを抱えて浮かせた姿で音楽を渡る。
音楽が変わってのベッド後半では、座り姿での手の振りから「片ひざつき片足横伸ばし」に起き上がり、
ついで上体を前屈で接地させる動きを経て「横開き」や「片ひざつき片手片足振り上げ」のポーズを切り、
両ひざ立ちから「片ひざつき片ひざ立て片手差し上げ」のポーズを決めて立ち上がる。
花道まで引くと振り向いてから、一気に移動盆へと駆け戻り、
移動盆に腰を下ろしてベッド着を肩から下ろすと、
立ち上がっての両手の大きな振りから一礼の後、片手を伸ばして銀幕の後ろへ。


【2景=瀬能 優/Romeo and Juliet】
「TEARS」4景が移設され、瀬能ジュリエットと香山ロミオで、
カーテンのセットも引き継がれた中、切ない愛のツインダンスを待っていく。
音楽終わりで眠りについたジュリエットを残して、音もなくロミオが引いていくと、
音楽が変わって瀬能が立ち上がり、1曲目の衣装のまま本舞台にて柔らかい動きで舞いつつ前盆へと進む。

ベッドでは、立ち姿でしなやかに動きつつ、ひざつきに姿勢を下げて腰を下ろすと音楽を渡る。
音楽が変わると、座り姿での手の振りから、腰をついてクルリと回ってみせ、
ついで上体を後傾させての片足交互振り上げなどで動いてから、
両足旋回であお向けに倒れると、片足を交互に漕ぎ上げてみせる。
「片ひざ曲げ片足後ろ伸ばし」で上体を起こし、再び伏せてと動き、
身体を返すと両ひざ立ちからの大きな手の振りを見せて立ち上がる。
後ずさりしながら花道を戻り、花道で立ち止まると、一礼の後、舞いながら本舞台まで戻り、
後ろ立ち姿で衣装を下ろし、両手を振りかざしての立ち姿で銀幕の陰へと姿を隠す。


【3景=藤咲茉莉花/二人鷺娘】
2014(平成26)年11-12月公演「ファンタジア 2014」4景で「1st」沙羅/「2nd」長谷川凛が演じた
“鷺娘”の景を、二人景に再構成して再演。
(「【浅草】「ファンタジア2014 1st」2日目レビュー」「【浅草】「ファンタジア2014 2nd」レビュー」参照)

銀幕が開くと、白のお引きずりに白綿帽子、黒地に金の箔が押された帯を締め、
白と灰色がぼかしになった和傘を差した藤咲と伊沢が、はらはらと紙吹雪が舞い落ちる中、
傘を差し、やがて閉じて置き、動きを合わせてのしっとりとした日舞の二人舞を演じていく。
音楽途中で上手袖、下手袖にそれぞれ引くと、綿帽子を取って髷にしごきを巻いた和鬘、
黒襟で赤や桃色のお引きずり姿に早替えし、しとやかな二人舞をさらに舞っていく。
音楽終わりで下手袖に引き、和鬘はそのままに、
白レース腰巻に白レース長襦袢風ベッド着を羽織った姿に替えた藤咲が歩み出て、
静かに舞いつつ本舞台から花道まで進み、両肩脱ぎでの後ろ立ち姿で音楽を渡る。
邦楽女性ボーカル曲に音楽が変わると、しっとりと舞いつつ花道を歩み出し、
花道先端でいったん立ち止まってから前盆へと歩み入る。

ベッドでは、立ち姿から腰を下ろし、身体を横に流しての手の振りから
「片ひざつき片足横伸ばしでの両手振り上げ」で動いた後、
腰をついての手の振りで進め、「L」のポーズをゆっくりと切って立ち上がる。
前盆にて一礼の後、移動盆を歩いて追い掛け、腰掛けたところからベッド着を後ろ手に広げながら立ち上がり、
肩から下ろしつつ振り向くと、横向きで片ひざを曲げた立ち姿を作っての暗転。


【4景=牧野れいな/銀河鉄道の夜】
生朗読と“金色・銀色トロロコンブ”の不思議な衣装は、牧野・赤西コンビに振り移された。
初日はさすがに緊張の様子が見える牧野であったが、これからこなれていくことを期待したい。
金銀のツインダンスから銀幕が閉まって音楽が変わると、
黒のシースルーフードマントを羽織り、両手首に光るリストバンドを着けた姿に替えて、
下手袖から中央、花道へと進み、上手向きに腰を下ろして展開した後、
花道先端にて、ゆっくりとした手の動きで舞って音楽を渡る。

音楽が変わると前盆へと一気に進み、
立ち姿から腰を下ろすと、フードを下ろして黒ラメの腰飾りを見せつつ舞い、
「スワン」と「片ひざつき片手差し上げ」のポーズを切ってみせる。
ついで両ひざ立ちに起き上がってベッド着の前を開くと、「片ひざつき片ひざ立て上体反らし」のポーズを決め、
両ひざ立ちでの上体の振り動かしを経て、あお向けでの片足交互振り上げで動いてから、
上体を起こしての座り姿の後、もう一度「スワン」のポーズを切っていく。
両ひざ立ちでの手の振りから立ち上がり、前盆にて一礼、
ベッド着を後ろ手に広げながら本舞台へと戻ると、銀幕前にて片手を差し上げてのラスト。


【5景=赤西 涼/もののけ姫】
景タイトルが若干変わり、“赤西サン”もフェイスペインティングはなしにして、
白布が荒ぶる4人と交わり離れつつ緩急自在の舞を本舞台いっぱいに力強く動きつつ舞っていく。
音楽が変わると、本舞台中央奥にて白ラメロングスカート姿に替え、
移動盆に乗っての立ち姿で4人の間を抜けて舞い進む。

花道途中から歩き出し、前盆へと進んでのベッドでは、両ひざ立ちに姿勢を下げると、
手の振りで進めてから腰をつき、身体を横に流した姿勢から、
片ひざ立ての座り姿や両ひざ立ちでの上体反らしなどで進めていく。
身体を横に流した姿勢からの両足旋回を経て
「片ひざつき片足斜め振り上げ片手差し上げ」のポーズを長い滞空時間を掛けて切って見せると、
「片ひざつき片足横伸ばし」での手の振りから「スワン」のポーズを決め、両ひざを抱えた座り姿で音楽を渡る。
音楽が変わるとゆっくりと立ち上がり、速歩で前盆を出ると、花道先端で立ち止まって舞った後、
深い森を思わせる緑の照明を背景に、移動盆に乗って片足を前に流し出した立ち姿での手の振りから、
スカートを外して抱き上げ、両手を広げての立ち姿で銀幕の陰へと姿を隠していく。


【中休憩】
中休憩映像は、一足早く来年の正月公演「艶 en」の出演者紹介へ。

   ■木葉ちひろ/宣材写真+プロフィール
   ■雪芽さゆり/2018年9-10月公演「Once Upon a Dream 1st」2景「ヘンデルとグレーテル」
   ■中条彩乃/2018年7月公演「STEPS ON BROADWAY 2nd」3景「LITTLE SHOP OF HORROS」
   ■鈴木千里/2017年11月公演「夢幻 The Tale of Genji 2nd」4景「六条御息所」
   ■空まこと/2018年10月公演「秘すれば花 第1期」2景「雪」
   ■沙羅/2018年10月公演「秘すれば花 第1期」4景「船弁慶」
   ■南まゆ/2018年7-8月公演「ERATH BEET 2018 JUMP 1st」7景「狐の嫁入り」

 この後「マナームービー」の中にスペシャルコンテンツとして内包される形で「伊沢千夏 2019 カレンダー」のCMや、伊沢千夏引退公演の制作過程を追いながら、本人や共演者などのインタビューで構成するドキュメンタリー「伊沢千夏 ラストシーン」が上映される。そして映画「ボヘミアン・ラプソディ」が大ヒット中のフレディ・マーキュリーにちなんで、川菜が「光るリストバンド」のCMで盛り上げて後半景へ。


【6景=川菜ひかる/We Will Rock You】
2013(平成25)年10-1月公演「DOLLS」5景で「1st」鈴木茶織/「2nd」美咲遥が演じた
“セクシーティーチャー”の景を再演。
「【浅草】「DOLLS 1st」初日レビュー」「【浅草】「DOLLS 2nd」初日レビュー」参照)

下手奥に黒板、上手側には学校机といすが置かれ、
白ブラウスに青リボン、チェックのミニスカート姿で、ややダラケ気味の生徒4人が座る。
上手袖から黒縁メガネを掛け、白シルキーブラウスに黒のタイトミニスカート姿の“ティーチャー川菜”が登場。
黒板に毎回異なる一言を板書した後、生徒たちとともに、
本舞台から花道に広がってのアクティブでワイルド、そしてちょっとセクシーな群舞を展開していく。
音楽が終わりで決めると、川菜が上手袖から脚が短く切られたスタンドマイクを持ち込み、
伊沢の録音音声による「みなさんご一緒に!」の後、「レロレロ」でおなじみのコール&レスポンスを
腕を振り上げての振りつきでリードし、場内を巻き込みながら盛り上げてみせる。
音楽が変わり、生徒4人が横一列に並んで手拍子を打つ中、川菜がマイクスタンドを上手袖に置きに行き、
銀幕が閉まると、川菜は花道まで進み、白ブラウスを脱いで振りかざしながら前盆へと入る。

ベッド前半、前盆にての立ち姿でブラを外し、
両ひざ立ちでスカートをまくり上げて腰を下ろすと「L」のポーズを切って見せる。
ついで片足を交互に振り上げつつあお向けに倒れ、ついで上体を起こすと、
身体を返しての四つん這いから両ひざ立ちでスカートを下ろし、
腰をついての片足交互振り上げなどで動いていく。
さらに両ひざ立ちでのハンズアップと手拍子で場内を煽り、「片ひざつき片手差し上げ」のポーズを決める。
腰をついての片足交互振り上げや「片ひざつき片足横伸ばし」の姿勢から、
ハンズアップと手拍子をリピートすると立ち上がる。
花道をステップを切りつつ戻り、音楽終わりに合わせて本舞台中央にての片ひざつきから
「片ひざつき片手差し上げ」のポーズを決めると、
演奏後の歓声に応えるように手を振りつつ下手袖へと走り去っていく。


【7景=雨宮衣織/フラガール】
レインボーカラーの折り鶴7羽が飛ぶ下で、
雨宮をセンターに藤咲と伊沢が脇を固めるフラガール3人衆が見せる
手の振りや身体の動かし方などの「柔らかさ」「滑らかさ」は絶品。
音楽が変わって2人が下手袖に引くと、
雨宮は、本舞台中央奥で裾をスカイブルーのフリルが飾る白ドレス風ベッド着に替え、
下手から花道で裾を広げつつ展開しながら歩み出て、前盆へと進む。

伏せた姿で音楽を渡り、音楽が変わってのベッドでは、ゆっくりと上体を起こしてベッド着の前を開くと、
曲げ立てた片ひざを抱えるような姿勢から、「片ひざつき片ひざ立て両手差し上げ」のポーズを切って見せる。
両ひざつきでベッド着を束ねるように抱えてから、腰を下ろしての手の振りを経て、
「片ひざつき片足横伸ばし」で上体を後傾させる動きを見せて立ち上がる。
前盆にてベッド着を振り広げてのターンを披露した後、青い折り鶴が乗る移動盆を追い掛け、
ツルを手にして移動盆に乗ると、大事に両手でツルを持ち、
ついで片手で持ち上げながら立ち上がってから、ツルを差し上げながらの立ち姿で暗転。


【8景=香山 蘭/Chaplin Speech】
前公演「TEARS」の沢村からの振り移しで、
カウントも取れないような「演説」に合わせての一人舞という“難景”に挑むのは香山。
軍帽風のキャップをかぶり、軍服風トップスに黒のショートパンツ姿にて、メリハリのある大きな振りで舞い進め、
音楽終わりで前盆へと進んで、両手を差し上げた姿で音楽を渡る。

音楽が変わってのベッド前半、立ち姿でトップスの前を大きく広げてから腰を下ろし、
頭を抱えるような振りから両手両足をゆっくりと振り上げ、ついであお向けに倒れると、
再び起き上がって片手を差し上げ、両ひざを曲げ立てた座り姿での手の振りを見せてから、
両ひざの上に頭を預けた姿勢で音楽を渡る。
ベッド後半では、両ひざ立ちにて顔を両手で覆うようにしてから立ち上がり、いったん本舞台に戻ると、
トップスを本舞台下手袖に放り投げ、下手ツラに座ってブーツも脱ぐと、大きく舞いつつ再び前盆へと進み、
腰をついた姿勢から「3点支持」や「横開き」「片ひざつき片足片手振り上げ」のポーズを切って見せる。
そして「片ひざつき片ひざ立て」の姿勢から立ち上がり、大きく舞いつつ花道まで戻ると、
下手向きで「片ひざつき片足振り上げ」、上手向きで「片ひざつき上体反らし」、立ち上がってレイバックを決め、
本舞台に戻ると下手、上手へと大きく展開した後、ラストは銀幕前の本舞台中央にて、
両手を組んで突き上げた立ち姿で締めくくる。


【9景=伊沢千夏/La Vie en rose】
大きなピンクのバラの花で飾られたいすの前に、
淡いピンクのつば広帽子に淡いピンクのロングドレス姿でロンググローブを着け、洋扇子を構えた伊沢が立ち、
その周りを、バラの花が首から胸を取り巻き、淡いピンクのミニドレス姿の7人が囲む中、
伊沢が優雅に扇子を扱いながら、まるで“動く花束”に包まれたかのような群舞を舞っていく。
音楽が変わると7人がいったん下手袖に引き、伊沢がおもむろにロンググローブを外し、
ついでロングドレスも脱いで抱えながら下手袖へと外すと、
白トップスにピンクのグラデーションが入ったティアードロングスカート姿に替え、
コインアクセサリーが輝くピンクのマラボーを身体の後ろを通して両手に架け、本舞台中央へと歩み出る。
音楽が変わると、ピンクミニドレスにピンクマラボーを抱えた7人が再び加わり、
“いなつスマイル”を浮かべながらの伊沢とともに、
ステージがピンク色で埋め尽くされたようなエレガントな群舞を展開していく。
マラボーを大きく広げてのフォーメーションで音楽を渡ると、
伊沢がマラボーをいすに置いてから、本舞台中央前方へと一人歩み出て、
7人が見守る前で、柔らかく優美なソロダンスを披露してみせる。
そして7人が本舞台後方高段上から、前にいる伊沢に花びらのフラワーシャワーを浴びせて音楽終わりを決め、
音楽が変わると7人は下手袖へと引いていく。
本舞台中央奥で伊沢が、袖から2人がサポートで運んできた桃色お引きずり風ベッド着に替えると、
移動盆に乗って、いすとともに進み出る。
右手を顔に添えるような形を見せると立ち上がり、前盆へと歩み入る。

ベッド前半、立ち姿から腰を下ろし、身体を横の流した姿勢をとると
「片足斜め振り上げ片手斜め差し上げ」のポーズを切って見せる。
ついで後ろ手をついての座り姿で両足を振り上げる動きから上体を起こし、
身体を横に流した姿勢を経て、伏せた姿で音楽を渡る。
音楽が変わってのベッド後半では、ゆっくりと上体を起こすと、身体を横に流して左手を顔前に差し上げてから、
座り姿でのゆっくりとした手の振りの中、前盆がジャッキアップしていく。
片足をわずかに前盆から出しての座り姿で優美に動くと、
「横開き」から「片ひざつき片足片手振り上げ上体反らし」のポーズを決めていく。
前盆が下がり、両ひざつきでベッド着を腕に通すと立ち上がり、一礼の後、
ベッド着を後ろ手に広げながら移動盆へと歩み乗ると、身体をS字にひねった後ろ立ち姿から、
ベッド着を肩から抜き、片手を差し上げての立ち姿で銀幕の陰へと姿を消していく。
ほの明かりを残したまま、音楽が変わって再び銀幕が開いてのカーテンコールでは、
白の腰巻に襲の色目が襟や裾を飾る平安風長着を羽織った姿に替えて登場。
本舞台中央から上手、下手へと再びの舞姿を披露していく。
ついで花道まで舞い進んで本舞台へと戻ると、上手、下手でしっかりと場内を見詰めながら舞い、
中央で胸前に手を合わせての一礼の後、上手側で花束の贈呈を受ける時間を持つ。
その後、下手から再び花道を進んで、一礼。大きな拍手の中、本舞台へと歩み戻ると、
そのまま後ろ立ち姿で閉まる銀幕の陰へと消えていく。


【フィナーレ】
「693」と書かれた腕章を着けた車掌役とメンバー紹介MCは、5景とともに赤西が務める。
“白のメーテル”7人、後から“黒のメーテル”伊沢が加わっての9人で、
本舞台から花道、前盆へと展開しての群舞から、ラストは階段状に作られた枕木のセットに上り、
オペラ幕が閉まる中、赤西車掌の「ハルレヤ、ハルレヤ」の声で締めくくる。


【本休憩】
今公演は本休憩といえども休めない。まず「Memories of Chinatsu Izawa」と題して、伊沢千夏さんの「浅草」のステージを映像で振り返る。「2012-2015」と「2016-2018」の2部構成。最後に「デビュー 2007/11/21-2018/12/30 引退」の文字がシンプルに、しかし重く浮かぶ。

さらに「浅草ロック座 2018 総集編」として、今年の各公演のフィナーレをダイジェストで振り返る。映像をきっかけに、様々な思い出や感動のシーンを振り返るひとときとしたい。


(敬称略・観劇日:2018(平成30)年12月11日(火))
 年末公演第一弾として、舞姫9人による4回公演の特別編成で演じられてきた「TEARS」もいよいよ楽日。最後の土・日を連続で「大入り」にし、次公演への橋渡しの役目も十分に成し遂げた安心感からか、3回目途中に入場すると、立ち見客もいるものの空席も目につく場内となっていた。

 しかし、立ち見がずらりの超満員はもちろん文句なしだが、この日のような場内の時こそ「一体感」や「達成感」がシンクロしやすく、それがステージにもいい作用をもたらすケースがあることを何度も経験してきた。果たしてこの日も、特に最終回の演者のみなさまの入り込み方、そしてそれを受け止めようとする観客側の空気感は、そうそうは観られない特筆に値するものであった。そんな中に身を置きながら、3回目中休憩後からラストまでを観劇。


<楽日じゃんけん大会>
 この日の「じゃんけん大会」も、“朗読・ピンスポ・じゃんけん”担当でおなじみのM会長は登場せず、“サクサク進行”がウリの若手M氏が担当。しかし若手M氏の弱点は、賞品の紹介が“雑”な点にある。今回も「いくつか賞品不明」のまま、じゃんけんが挙行される事態が発生している。そこのところは次回以降、よろしく願いたいものである。

   ■無料招待券×2名
     「チ」→「チ」→「パ」→3名直接対決→★2名決定

   ■公演ポスター(サイン入り)×1名
     「チ」→「グ」→「グ」→2名直接対決→★1名決定

   ■1景・前田画伯から「直筆現代アート・2周年作衣装を着た(等身大)人形と何か」×1名
     「グ」→「パ」→「グ」→3名直接対決→★1名決定

   ■3景・ゆきなさんから「役作りのために読み込んだ『銀河鉄道の夜』」×1名
     「パ」→「チ」→「グ」→「グ」→全滅→直前までの勝者復活→4名直接対決→★1名決定

   ■4景・清水さんから「香水」×1名
     「チ」→「チ」→「パ」→3名直接対決→★1名決定

   ■5景・星崎さんから「『サン』になりきれるセット」×1名
     「パ」→「グ」→「チ」→3名直接対決→★1名決定

   ■8景・沢村さんから「ピアスほか」×1名
     「パ」→「パ」→「パ」→「チ」→★1名決定

   ■9景・真白さんから「8周年ハンドタオル・サイン入り写真」×1名
     「グ」→「チ」→「パ」→「チ」→全滅→直前までの勝者復活
     「グ」→★1名決定


<各景ひとことレビュー>
【1景=前田のの/サウンド・オブ・ミュージック】
「サウンド・オブ・ミュージック」と「アルプスの少女ハイジ」のハイブリッド景として、
ほのぼのしたスタートから、キュートな容姿とミニサイズの身の丈をうまく結びつけて
トップバッターとしての「ド」の役割を演じてみせてくれた。
まろやかな演じぶりと、きっちりとしたポーズの数々で構成する
ベッドや立ち上がりのステージングにも拍手を贈りたい。
最終回では、少年少女がみんなつながっての“電車ごっこ”で登場して場内の笑いを誘う。
「仲良く、楽しく」の景イメージに留まらず、演者の間に結ばれた絆を見事に体現したシーンだったように思う。


【2景=小室りりか/冥途の飛脚】
心中物に込められた切ない感情を“人形振り”という枠の中で見事に描いて見せてくれた。
ベッドや立ち上がりで、歌詞の世界をしっとりと描き出す演技も、さすがの貫禄。
さらにバックで入った景でも、ベテランが加わることによる安定感と、
そこで漂わせる静かな存在感で大いに楽しませていただいた。
最終回は、これまでにも増して感情がこもった迫真の“人形振り”に圧倒、
さらに、まるで浄土を行くようなベッドでの浮遊感は、さすがと言うほかない。


【3景=ゆきな/銀河鉄道の夜】
代々の演者が苦労してきた生朗読によるダンスパートを、
豊かな音声表現と身体表現で、懐かしさとともに新たな銀河鉄道の世界を作り上げてみせてくれた。
ベッドや立ち上がりでも、ゆったりとした動きの中に
メッセージ性を込めた演じぶりが印象に残るステージであった。
最終回も“金”と“銀”の息はぴったり。
そして戻りの移動盆では、押さえていた感情が涙となってあふれ出る。
そんな中で、歌詞に合わせて「祈っている」とつぶやく姿は、実に感動的なシーンとなった。


【4景=清水 愛/ロミオとジュリエット】
「浅草」でもおなじみのモチーフを、沢村とのツインダンスで物語性も豊かに演じてみせてくれた。
ソロパートでも、滑らかに動き続ける“愛ムーブ”に加え、
正確無比、かつ目にも止まらぬ速さで舞い、ドラマティックな振りで引きつけ続けるステージは
一瞬たりとも目を離すことを憚られるような迫力であった。
最終回、眠りについたジュリエットの頭に、軽く手をやって立ち去るロミオの姿が切ない。
そして“ドラマティック・マナ”は、最後まで悲劇的な愛の世界を描ききってみせてくれたのだった。


【5景=星崎琴音/サン】
強い意志を持った主人公を、堂々とした舞いぶりと「目ヂカラ」で迫力たっぷりに演じてみせてくれた。
特に「目ヂカラ」は、これを感じさせてくれる方を久しぶり拝見したように思う。
ベッドでも、厳しくも優しさを感じさせる大きくて伸びやかな演じぶりで、
「新トリシスターズ」の一員として蓄えつつある力を感じさせる、見事な中トリであった。
荒ぶる自然とともにあり続けた姫は、最後まで気高く舞い、
そして最後は静かに緑の森へと帰っていったのだった。「お疲れサンでした」


【6景=椎菜アリス/こびとの楽園】
デビュー2週目で臨んだ「浅草」の大舞台であったが、
そのハードルを伸び伸びとしたステージングで越えてみせたことに拍手を贈りたい。
ベッドも、初々しさを漂わせながらも、きちんと形にして演じる力を持っていることを感じさせるもので、
今回の経験が今後のステージにどのように生かされ、伸びていくのかが、とても楽しみである。
そして初乗りの総決算の群舞は、笑顔を浮かべて演じ、ベッドへ。
その労をねぎらうかのように4方向リボンが前盆上空に飛んだ後の立ち上がり、
本舞台に戻ると、上手、下手でそれぞれのリボンさんに一礼をする余裕と律儀さ、
その姿勢にも深く感心した次第である。


【7景=西園寺瞳/フラガール】
南の島のゆっくり流れる時間の中で育まれたフラの雰囲気に、
西園寺のほんわかキャラが、ピタリとはまった感のある本景。
その中にも、戻りの移動盆で、差し上げた白花を落とし、
歌詞に合わせて再び拾い上げるストーリーテリングには唸らされた。
最終回も、ほんわかと温かい空気感をそのままに演じるトリオは、暖かい風を届けてくれるようで、
“ひとみたん”の持ち味が存分に生かされた心癒やされる演じぶりに、心からの感謝を申し上げたい。


【8景=沢村れいか/チャップリンの演説】
世界的に有名はスピーチに乗せて一人で舞うというチャレンジングな景に、
真正面から取り組んでみせてくれた姿が、実に清々しいものになった。
テクニックのみならず、気持ちでまっすぐに表現する舞台を拝見させていただいたことに深く感謝したい。
特に最終回は、名演説に負けない感情をほとばしらせながらのソロダンスの気合いは、
場内も気圧されるほどであった。


【9景=真白希実/レ・ミゼラブル】
悲劇の女性を、圧倒的な群舞と、深い情感を持って演じるベッドで描いた本景は、
観るたびに深く引き込まれるようなステージとなった。
ベッドは、前半の静かに抑えた演技に場内は水を打ったように引き込まれ、
暗転後、大きく展開していくベッド後半では、息を呑む思いで見詰め続けることとなった。
唯一切ってみせるポーズがもたらすカタルシスは、鮮やかな読後感を残してくれたように思う。
最終回、前盆で流す涙は、役としてだけではない、真白の心からの感情の高まりの表れと筆者には見え、
大いに心揺さぶられる名シーンとなった。
そして8周年を祝う「8方向リボン」が、集大成のステージに華を添えてみせたことも付記したい。


<楽日あいさつ>
 最終回の星崎車掌は、オペラ幕が閉まる際、いつもの決め台詞ではなく「みなさん、ご一緒に!せーの!」と呼び掛けた。もちろん場内から「ハルレヤー!ハルレヤー!」のレスポンスが返って幕が閉まると、拍手はそのまま督促手拍子へ。カーテンコールの幕が上がると、MCのマイクを握るのは、8周年のステージを務め終えた真白。

【真白希実】
「本日は浅草ロック座12月公演『TEARS』の千秋楽にご来場いただきまして誠にありがとうございます。
 みなさまのおかげで、メンバー全員で千秋楽を迎えることが出来ました。
 それでは景ごとにあいさつさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。」

【前田のの】
「1景を担当しました前田ハイジです。
 20日間、先生のマネをして、みんなと一緒にワイワイ出来て、すごく楽しかったです。
 でも先生に連れられて、裸ん坊にされて、とても恥ずかしかったんですけど、
 ハイジは次のステージに旅立ちます。その時には、私も靴が欲しいなと思いました。
 20日間、温かく見守ってくれて、ハイジをかわいがってくれて、ありがとうございました。」

【小室りりか】
「2景を演らせていただきました、小室ひろしこと(場内笑)小室りりかです。
 浅草はいっぱい乗らせてもらってますが、今回の『TEARS』っていう公演は、
 選曲がすごい素敵だなと思って、この構成や選曲を作っているプロデューサー、
 いつも変なブログばっかり書いてて、この人大丈夫かなと思ったんですが、今回本当に尊敬したいと思います。
 この公演、乗せていただいて、本当にありがとうございます。
 今回もお世話になりました。ありがとうございます。」

【ゆきな】
「3景を演らせて頂いたゆきなです。20日間ありがとうございました。
 この話を頂いた時に、すごく不安と…(涙)…やってやるんだという気持ちが交互にずっと来てて、
 私でいいのかとか本当に出来るのかとか…。
 でもゲネの時に『秘す花 2nd』に乗っていらした夏木りりか姐さんや、
 今週乗っているお姐さん方が袖から見守ってくださって、
 終わったときに『すごく良く出来ました』『よかったよ』と言ってくださって、
 本当に私はこの世界に巡り会えて、よかったなって、すごく幸せだなって思いました。
 私はまだまだ技術もないし、踊りもすごい下手くそだし、でも、もっともっと上手になって、
 お姐さん方のような素敵な踊り子になれるように頑張りたいなって、
 今回の公演で、もっともっと強く思うようになりました。
 本当にスタッフさん方や、この景を配役してくださった制作のみなさま、
 そして20日間見守ってくださったお客さま方、
 そしてこんな生意気でポンコツで気分屋で、泣いたり怒ったり、かと思ったら突然笑い出したりする私を
 いつも温かく見守ってくださったお姐さん方、後輩の子、本当にありがとうございます。
 また、もっとレベルアップして、この地に戻ってこれるように頑張りたいと思います。ありがとうございました。」

【清水 愛】
「4景を担当しました清水ジュリエットです。
 今回は『ロミオとジュリエット』ということで、ロミオに出会えて幸せでした。
 (「あたしっすか?」と首を伸ばす沢村ロミオに)(笑)…ちょっと違う人だったかもしれないんですけど(笑)
 このメンバーで最後まで演り切ることが出来て、とてもうれしく思います。
 最後まで見守ってくださったお客さまや、『TEARS』公演を制作してくださったスタッフのみなさま、
 すべてのみなさまに感謝したいと思います。この公演は、すごく心に残るものでした。
 これからも頑張りますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。」

【星崎琴音】
「5景を担当しました星崎サンです(場内笑)。
 今回もなかなか難しい景を頂いて、しかも初めての『1st』で、
 次に振り移しがあるというので、すごいプレッシャーがあったのですが、
 後輩のゆきなちゃんも…景の動画を実は頂いて、3景の、
 これを演るんですと、ずっと怯えていたゆきなちゃんを見ていて、私も頑張らなきゃいけないなと思って、
 今回も勉強になった浅草でした。
 壮大すぎて、どうやっていいかよく分からなかったんですが、
 普段演らないことを浅草でいつも演らせていただけるので、
 とても新鮮で、とても楽しく演らせていただいています。
 MCも初めてだったんで、『ハルレヤをハレルヤと言うなよ』というプレッシャーを掛けられて、
 でも、みんな『ハレルヤ』だと思っていたことが、すごくショックでした。
 そんなサンでしたが、とても楽しい20日間でした。ありがとうございました。」

【椎菜アリス】
「6景を担当させていただきました椎菜こびとです(場内笑)。
 ゆきな姐さんのインタビューから涙が止まらなくて…すみません。
 私はデビューしてからすぐの浅草だったので、ものすごい未熟で、いろんなことが出来なくて、
 お姐さん方にもすごいたくさん迷惑を掛けてしまったり、
 でもいろいろ思うところがあって、楽しいというよりも、
 最初は怖いなということがたくさんあったんですけど、
 こびとなので、楽しいを届けられる景にしたいと思って、最後は笑顔で出来たかなと思います。
 姐さん方にもスタッフの方にも、観ていただいたみんなにも感謝しています。20日間ありがとうございました。」

【西園寺瞳】
「7景を担当させていただきましたひとみたんです(場内拍手)。
 今回、素敵な『TEARS』という、どの景もすごい素敵で…(涙で聞き取り不能)…素敵な日々を送れて…
 (ここで上手袖下からボックスティッシュが差し入れられる)
 楽しかったです。また1年後ぐらいに乗れたらいいなと…ありがとうございました。」

【沢村れいか】
「8景を担当致しました沢村れいかと申します。20日間ありがとうございました。
 チャップリンのスピーチということで、正直とっても難しかったです。難し過ぎて…(涙)。
 なかなか自分の技術と発想力が乏しくて、なかなか出来なくて、
 家に帰ってはチャップリンの演説を何回も何回も見て、どういう気持ちで演ったらいいのかと研究したり、
 何回も選曲の和訳を読んで、今回1人だったので、1人で何もかもやらないといけなくて、
 すごく難しかったんですけれども、考えれば考えるほど、とても演りがいがある景で、
 その景を与えてくださったプロデューサーさんの期待に応えたいという気持ちが先走って、
 ずっとずっと考えていたんですけど、やっぱり出来なくて。
 でも、それに負けるんじゃなくて、今、自分が出来ることを精一杯出すことが一番大切かなと思って、
 楽しめるようになりました。うん、演り切りました。
 おかげさまで、筋肉自慢の6パックが戻りました。2018年に劇場に乗るのは、ここで最後となります。
 次は、2019年正月から横浜ロック座に乗りますので、ぜひぜひみなさま、遊びに来てくださいね。
 新作も出したいと思いますので。20日間ありがとうございました。」

【真白希実】
「9景を担当させていただきました真白ファンティーヌです(場内拍手)。
 マイクを持ったら何をしゃべるか忘れちゃいました。
 今週は、みなさまのお応援のおかげで8周年を迎えることが出来ました(場内拍手)。
 12月1日には周年イベントを劇場が開催してくださって、
 そのプロデュースをゆきなちゃんと琴音ちゃんがしてくれて、
 メンバーのお姐さんたちと後輩ちゃんたちとスタッフさんがご協力してくださって、
 素敵な周年イベントを開催してくださいました。
 ご来場いただいたお客さまにも、本当に感謝の気持ちで一杯です。
 このメンバーをキャスティングしてくれた劇場さん、
 そして毎回毎回、成長の機会を与えてくださる、
 『レ・ミゼラブル』の素敵なナンバーを考えてくれたプロデューサー、本当にありがとうございます(涙)。
 すごい難しい景だったんですけど、このメンバーで、どのナンバーも踊れて、
 楽しい充実した毎日を過ごすことが出来ました。感謝しかないです。
 最後まで見守ってくださって本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いします。」


 涙ながらに言い切ると、ティッシュを取りに走る真白。一息ついたところで、真白の音頭による恒例の「三本締め」から「ポーッ」という汽笛の音に誘われてのアンコールウォークへ。

 公演名に違わず涙また涙となった「TEARS」は、名前を変えての年末公演第二弾「LAST SCENE」へと、そのバトンを渡していったのだった。


(敬称略・観劇日:2018(平成30)年12月10日(月))

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