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敗戦直後の昭和22年、東京新宿は帝都座の「名画アルバム」からその歴史が始まったとされる日本のストリップショー。その後、雨後の筍のようにその数を増やし、さらに大衆娯楽の一つとして様々な様態へと発展を遂げていった。昭和の高度経済成長期には全国で200館以上の劇場が営業していたと伝えられている。
しかし昭和が終わり平成の世になると、要因分析は他に譲るが、ストは夜の娯楽の王座から退き始める。摘発・営業停止が相次ぎ、劇場の数は減少の一途をたどった。2011(平成23)年の東日本大震災に伴う自粛ムードなどが追い討ちを掛け、観客数の減少は誰の目にも明らかとなっていった。そこに決まった2020年の「東京オリンピック」開催。当時、筆者は「これでストの命運は尽きた…」と思った。国際的行事が開催される前に、開催都市の夜の街に「浄化作戦」と称する粛正の嵐が見舞うのは、それまでの歴史が教えるところだった。
ところが平成が四半世紀を越えたころから風向きが変わり始めた、ように思えた。若い女性層を中心に、新たにスト劇場を訪れる観客が増える傾向を示し始めたのである。年中行事のように実施されてきた当局による摘発も2013(平成25)年を最後に途絶えている。以前は男性向け週刊誌や風俗誌でしか掲載されなかったストの記事が、テレビや雑誌などのメジャーメディアで特集されるようにもなった。「もしかしたら、日本のストは2020を乗り越えられるかもしれない…」、筆者は数年前からそう思うようになった。
だが現実は厳しい。劇場の閉館に歯止めは掛かっていない。一時期と比べてペースは落ちたものの、それは絶対数が既に減ってしまっているためで、スト劇場の新設がほとんど認められない現行の法規制が変わらない限り、今後も減ることはあっても増えることはないのが実情である。
今日2019年4月30日、平成は31年余の歴史に幕を下ろす。元号が改められ、新時代到来の気分が高まろうとも、今日と明日でストの置かれた状況にいささかの変化もない。そんな立ち位置を冷静に見詰めつつ、「昭和」「平成」に続く3つ目の時代へと生き延びていく日本のストを、今日、明日、その先…と観続けていきたいと思う。4月29日「昭和の日」と5月1日「即位の日及び即位礼正殿の儀が行われる日」の「休日」に挟まれて休日となった4月30日、「TO -Time is Over- 2nd」の楽日をプンラスで観劇。
<楽日じゃんけん大会> 場内満席、立ち見多数という高競争率の中、開催された“平成最後の”「大じゃんけん大会」。司会進行の“若い方のM氏”は、1景「トリトン」のイルカを背負って登場。「終わりよければ全て良し」を目指して、いざ。 ■無料招待券×2名
「グ」→「チ」→「パ」→「パ」→★1名決定 直前の敗者復活→「パ」→★1名決定 ■公演ポスター(サイン入り)×1名
「チ」→「チ」→「パ」→2名直接対決→★1名決定 ■1景・熊野さんから「ピンクのリボン(サイン入り)」×1名
「チ」→「チ」→「グ」→「グ」→全滅 直前の敗者復活→「グ」→「チ」→★1名決定 ■2景・小野さんから「イルカ風船」×1名
「グ」→「グ」→「チ」→4名直接対決→★1名決定 ■3景・小宮山さんから「青バット(サイン入り)」×1名
「グ」→「チ」→「グ」→「チ」→2名直接対決→★1名決定 ■4景・鈴木さんから「サイン色紙+役作りで読んだコミック」×1名
「グ」→「チ」→「グ」→★1名決定 ■5景・ゆきなさんから「?なにか?」×1名
「グ」→「チ」→「チ」→「パ」→「チ」→★1名決定 ■6景・安田さんから「アンテナつき金色カチューシャ」×1名
「グ」→「チ」→「グ」→★1名決定 <各景ひとことレビュー> 【1景=熊野あゆ/ブラック・ジャック】 初乗りの「浅草」でトップバッターの重責を務めた“あゆっくま”。 個性際立つキャラクターが勢揃いする中、 柔らかい笑顔を浮かべ、実に楽しそうに群舞のセンターを務めてみせた。
ベッドでも、場内をしっかりと見詰め、こちらも楽しそうに演じる姿が印象的な「浅草」初陣であった。 【2景=小野今日子/どろろ】 映像とのシンクロ景から受ける印象は「堂々たる安定感」。 その落ち着き払った演じぶりは、さすが大ベテランの風格というべきものであろう。 ベッドも慌てず騒がずじっくりと進め、ダイナミックにして繊細な動きの“今日子ワールド”で魅せ、 本舞台へと戻ったラスト、音楽のポーズを挟んでの決め姿も見事というほかないものであった。 【3景=小宮山せりな/ネオ・ファウスト】 群舞パートでは、肩をいからせ、顎をしゃくるように振って尊大な態度を演じる小宮山の表現形に目を引かれた。 初挑戦となった「浅草」でのエアリアル・ティシュー、 布の“ヘタり具合”に「1st」から過ぎた長い日々が感じられる中、 思い切りを感じる変化技や、見違えるように速くなった回転速度に、その進化ぶりが現れていたように見えた。 そして何より、ケガなく乗り越えられたことを喜びたいと思う。 【4景=鈴木ミント/奇子】
外の社会と閉ざされた地方の旧家を舞台に、さらに外界と閉ざされた幽閉生活を強いられる中、 爛れた関係を結びつつも美しく成長した「奇子」という難しい役どころを、 虚無的な表情と雰囲気で見事に表現してみせてくれたように思う。 ラストの幕閉めの直前、ゆっくりと振り向いた顔に浮かんだ“微笑”が、強い読後感を残す。 【5景=ゆきな/ブッダ】 本公演屈指の抽象景を、まろやかな動きとアルカイックスマイルを浮かべた表情で描いてみせた。 ベッドでの、深くかつ伸びやかに切り上げていくポーズや、 戻りの移動盆における振りや動きを抑制した演じぶりに、 拝見するたびに感じ入る思いを深めさせていただいた。
【6景=安田志穂/MW】 極めて難解な関係性を有した男性2人を、一つとして同じ演じ方をしないという 徹底した姿勢を貫いて表現してみせた安田に“インプロの女王”の称号を贈りたい思いである。 そして独特の振りと動きで作品の世界観を深めていった努力に、心からの拍手を合わせて贈りたい。 【7景=徳永しおり/鉄腕アトム】 気品を漂わせつつ、生真面目さが伝わってくる丁寧な演じぶりは、いつ拝見しても実に清々しい。 戻りの移動盆での堂々たる立ち姿とその存在感を目にするたびに、 平成の時代が生み、次の時代に向けて大きく花を咲かせて欲しい“若手トリシスターズ”の一員として、 ますますの活躍を期待したいとの思いを強くさせていただいた。 <楽日あいさつ> 最終回フィナーレの幕が下り、拍手が督促手拍子に変わる。いつもよりやや時間をおいて、再びオペラ幕が上がる。MCのマイクは、センターで平成最後の大トリを務め終えた徳永が握る。 【徳永しおり】
「平成最後の浅草ロック座公演、大変遅い時間まで見守っていただいて、ありがとうございました。 20日間たくさんの応援があって、7人全員で千秋楽を迎えることが出来ました。 一人一人、みなさまに挨拶の言葉を述べさせていただきたいと思います。 1景の熊野あゆちゃんからお願いします。」 【熊野あゆ】
「…(涙でしばし言葉にならない)…1景の…(涙)…熊野あゆです。20日間ありがとうございました。 初めての『浅草』だったので、20日間すごく心配だったのですが、 お姐さん方もスタッフさんもお客さんも、みんなすごく優しくて、乗り切ることが出来ました。 また『浅草』に乗りたいです。よろしくお願いします。」 【小野今日子】
「2景を担当しました小野今日子です。 立ち上がりでみなさんが手拍子してくれて、頑張ることが出来ました。 今週もたくさんのみなさんにステージを観ていただけて幸せでした。どうもありがとうございます。」 【小宮山せりな】
「3景の小宮山せりなです。天井高くて怖かったです(場内笑)。ありがとうございました。」 【鈴木ミント】
「4景『奇子』を担当させていただきました鈴木ミントです。 今回も初乗りのメンバーや、ベテランのお姐さんと、毎日楽しく腹筋がぶっ壊れるほど笑いまくって、 自分の『奇子の部屋』では、お兄ちゃんたちといろんなプレイを出来て、本当に楽しい20日間でした。 どうもお世話になりました。」 【ゆきな】
「5景を担当しましたゆきなです。20日間ありがとうございました。 今回も難しい景を与えてもらって、たくさん挑戦をすることが出来て、難しかったんですけど楽しかったです。 私も笑いすぎて腹筋が割れました。明日からも頑張りまーす。」 【安田志穂】
「6景『MW』を担当しました安田志穂です。 すてきな相棒に恵まれて、楽しく踊り切ることが出来ました。 平成最後の一日を一緒に過ごせて、幸せです。ありがとうございました。」 【徳永しおり】
「この7人の最後で、あんまりいいことが言えなくて申し訳ないんですけど、 一つの時代の終わり、次の時代にバトンを繋ぐ役目として、 この大事な時に浅草ロック座に出演させていただけて、本当にありがとうございます。 前回までは自分が7景を担当させていただくこととか、いろんなことを考えて、 すごく重い気持ちがいっぱいだったんですけど、 今週、お姐さんたちと一緒に笑いながら過ごすことが出来ました。 明るい気持ちで明日からも過ごしていけそうです。 最後にどうしても言いたいんですけど、私たちのお姉さんであったり妹であったり、 そんな“愛され踊り子”のゆきなちゃんが、今日2年生最後で、明日3年生になります。 早朝には大阪の方に行って、大変な準備をしながら、明日からも大変な日々を送ることになると思うので、 どうぞみなさま、応援をよろしくお願いします(場内拍手)。 20日間本当にありがとうございました。明日からも浅草ロック座をよろしくお願い致します。」 徳永の音頭で「三本締め」、そしてアンコールウォークは、7景立ち上がりの強制翻訳題名“Iron arm 原子”のテーマ曲。明るい未来を信じて歌われた曲に乗って、笑顔の7人が手を振りながら花道から前盆を回る。最後は上手・下手3投ずつ、計6投のフィナーレリボンが彩りを添えて、22時46分、ここに平成の全公演は無事その幕を下ろした。 そして「平成最後の大入り」を記念して、ゆきなさんと熊野あゆさんがロビーに立ち、最終回まで残った観客に「大入袋」を配る“お見送りイベント”が行なわれた。「平成三十一年四月三十日」の日付が入った袋を頂いて外へ出ると、残り1時間ほどになった平成の夜には、静かな別れの雨が降り注いでいたのだった。
(敬称略・観劇日:2019(平成31)年4月30日(火・休)) |
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