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5月9日の本人ブログで、「わたくし事ですが、来月の浅草公演が最後になります」と記して、引退することを表明したTAKAKOさん。
デビューは1993年「浅草」。ロック座の舞姫としては1991年の仙葉由季さんに続く上から2番目、今週「浅草」出演中の沙羅さんと同期の“大御所”と言っていい。期待しながら安心して舞台を見ることが出来、いい意味でその期待をいつも裏切り、心地よい感動を与えてくれる、そんなベテラン舞姫の一人であった。
クールと情熱を変幻自在に行き来するステージワーク、舞姫には珍しいショートカットの容姿、ポラ後のショーの弾けっぷり、飄々としたコメントなど、TAKAKOさんを語るキーワードは数多い。それだけ、一度観た人の中に何かを残す、そんな力を持っていたことに改めて気づかされる。
写真集のコメントで「よくわからないけど、楽しくてやめられない…」と語っていたTAKAKOさん。なにより本人が楽しみ、観る人を楽しませてきた舞台は、6頭「川崎」に続く6結〜7頭「浅草」でその幕を下ろすことになる。また一人、感動の作り手が消えていく。
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舞姫たちの面影
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ロック座所属の舞姫は、そのほとんどが「スタイリッシュで、クールで、エレガントなスタイル」を追求しようとしているのではないかと思う。少なくとも私にはそう思える。それが魅力なのだが、そんななかで異色の存在が黒崎優さんである。さまざまな思いを込めて「ロック座随一の芸人」と呼びたいと思う。
実は黒崎さんは、自ら「芸人」と呼んではばからないのであるが、その真骨頂が、おさげ髪につながりマユゲ、歯欠けのネタキャラ「黒崎優子」である。イベント開催時や楽日などに出没、強烈なインパクトで舞台を大いに盛り上げ、時に冷え冷えとさせる芸風は、一芸に秀でた舞姫多しといえども、ほかに例を見ない。さらにはブログで見せる“変顔”や突っ込みどころ満載の写真など、とにかく見る人におもしろがってもらいたい、楽しんでもらいたいというサービス精神に満ちあふれている。
劇場でのファンへの応対も大変丁寧で、ポラの書き込みやシールなどに炸裂する“ネタ”や、おつまみや駄菓子をおまけにつけるユニークさも群を抜いている。その一方、ブログで時折、「落ちこぼれ」「ファンが少ない」など自信なげなコメントを漏らすあたりは、「孤高の芸人の悲哀」を感じさせる。
これらの姿勢は、決してふざけたり、舞台を甘く見たりしているということではない。むしろ逆で、黒崎さんは極めて真剣に舞台、そして観客と向き合おうとしている。
黒崎さんの舞台では、雪だるまを転がしたり、ギターを振り回してシャウトしたりと、およそストリップとは思えない演出が飛び出す。しかし場面が変わると一転、きっちり身につけている技能を生かした動きはもちろん、ブリッジからの片足上げなどの高度な技も難なく決め、趣のある舞を披露する。さらに平成23年1月の「浅草」正月公演ではポールダンスにも挑戦。また、アドリブの入れにくい浅草の舞台で、雰囲気を壊さない瞬間をよく捉えて独特の存在感を発揮するなど、その多才さを見せてくれた。まさに「芸人・黒崎ここにあり」の舞台であった。
舞姫のほとんどがAV業界からの参入となっている昨今、黒崎さんは数少ない「ストリップの舞台を見て感動し、この世界に飛び込んだ舞姫」と伝えられている。自らが感動を与えられる存在として舞台に立つため、努力し、苦労を重ねていると聞く。そんな経歴もまた、驚くほどのサービス精神を発揮する礎になっているのではないかと想像する。その心意気を、観客の一人としてとても美しく、うれしく思う。
黒崎 優。芸を磨き、芸を楽しみ、芸で魅せる優れた舞姫である。
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水野美香さんの最大の特徴といえば、172cmの高身長であろう。舞台でほかの舞姫と並んだときも、頭一つ抜けた大きな姿が目に飛び込んでくる。ブログなどを読むと、本人は背の高さ(そしてお尻の大きさ)にコンプレックスを持ちつつも、そこが自分のアピールポイントであると正確に捉えているようだ。
デビューから丸4年が過ぎ、既に中堅の舞姫となった水野さんの大きな体から生み出されるダイナミックな舞い。大変見事なものである。しかしそれは魅力の入り口でしかない。
ベッドでの心のこもった細やかな手足の動き。そこに水野さんの真骨頂がある。すべての指先、つま先に至るまで寸分の気の緩みもなく、流れるような動きを織りなしていく。さらに観客にしっかりと視線と表情を送り、時には、アイコンタクトで反応を確かめているように見える瞬間がある。自らが作り上げ、送り出したメッセージが、見る側にしっかり伝わっているか、それを確認しているのではないだろうか。そこには舞に心を込める姿勢が美しく反映されているように思える。
そんな水野さんの姿は、ブログにもよく現れている。
「私ゎはっきりと、彼が悪ぃんだと言ぅことを彼女に伝ぇてぁります」
これは水野さんが最近のブログで自分の表記法として挙げた例文だが、母音を小さく書いたり、助詞をわざと変えて書くこの独特の書き方は、慣れないと目や頭が痛くなりそうで、一見するといかにもイマドキの女の子、という感じがする。ところが、書かれている内容を追っていくと、自分の行動や考え方、舞台への思いや反省、観客への感謝やメッセージなどを、実に内省的に深く考えて書き記していることが見えてくる。時に自分を激しく責めるさまは、読んでいて痛々しさを覚えるほどである。
先日、ブログで「母音小文字表記」を使うことや「助詞の『は』を『わ』と書くこと」について、読者から非公開のコメントで注意を喚起する書き込みがあったらしい。これに対して水野さんは、それに答えた部分だけこうした書き方を止めた上で、この表記は、自分なりに考えた上での自己主張を込めた結果なのだと毅然と反論をしていた。
「自らの考えや思いを精一杯込めて、表現する」。この姿勢は、ブログだけでなく、舞台上の舞にも投影されているのではないか、改めてそう感じさせるエピソードであった。 水野美香。自らの深い思いを舞に込める、ダイナミックにして繊細な舞姫である。
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いまやほとんどの舞姫が自らのブログを持ち、舞台での日々を綴っている。そのなかで、出色の書き手が友坂麗さんである。
舞姫のほとんどは20代の若い女性。自然、ブログの書きぶりも、文体や言葉遣い、文字遣いなどからしてイマドキの女の子調になりがちである。それはそれで「らしくて」ほほ笑ましくはあるが、時に頭が痛くなるような文章に出会うことも少なくない。
そんなブログを数多く読み渡る内に、友坂さんのブログに出会い、快い衝撃を受けることとなった。友坂さんの文章は、静かに内に秘めた舞への情熱や、先輩舞姫や観客への謙虚な姿勢、そして後輩舞姫への温かいまなざしが素直な言葉によって綴られ、そこから清冽な美しさがにじみ出すものになっている。ファンの間でも友坂ブログの文体はつとに有名で、高い評価を受けているようだ。
そしてその姿勢は舞台上にも見ることができる。ブログから受ける印象に違わず、自らの演じる舞と真摯に向き合う気持ちが伝わってくる。最近よく「眼力」(めぢから)という言葉を聞く。友坂さんにはその眼力がある。舞台上で集中する一瞬、あるいはポーズを切る瞬間、友坂さんの目は一点を見つめ、決してそらそうとしない。その先がたまたまある観客であったりもする。普通、じっと見つめられれば、ましてや眼力を込めた目で射すくめられれば、見つめられた方は視線を外したくなる。しかし友坂さんの眼は、見つめられた観客が目をそらしたくなるような威圧的なものではない。温かく、透き通るような、やさしさを帯びた目なのである。その目が映し出しているままの心で、舞を舞い、ブログを綴る姿が友坂麗さんの大きな魅力となっている。
舞姫7年目。中堅どころとなり、生み出す作品が独自の世界観を描き出すようになってきた。その作品を携えて、首都圏ロック系館にとどまらず、全国各地のロック提携館にも幅広く積極的に出演し、全国にますますファンを増やしている。
友坂 麗。初心の謙虚さと情熱を忘れない、麗しの舞姫である。
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彼女の持ち味はなんと言ってもダンスの動きの中にある。
アクティブ、アグレッシブな動きから繰り出される迫力ある舞には、一見の価値がある。そのダンス能力の高さはつとに知られているようで、ファンの間では「お月見に行く」と称して、登板を楽しみにしている人も多いようだ。
このところ間を置かず浅草に登場、その度にパワフルなダンスで観客を魅了している。
2010年4月中〜結では、「アリス景」でキーとなる帽子屋役を演じた。個性的な舞台を構成して観客を引きつけた仙葉由季さんから役を引き継ぐ難しさがあったのではないかと察するが、コミカルな手品シーンに引き続くベッドでは、「マッドハッター」の狂気を激しいダンスで見事に表現してみせた。
2010年7月頭〜中では、幕開け直後の1景を担当。キレのよいダンスで場内を大いに盛り上げる役を果たし、その後もバックダンサーとしてメインを引き立てつつ、見応えのある舞台を作り上げるための手抜かりのない動きには感心させられた。
この舞台からわずか1か月後の2010年8月中〜結で、再びトップバッターとして登場。毎月「お月見」が楽しめると、ファンは大いに喜んでいるのではないだろうか。この舞台でも、激しいダンスからそのままポーズを切る動きがあるが、直前までの目にも止まらぬ速さから一転、宙に上げた足が、つま先に至るまで微動だにせず静止する様子には驚かされる。あれだけの動きの直後に、あれだけの精度で体を止められることからも、身体能力の高さを感じることができる好舞台を、ぜひ目に焼き付けたい。
月川ひとみ。舞台に躍動感と緊張感を与える「動」の舞姫である。
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