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まだ4時間目の途中だったが、授業を受ける気分にはなれなかったので、僕はテツと共に学校を出た。
「テツ、気ぃつけとかなアカンぞ。いつ襲ってくるかわからんしなぁ」
「おぅ、わかってる。お前こそ目ぇ付けられてるし気ぃつけろよ」
僕たちは、いつもタバコを買う馴染みのタバコ屋の角で別れ、それぞれ家路についた。
そしてその時は来た。それはテツと別れて5分ほど経った時だった…。
「おぃ、待たんかぃ」後ろから誰かが僕を呼び止めた。
「あぁ?何じゃぃ」
そう言いながら振り返ると、そこにはさっきまで学校の前にいた”大谷くんと愉快な仲間たち”が立っていた。
どうやら待伏せされていたようだ。
「おぃオドレ、さっきはデカイ口たたいてくれたのぉ。お前は許さんど」凄んできた。
「誰が許してくれゆうたねん、小谷くん。待伏せみたいな卑怯なマネさらしやがって」
「大谷じゃっ!なんべんゆうたらわかるんじゃ!」
「なんべんゆわれても覚える気なんかないわぃ!」
「とことんムカツクやっちゃのぉ、ちょぉ顔貸さんかぃ!」大谷の怒りがMAXに達したようだ。
「お前らみたいに暇人ちゃうんじゃ俺は。めっさ忙しいんやぞ、帰って飯食って、テレビ見て、風呂入って寝なアカンねんど」
精一杯忙しいフリをしてみたが、普通に無視されてしまった。
どう考えても逃げれそうにない…。仕方ないので言う通りついて行く事にした。
大谷が先頭を歩き、そのすぐ後ろを歩く僕の周りには、愉快な仲間たちが取り囲んでいた。
ひぃ、ふぅ、みぃ、よぉ…。僕は歩きながら人数を数えた。
僕を除いて10人もいる。”大谷くんと愉快な9人の仲間たち”だ。
さすがにこれだけの人数を相手にしても勝ち目はない。
当然「タイマン勝負」なんて都合のいい展開にはなる訳もないだろう。
この状況をどう打破しようか考えたが、いい考えが浮かばない。頭が悪いというのは、こう言う時に損だなぁと思う。
考えすぎて、段々面倒くさくなってきた…。
とりあえず不意打ちで暴れて、その後どうにかしようと決めた。単純極まりない決断だった。
「おぃ、どこまで行くねん小谷くん」僕は大谷に向かって言った。
「やかましぃ、黙ってついてこんかぃ!」そう言いながら、大谷が振り返った。
チ〜ャンス!そう思った僕は、振り返った大谷の鼻めがけて拳を叩き込んだ。
「ウゴォ…」大谷は鼻を押えてその場にうずくまった。
周りを取り囲んでいた愉快な仲間たちが、突然の出来事に驚きとまどっていた。
続いて僕は、自分の左右にいた奴を連続で殴り倒した。
そして、その一瞬の隙をついて逃げ出した。
「ボゲェェ!まだんかぃ、何逃げでんじゃぁぁ!」大谷がゴボゴボとそう言った。
「誰が待つかぁ、アホォ。捕まえれるもんやったら捕まえてみぃ」
僕は必死で走った。後ろからは愉快な7人の仲間たちが追いかけて来ていた。
1人では無理と判断した僕は、とりあえずテツと合流しようと考えた。
2人ならばなんとかなるだろうと思ったのだ。
しかし、その考えが甘かった事を、すぐに後悔する事になるのだった…
…つづく
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