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中高度から、低高度にかけて、コルセア戦闘機を追尾していた私は、防弾の頑丈な機体であるが、やっと、撃墜したのだ。 敵機のパイロットは、かろうじて脱出したと見られ、私のすぐそばを落下傘が流れて行った。 私にとって、この戦闘機には、初めて乗ったのであるが、操作性も良く、急降下での突っ込みも、コルセアに十分追尾出来たとおもった。 もともと、三式戦「飛燕」の機体を流用して製作された物と知ったのである。 正面面積の小さい液冷エンジン装備を前提に設計されたスマートな胴体に、直径の大きな空冷エンジンを取り付けることは大きな困難が伴った。空冷エンジンを収めるため太くなった機首部分と、それ以降の細い胴体に段差をつけ、そこを排気の通り道にすることで解決している。
こうした川崎スタッフの必死の努力により、僅か3ヶ月後の昭和20年2月には初飛行に漕ぎ着けた。 正面面積の増大による空気抵抗で、水平速度と降下加速は原型機より低下したが、冷却装置等の補機類や尾部のバラストが不要になったことにより330kgもの軽量化と重量バランスの改善を果たすことができ、上昇力、運動性能が格段に向上した。 当初の目的である生産性と整備性・稼働率の向上に加え、思わぬ副次効果に陸軍当局は狂喜した。直ちにキ100は「五式戦」として正式採用され、首無し機体の改造と新規機体の製造準備が開始された。 「五式戦1機は四式戦3機の価値がある」というパイロットの声が五式戦の優秀性を証明しているが、開発開始から間もない昭和19年末にエンジンを生産する三菱の工場が空襲と地震で壊滅したため、五式戦の大量量産体制が実現するはずもなく、四式戦の生産優先方針が終戦まで維持された。 また、高高度でB29を迎撃するために、排気ガスタービン(ターボ)付きエンジンを搭載したキ100-IIも試作され、高度1万メートルでも590km/hの速度を発揮できることが分かった。このエンジンは既に一〇〇式司令部偵察機4型で実用化されており、キ100-IIは日本では初めての実用的な高高度戦闘機となる予定であった。しかし、生産準備中に終戦を迎えることになったため、実戦に参加することはなかった。 たとえ実用化できたとしても、中間冷却器(インタークーラー)を省略した言わば簡易型であり、当初より中間冷却器を完備した排気タービン機を実用化しているアメリカとの技術差は大きかった。 諸元 全幅 12.00m 全長 8.82m 全高 3.75m 翼面積 20m² 翼面荷重 174.75 kg/m² 自重 2,525kg 全備重量 3,495kg エンジン ハ112-II型(離昇出力1,500馬力) 最大速度 580km/h(高度6,000m) 航続距離 1,400〜2,200km 武装 機首20mm機関砲 2門、翼内12.7mm機関砲 2門 爆装 250kg爆弾 2個 総生産機数 396機 |
日本陸軍五式戦闘機
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