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夏の Firenze も良いと思います。
盛夏の色を濃く帯びた 「 花の都 」 は、冬のそれとは様相を異にします。
この街を訪れた人であれば、誰であっても眼前にする筈の Duomo や Uffizi の威容、
P. Vecchio の美観、はたまた S. Marco 寺院の枯れた佇まいもまた、夏の日差しを浴びて一層際立ちます。それは、落ち着き払い物静かな風情の反面、何処か侘しい冬の冷たい空気の中に浮かぶ立ち姿とは全く異なります。Firenze を彩る 「 美的遺構 」 の諸々は、季節らしい強烈な陽を浴びてもまた、美しく目に映ると思います。
夏は 「 花の都 」 にとっても 「 ヴァカンス 」 を意味する季節です。
大勢の人を引き寄せる 「 花の芳香 」 は、この街が持つ魅力の普遍性を何よりも雄弁に物語るものでしょう。冬とは異なる人の流れに 「 美的遺構 」 は、少しだけ当惑しながらも、数え切れない視線の直射に堂々と応えるかのような貫禄があり、それはそれで頼もしくもあります。「 人の群れ 」 の中に凛として咲く 「 花 」 も、決して悪くはありません。
人波を少し泳ぎ疲れたら、いつも決まった 「 広場 」 に向かいます。
中心部から、左程の距離もない裏通りに、ぽつねんとある小さな広場。観光客はもちろん、
Firenze に住まう人ですら振り返ることのない小さな広場です。 気を付けなければ、其処が広場であることすらも分からないような、この静かな愛らしい空間が大好きです。
その広場の名は、S. Pier Maggiore ...
誰もが忘れてしまったこの愛らしい広場は、かつて Dante が永遠の恋人として胸に刻んだ
Beatrice と初めて会った場所です。花祭りの縁日で、多感な少年であった Dante が、可憐な少女 Beatrice を見つけたその刹那、身体の中を通り抜けたであろう震えは如何ばかりであったか ・・・ 静かな広場を前に、黙ってそのような事に思いを巡らすのも一興でしょう。
人で溢れる街にあって、静かに沈思することが出来る広場にもまた、季節の陽が降り注ぎます。
大勢の人を包み込む夏の 「 花 」 にも、静かな魅力があるものです。
In quel la parte del libro della mia memoria,
Dinanzi alla quale poco si potrebbe leggere,
Si trova una rubrica,
La quale dice:
Incipit Vita Nova.
La Vita Nouva : Dante Alighieri
私の記憶という本の中の
その章の最初のページに
貴女に初めて出逢えた日のことが
こう書かれている
新しい人生が始まると
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人びとが、ごった返す街で誰にも気付かれないような
広島を見つけたら、かなり感動ですね。
それには路地を知りつくすネコのような才能がおあり
なのでしょう。
発見は喜びですね♪
2011/8/5(金) 午前 8:48
フィレンツェは小さな街で、夏場は観光客で溢れますが、少し目線を変えるだけで静かで趣のある場所が思いがけず見つかります。自分だけの「知られざる・・・」という場所を見つけると、その街に一層の感慨が湧くものですね。
2011/8/5(金) 午前 11:10
あ・・・広島って入力してしまってましたね(泣)
すみません・・・寝ぼけていたかも。。。「広場」です。
2011/8/6(土) 午前 9:03
東京は、暫く暑さが戻るようです。
暑さに負けず、仕事に励みたいと思います。
Chieさんも、ご自愛下さい。
2011/8/6(土) 午後 0:54
Beatriceという名前がDanteの恋人の名前であることを、最近知りました。
実は40年前、イギリス留学中に知り合った留学生 Beatrice のお父さんの別荘が、コモ湖の近く Majore 湖畔にあって、春休みにそこへ逗留させてもらったことがあるのです。
そして4年前、妻と一緒にそのマジョーレ湖畔の懐かしい Villa で再会した思い出を今も大事にしている次第です。
あなたの記事でまたなつかしい思い出を味わっています。
2011/8/7(日) 午前 11:47 [ jupiterh0528 ]
ダンテとべアトリーチェの「物語」は、多分にロマンティックの部分が強調されますが、それとは別に『神曲』、『新生』等の作品の下地になる広義の「愛」を考えると、なかなか興味深いと思います。この小さい広場に、隠れた「物語」を重ね合わせて視線を投げ掛けると、また別の感慨が湧きおこります。
素敵な思い出ですね。
お話を伺えて嬉しく思います。ありがとうございます。
2011/8/7(日) 午後 4:34
冬に咲く花も、夏に咲く花も『美と歴史』という空気ををまとっているからこそ優雅に、貫禄を持って咲き続けることができるのでしょう。
その足許にある小さな広場にも数多くの物語があって…。
新しい人生のタイトルになぜかこころ惹かれます。
2011/8/9(火) 午後 5:33
ダンテの詩は『新曲』も勿論ですが、この『新生』も好きです。ダンテの送った生涯とべアトリーチェという「永遠の恋人」という設定が重なり合い、深い余韻を残します。
「切ない恋物語に、たまには没入したい・・・」夏の終わりごろにピッタリな詩です。
2011/8/10(水) 午後 7:15
そうなのですか。
想いを遂げられなかったダンテの切ない恋はその後の人生を決定づけたし、詩によって、言葉によってその相手を後世に、永遠の命を授けたのですね。
naokiさまが次にこの広場に立ったときに、『新しい人生』が始まるかも。
切ない恋は年齢関係ありませんから^^
特に夏の終わりには…
2011/8/15(月) 午後 10:10
『新生』の創作は多分に恣意的ですが、ダンテとべアトリーチェの名を残すことになりました。500年前に二人が初めて出会ったこの小さな広場は、今となっては誰も振り返ることはありませんが、それ故に「相応しい」場所であると思います。
2011/8/18(木) 午前 10:55