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ナポリでババ(baba)を食べた。
ババとはナポリでよく見かけるドルチェだ。強力粉と卵、バター、砂糖、イーストを材料とし、それらをこねて生地を作り、焼き上げただけのシンプルな菓子だ。小さなカップ状の焼き器に生地を入れて焼くので、焼きあがるとカップの先端で生地が膨らみ、「マツタケ」然とした独特の形になる。早い話がスポンジケーキであり、リストランテでドルチェメニューに載るようなものではなく、菓子屋の店頭やバールで買って、立ち食いするような類の庶民的な菓子である。
バールで初めてババを食べた。ショーケースに並んでいる色とりどりのドルチェを眺めていると、店員に「ババか?ババか?」と聞かれたので、何のことか分からず適当に相槌を打ってみる。すると、この「マツタケスポンジケーキ」が出てきた。値段は1ユーロ少しだ。始めは食べ方が分からず、「マツタケ」の頭部からモサモサと食べてみたが、正直、あまり美味しいとは思えなかった。
しかし、これは正統的なババの食べ方ではない。
ババにはラム酒シロップをかけて食べなければならない。ラム酒シロップとは、文字通り、ラム酒とガムシロップを混合した「ババ用ソース」で、ラム酒の爽やかな刺激と、ガムシロの強烈な甘さが何とも言えない味を醸し出す。
このガムシロをババにかけるのだが、そのかけ方に逡巡があってはならない。最もババの美味しさを引き出すには、盛大にかけるのが良いらしい。「盛大に」とは、ババのスポンジがシロップをそれ以上に吸えなくなるほどの飽和状態までかけ続けることを意味する。あまつさえ、イタリア人の中には、「マツタケ」の先端からガムシロが滴り落ちるくらいでないと、ババを食べた気がしないという人もいる。こうなると、シロップをかけるというよりも、シロップの海に「マツタケ」をどっぷり浸すという表現の方が適切かも知れない。
何だか気色悪い印象が拭えないが、実際にやってみると意外に美味しい。ラム酒の刺激がシロップの甘さを中和するので、むしろ爽やかさが口に残る。湿り気を帯びたスポンジも、慣れるとむしろクセになる。
歩きつかれた時に、シロップ滴るババを食べて、濃く入れてもらったカフェ(エスプレッソ)をグイと飲み干す。ナポリの典型的な「おやつ風景」だ。
(babaは、後ろアクセントなので、正確に発音すると「ババ〜」となり、年配の女性の前では少し気が引けるような響きがある。)
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へ〜〜〜。南方面はシチリアだけしか知らないんで、そんなお菓子があるなんて知りませんでした。ばばあか。ふーーーん、ばばあね。
2006/5/27(土) 午前 8:34
・・・し、失礼しました。素朴なお菓子ですが、甘い物好きな方には答えられない味です。最近は時々、ちょっとこじゃれたババを日本のケーキ屋さんでも見かけるようになりました。
2006/5/27(土) 午後 7:05
やっぱりババは自分でラムシロップを「こってこて」にかけたいです。それにはダブルのエスプレッソが一番のお供。どこの国のお菓子も普通の人が食べるものはわりと素朴です。和菓子だってお茶の席で食べるものは季節感や趣向を凝らしていますが毎日食べるものは…でしょ?
2006/12/26(火) 午後 4:52
最近は、リストランテのドルチェで「凝った」ババが出されることもありますが、街角でちょっと摘む気軽さが、このお菓子の醍醐味ですね。ある意味、最もナポリらしい「味」です。
2006/12/27(水) 午前 11:40