イタリア Lezione

主にイタリアに関する読み物です。

全体表示

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

ロマン派のパン

 
 イギリスの湖水地方を訪れた時に whig というパンを食べたことがあります。
 
 
イメージ 1
 
 
 whig とは 「 かつら 」 と同じく wig と綴られる事もある caraway seed というハーブが入ったパンで、湖水地方周辺に良く見られます。白く焼きあがった柔らかいパンに、caraway seed の食感と香りが独特で、なかなか美味しいものです。caraway seed は、ギリシア、ローマ時代より用いられているハーブで、消化を促進する効能があるため、パンに入れらるようになったのかも知れません。
 
 この whig は、Beatrix Potter の Peter Rabbit にも seed whig として紹介されていますが、それ故に、湖水地方伝統のパンと言えるでしょう。湖水地方では、クリスマスにこのパンを
Elderflower の実で作ったワインと共に食す習慣もあります。転々と横たわる灌木に自生する赤紫色の実から作られる素朴なワインは、如何にもイギリスの自然を感じさせる味だと思います。
 
 
 
 昨日、窓を叩く雨音がする仕事部屋で S. Coleridge を読み返す機会を持ちました。
 湖水と緑地の景観、パン、ワイン、そして今にも草むらから顔を覗かせるようなウサギの影 ・・・
こうした 1 つ 1 つの断片もまた、イギリスロマン派の風景なのかも知れません。

雨の日

 
 東京は、強い雨が降り出しました。
 
 
イメージ 1
 
H. BÜRKEL, Rain Shower in Patenkirchen :1838.
 
 
 雨 ・・・
 このような日は、部屋の中で本の行間に埋没するもの良し、また窓のガラスを叩く雨音を聞きながら物思いに耽るも良し。
 
 度を越えた暑気に油断をし、忘れていた事を思い出す 「 夏の嵐 」 です。

帰港

 
 Torna a Sorrento ...
 
 
イメージ 1
 
 
 Amalfi 海岸への入り口である風光明媚な Sorrento の湾。
 南イタリアの景勝地たる評は確かな響きで、一筆の跡を辿るような海岸線と言いようのない 「 蒼い 」 夏の海色は、飽かず目線を惹きつけます。背後の段々に茂るレモン畑の薄い香りが潮風に混ざり、否が応でも季節の風情が充満するようです。湾内の海面に浮かぶ船影が刻々と動き、それだけが時間の経過を示します。
 
 Sorrento の湾に行き来する大小の船。
 
 Sorrento から出て行き、再び戻って来るであろう様々な船の淡い航跡をぼんやりと眺めているうちに、「海 」 もまた旅の出発点であり、終着点であることに改めて気づきます。列車駅に独特の旅情があるように、Sorrento の蒼い港にさざめく波間にも、何処か胸底を締め付ける音が漂います。
 
 此処から出て行く船 ・・・
 
 地中海を揺れ、はたまた外海を廻り、そして最後に Sorrento を終着の地として戻って来る船に、この蒼い港はどのように映るのでしょうか。
 
 美しい Sorrento の静かな夏。
 

素朴

 
 
 ルネサンス以前の素朴な絵画造形に、時折惹かれます。
 
 
イメージ 1
 
・・・ Niccolo di Ser Sozzo, 1362, Siena.
 
 名が広く知られるルネサンス期の 「 巨匠 」 達を見慣れると、それ以前の無名絵画は、些か物足りなく目に映るものです。造形技術の未発達な時代に製作された絵画は、画面構成も平板で、人物の立ち方もぎこちなく、画中に浮かぶ顔も例外なく 「 能面 」 のように画一的です。見る者に、能動的に訴えかけるような華々しいルネサンスの 「 巨匠 」 達が雄弁であるのに比し、「 時代以前 」 の無名絵画は、黙して語らない 「 素朴 」 が、その特徴と言えるでしょう。
 
 
 Firenze などの大美術館で 「 巨匠 」 達が織りなすルネサンスの筆致を存分に堪能した後、田舎に歩を進め、Siena のような街で素朴な無名絵画を前にすると、その意外な魅力に気付くことがあります。ルネサンスそのものを代表する華々しい街では、決して目に留まることのなかった、時として地味な造形も、その立ち位置を落ち着いた地方の小都市に移すと、存外心に沁みてくるものです。「 素朴 」 な魅力は、小さな街の人影疎らな美術館や教会の祭壇が、本来あるべき場所なのかも知れません。
 
 
 心を落ち着けて、「 無名絵画 」 を眺めます。
 平板で 「 能面 」 のような画中人物の顔も、艶やかな特徴が際立つことがないからこそ、その時に持つ自身の心中が投影され易いのかも知れません。圧倒されるような筆致に慄くことなく、安心して 「 素朴 」 な魅力の中に埋没することが出来る ・・・ それは、製作された当時に見た人達が有していたであろう心持と、どこか近しいような気がします。自身の信仰や日々移り変わる心の振幅 ・・・ それらを包み込み、素直な心の投影を許してくれるのは、平板で 「 素朴 」 な絵画なのでしょう。この不思議な 「 素朴 」 を眼前にする時の感慨は、現代の 「 視線 」 に耐えられないとは決して思えません。静かな場所で一人心静かに観る 「 素朴 」 さは、「 時代以前 」 の絵画造形が持つ魅力を改めて発見させてくれるかのようです。
 
 
 田舎街で眠る、膨大な 「 素朴 」 の魅力を知って、造形絵画と 「 対話 」 することを覚えました。

広場

 
 
 夏の Firenze も良いと思います。
 
 
イメージ 1
 
 
 盛夏の色を濃く帯びた 「 花の都 」 は、冬のそれとは様相を異にします。
 この街を訪れた人であれば、誰であっても眼前にする筈の Duomo や Uffizi の威容、
P. Vecchio の美観、はたまた S. Marco 寺院の枯れた佇まいもまた、夏の日差しを浴びて一層際立ちます。それは、落ち着き払い物静かな風情の反面、何処か侘しい冬の冷たい空気の中に浮かぶ立ち姿とは全く異なります。Firenze を彩る 「 美的遺構 」 の諸々は、季節らしい強烈な陽を浴びてもまた、美しく目に映ると思います。
 
 
 
 夏は 「 花の都 」 にとっても 「 ヴァカンス 」 を意味する季節です。
 大勢の人を引き寄せる 「 花の芳香 」 は、この街が持つ魅力の普遍性を何よりも雄弁に物語るものでしょう。冬とは異なる人の流れに 「 美的遺構 」 は、少しだけ当惑しながらも、数え切れない視線の直射に堂々と応えるかのような貫禄があり、それはそれで頼もしくもあります。「 人の群れ 」 の中に凛として咲く 「 花 」 も、決して悪くはありません。
 
 
 
 人波を少し泳ぎ疲れたら、いつも決まった 「 広場 」 に向かいます。
 中心部から、左程の距離もない裏通りに、ぽつねんとある小さな広場。観光客はもちろん、
Firenze に住まう人ですら振り返ることのない小さな広場です。 気を付けなければ、其処が広場であることすらも分からないような、この静かな愛らしい空間が大好きです。
 
 
 その広場の名は、S. Pier Maggiore ...
 
 誰もが忘れてしまったこの愛らしい広場は、かつて Dante が永遠の恋人として胸に刻んだ
Beatrice と初めて会った場所です。花祭りの縁日で、多感な少年であった Dante が、可憐な少女 Beatrice を見つけたその刹那、身体の中を通り抜けたであろう震えは如何ばかりであったか ・・・ 静かな広場を前に、黙ってそのような事に思いを巡らすのも一興でしょう。
 
 人で溢れる街にあって、静かに沈思することが出来る広場にもまた、季節の陽が降り注ぎます。
 
 
 大勢の人を包み込む夏の 「 花 」 にも、静かな魅力があるものです。
 
 
 
 
 
In quel la parte del libro della mia memoria,
Dinanzi alla quale poco si potrebbe leggere,
Si trova una rubrica,
La quale dice:
Incipit Vita Nova.
 
La Vita Nouva : Dante Alighieri
 
 
私の記憶という本の中の
その章の最初のページに
貴女に初めて出逢えた日のことが
こう書かれている
新しい人生が始まると
 

.
アバター
naoki
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

ブログバナー

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト≪さとふる≫
実質2000円で好きなお礼品を選べる
毎日人気ランキング更新中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事