イタリア Lezione

主にイタリアに関する読み物です。

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安静

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 愛犬ルネディが首のヘルニアを発症してしまいました。
 
 
 8月に入り、食欲が落ち、動きも緩慢になりました。
 夏バテと思っていましたが、一向に良くならず、首筋の細かい痙攣が気になったため、病院に連れて行きました。普段は楽観的な主治医は、症状を聞くなり少し顔を強張らせ、「 ヘルニア 」 の疑いを口にしました。フレンチブルドッグには多い症例らしく、酷くなると四肢の麻痺に襲われるそうです。
 
 
 レントゲン検査等の結果、幸いながら軽症で、投薬と暫くの安静で済むようです。
 今週に入り、以前の様な動きを取り戻し、食欲も旺盛になってきました。一時は、3 日を置かず通院していましたが、主治医がいつものように楽観的な表情を取り戻した事から察するに、確実に回復傾向にあるようで、胸を撫で下ろしました。
 
 
 もう少しで、大好きな散歩も出来るようになります。
 一日中、所在無げに部屋の中で過ごす様子を見ていると心が痛みますが、何はともあれ大事ではなく良かった思います。
 
 
 完治したら、ルネの好きな荒川の河川敷に連れて行き、川の流れを眺めながら、ゆっくり散歩したいと思います。

広場の方へ

 
 旅の途中で観た、何気ない光景が、時折強く記憶に残る事があります。
 
 
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 記憶に残る旅の断片。
 
 名を馳せる名所 ・ 旧跡、芸術筆致の類は言うに及びません。それは、吸い込まれそうな程の蒼を持って迫る地中海の偉容であり、街を覆うようにして立つ古寺の巨躯、或いは、その先にあるものを射抜く様な聖母画の美し過ぎる眼差しなのでしょう。誰もが訪れ、誰もが感嘆する普遍的な旅の記憶を、自らの胸の内に 1 つずつ重ねるのも飽かず興が湧くものです。
 
 
 それとは対照的に、何気なく視線を寄せた名も無い 「 光景 」 もまた魅力的に感じます。
 それらは、決して万人の感慨を刺激するものではありません。むしろ、誰の目にも留まらない程、有り触れた光景かも知れません。しかし、その光景は、時として名所 ・ 旧跡の類以上に、後々まで記憶に残る事があります。
 
 
 ふと目に入り、自分の心に不思議と強く映じられた旅の光景。
 それは、多分に個人的な心の振幅であっても、心にいつまでも残る、その人だけの大切な旅の光景です。
 
 
 
 Toscana の田舎街 ・・・
 車窓から見えた柔らかな曲線の鐘楼が気になり、思わず下車する。小さな街に寄り添うようにして立つ黄褐色の煉瓦家。鐘楼がある方に歩を向けると、程なく小さな広場に出る。
 
 不揃いの石畳
 扇形を放つ低い石階段
 窓についた小紋の白いレース
 テラコッタに一輪咲くバラ
 そして、夜毎、小さな広場を仄かに照らすであろう街灯の何気ない装飾 ・・・
 
 
 
 誰も振り向かない、誰も気に留めない、自分だけの旅の光景。
 後々まで記憶に残るであろう大切な光景を、決して見逃さないような ・・・
 
 その様な感性を持ちつつ旅をしたいと、いつも思います。

Echo and Narcissus

 
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Two loves I have, of comfort and despair,
 
Which like two spirits do suggest me still ;
 
The better angel is a man right fair,
 
The worser spirit a woman coloured ill.
 
 
 
  Sonnets  144, 1-4,  W. Shakespeare

小水路

 
 
 イタリアに限らず、外国の街を歩く際、常に気になるのが 「 トイレ 」 です。
 
 
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 日本であれば、勝手が分かりますし、比較的清潔な公衆トイレが多いですから、余程のことがなければ、「 抜き差しならない 」 状況に追い込まれることはないでしょう。しかし、外国の場合、我が国よりも数の点で公衆トイレが圧倒的に少ない ( あったとしても有料のトイレが殆どかも知れません ) と思われます。運よく無料の公衆トイレを見つけたとしても、残念ながら衛生状態が極めて劣悪な場合も珍しくありませんから、「 トイレ難民 」 にならないために、ある程度の自衛手段を講じておくことが必要となりましょう。
 

 美術館やレストラン等には、それなりに清潔なトイレが設置してありますから、そういった場所では、 「 まだまだ大丈夫 」 と思ったとしても、立ち寄っておく方が無難ですし、 「 自衛策 」 の基本でもあります。その先の 「 トイレポイント 」 が不確定な状況下では、常に 「 今そこにあるトイレ 」 に貪欲でなければなりません。





 それでも、自分 1 人ならば、どうとでもなります?が、人と、特に女性と一緒に歩く時は心配なものです。
 

 楽しく街歩きを楽しんでいても、徐々に口数が少なくなり、それとなく周りを見回す仕草が見受けられるようになると、「 トイレのサイン 」 なのでしょう。自分の立場に置き換えてみれば、生理現象を我慢しながら歩くのは、やはり辛いですし、折角の楽しい街歩きも 「 トイレ 」 のことで頭が一杯の 「 上の空 」 ではいかにも残念です。トイレが心配だからといって、飲み物を我慢させるのも如何なものかと思います。また、「 抜き差しならない 」 状況に追い込まれてから 「 ごめんなさい ・・・ トイレがあれば寄りたいのだけれど ・・・ 」 と、女性の方から言わせるようでは無神経の権化でありますから、なるべく気をつけていたいものです。
 

 外国、特にイタリアの街を女性と歩く時は、特有の 「 仕草 」 が見受けられなくても、2 時間程度に 1 回は表通りのなるべく大きい bar に入り、休憩する事を心掛けます。 適当に間合いをはかり、「 ちょっと失礼 ・・・ 」 と言ってトイレに行き、 「 なかなか綺麗なトイレだったなあ。階段を降りた地下にあるから、行っておく ? 」 と水を向ければ、お互いスマートに 「 事を済ませる 」 ことが出来る筈です。
 

 外国では自分もそうですが、他人のトイレ事情も結構気になるものですから、「 懸念材料 」 をスマートに取り除き、お互い心身ともにゆっくりと安心して街歩きを楽しみたいものです。




 何回も訪れてよく知っている街であれば、安心して用を足せる 「 トイレポイント 」 を出来るだけ開拓しておきたいものです。
 

 Firenze や Roma 或いは Napoli 等では、経験則上、独自の 「 トイレポイント 」 を要所要所に持っているので安心です。清潔な場所で、心安らかに用を足すのは、実に気持ちが良いものです。( 初めて訪れる小さな街であっても、こじんまりとした美術館等に入り、存外清潔なトイレを見付けると、なかなか得をした気分になります。)

 以前、何かの折に知人男性に Venezia での顛末を聞きました。
 夜、レストランで食事をしたあと、ホテルまで近いという安心感からかトイレに行っておかなかったそうです。しかし、夜の Venezia は、文字通りの 「 迷宮 」 で、知人は、あっという間に道に迷ってしまいました。ああでもない、こうでもないとグルグル 「 迷宮 」 を彷徨っているうちに、レストランで、したたか飲んだワインが効いてきて、膀胱が風雲急を告げ始めました。しかし焦れば焦るほど、薄暗い小道に迷い込んでしまい、いよいよ進退窮まる状況に追い込まれたそうです。
 

 「 それで、一体どうしたのですか ? 」 と聞くと、
 「 困った挙句、道でしてしまおうかと思った。でも、ふと気が付いたら良い場所があったので、そこにしたよ。なかなか気持ち良かった。よく考えると、Venezia には街中に用を足す場所があるな。水洗だし、ハハハ ・・・ 」

 唖然 ・・・。
 自分なら、たとえ切羽詰ったとしても 「 その場所 」 でしたくありませんから、今度 Venezia を訪れる際は、何はさておいても 「 トイレポイント 」 の開拓に精を出したいと思います。
 
 
 
 
 
追記 :
 
件の知人の様に、「 その場所 」 ( 街中の運河 ・ 小水路 ) で 「 してしまった 」 という笑い話は、頻繁にあるようですが、流石に何かしらの法律に抵触する可能性があるでしょう。「 安心して入る事が出来る、清潔なトイレ 」 記載に特化したガイドブックが出れば、かなり売れるような気がします ・・・。

trinita

 
 
 ローマに景観の妙を見出すとすれば、「 三位一体 」 という言葉が浮かびます。
 
 
 
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 「 永遠の都 」 を流れゆく膨大な時間の波。
 それは、果てなく押し寄せる時の流れを受けるこの街が、様々な時節を経験してきた事を意味します。凪いだ風が吹き付ける安穏を謳歌し、人の心が事物を創り出す無限の可能性に与した時代、或いは、暴力的な風雨に晒され、略奪 ・ 破壊の荒波に漂い、荒廃の限りを貪った時代 ・・・。現代の大都市ローマを歩く時、それぞれの時代に思いを巡らせるほどに、それらの痕跡が色濃く浮かび上がってきます。
 
 
 ローマに流れた安穏とした時代。
 「 創造 」 へと向いた人の心が生み出した建築物が、この街特有の景観として残ります。「 古代 」、「ルネサンス 」、 「 バロック 」 と、時代は異なっても、「 創造 」 という測り知れない文化発露を経たローマの 「 遺産 」 は、「 現代 」 という凪いだ風がそよぐ時代の目線で眺めるからこそ、その色合いに普遍の輝きが宿ります。
 
 
 「 古代ローマの精緻 」 「 ルネサンスの爆発 」 「 バロックの遊び 」
 
 
 人心荒廃した略奪 ・ 破壊の荒波が、その間にあったとしても、3 つの時代が生み出した、それぞれ異なる景観の混交に不思議と違和感が無いのは、建築力学或いは芸術思想に線的な繋がりを見出すことが出来るゆえなのかも知れません。しかし、それ以上に、ローマに繰り返し到来した、人の心に 「 創造 」 を呼び起こす時代の共通項が、それぞれの景観に脈々と流れているからなのでしょう。そして、その時代の共通項は、「 永遠の都 」 だけが経験してきた特異な 「 記憶 」 の断片です。
 
 
 「 古代 」 「 ルネサンス 」 「 バロック 」 この 3 つの景観が交じり合う 「 三位一体 」 の妙が視線に入るようになった時、この街に、また新たな魅力が加わる筈です。

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