イタリア Lezione

主にイタリアに関する読み物です。

過去の投稿日別表示

[ リスト | 詳細 ]

全1ページ

[1]

ローマからの手紙

イメージ 1

 ローマに、今年も年の瀬が迫ります。



 ローマをゆく年、そして、ローマに来る年。
 時間の流れが特異な街では、「 年の瀬 」 という時として慌しい響きを持つ言葉は、不釣合いかも知れません。「 今年も ・・・ 」 という文言に、少し違和感を感じる程、ローマは当たり前の様に、また 1 つ、年を重ねます。クリスマスが過ぎ、新しい年が明けようかという、一連の 「 年中行事 」 も、この街が持つ膨大な時間の蓄積の前では、刹那な出来事で、そこに 「 特別 」 な思いを重ねるのは、むしろ人の心の振幅が大きいと言えるでしょう。


 低く垂れ込めた雲の隙間から、時折、細い光の筋が、年の瀬のローマに差し込みます。
 如何にも季節らしい、薄い光の中、街を行き来する人の姿を消し去ってみます。Colosseo、Foro Romano、S.M.
Maggiore、Pantheon、Circo Massimo、そして、Tevere の穏やかな流れ、所々欠けた石畳の列。この街に、「 永遠 」 という冠を被せる、こうした 1 つ 1 つの遺構は、人が作り出す、忙しない年の瀬の空気に決して馴染むことなく、超然として長い沈黙を保ちます。想像も出来ないくらい、幾重にも渡る星霜を、その表面に刻み付けてきた遺構の群れは、平然と、新たな歳月の断片を受け入れるようです。ローマから人の気配を消し去るならば、「 今年の年の瀬 」 もまた、「 永遠 」 の静かな波に飲み込まれて行くのでしょう。





 石畳を蹴る人の靴音に、ふと我に返ります。
 「 永遠 」 の街は、現代の大都市でもあります。多くの人が住み、また行き過ぎるローマでは、それと同じ数だけの、「 年の瀬 」 があるのでしょう。1 人 1 人にとって特別な 「 年の瀬 」 は、「 永遠 」 とは異なる時間の流れを作り、或いは、現代の街であるローマの言い知れぬ空気を作ります。その空気は、喜び、悲しみ、そして時には、その両方が混ざり合ったものでもあります。そうした人の思いが作り出す、大都市特有の melancholic な雰囲気も決して悪くはありません。人が作り出す、現代の都市としての慌しい時間と、人の背後で静かに流れる時間。
「 年の瀬 」 のローマでは、2 つの時間の対照が色濃く浮き出ます。


 ローマに、「 また 1 つ 」 と、自分の時間を委ねてみます。
 この街の 「 年の瀬 」 は、「 永遠 」 の時間に、人の思いを 1 つずつ重ねる時節です。



 良い年をお迎え下さい。



 naoki

 ローマにて。

全1ページ

[1]


.
アバター
naoki
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

ブログバナー

よしもとブログランキング

もっと見る

プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事