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足早に訪れる Assisi の夕刻。
音も無く流れ出す冷たい風が頬に当たり始める頃、古街の風情も極まります。
先刻まで溢れた嬌声の観光客は、それぞれ暖かな車中の人となり、煌びやかな大都市の懐へと向かい始めます。取り残された Umbria の平原にぽつりと浮かぶ小さな街並みは、冬只中の冷たい静寂の中、再び黙して佇む時刻を迎えます。真冬の夜の侘しい小村に、宿を定めて逗留するのは、一種胸を詰まらすような旅情に自ら身を委ねる事を意味します。
Francesco が開いた街の帰すべき姿は、やはり 「 静寂 」 となる筈です。
小山の中腹に据えられた Assisi の落ち着いた立ち姿は、「 下界 」 から離れ、永遠の瞑想に沈もうとする聖人が選ぶに相応しい風情を帯びます。真冬の夕刻、屈んだ身を伸ばすように冷気が聖地に降りて来る頃、かつて同じように聖人が吸い込んだ清廉な空気が辺りに充満します。
街路を照らす独特の形をしたランタンに頼りない灯りが 1 つ 2 つと点もります。
それを潮に、人通りは拭い去るように消え、Assisi に、ただただ静かな時間が流れ始める ・・・ 侘しげな風情の中に、「 聖人の開いた街 」 という思いを重ねると、冷たい空気が張り詰め、聖地が持つ凛とした別の姿が浮かび上がるようです。夕刻の静かな街に佇み、抑え切れない侘しい旅情が胸に迫る ・・・ それは、この街にまた 1 つ、言い知れぬ魅力を重ねる事になるのかも知れません。
Francesco の名を冠した聖堂の鐘楼が、短く低い音を響かせます。
その音が、澄んだ空気に乗って小さな街を包み込む ・・・
Assisi の冬。
聖地の静寂。
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2011年01月30日
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