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冬のマドリッドは、存外寒さが沁みます。
ホテルから一歩外に出ると、冬の欧州らしい独特の寒気が足元の石畳から這い上がってきます。
当初、目的地であるアンダルシアへの 「 中継地 」 と割り切り、左程興味を引かなかったマドリッドも、いざその石畳を踏み締めると、思いもよらず胸が高鳴るものです。2 日後には、南へ向かう列車に乗り、マドリッドを発たなくてはならない私は、真っ先に訪れてみたいと思う場所がありました。それは、ソルや王宮、市庁舎などの有名な観光地ではなく、プラドやティッセン・ボルミネッサといった美術館界に覇を唱えるような殿堂でもありません。私が到着翌日の朝、ホテルを出て真っ先に向かったのは、旧市街にぽつねんと場所を広げる 「 マヨール広場 」 です。
スペイン語の Mayor は、イタリア語の Maggiore すなわち greater や bigger に相当しますから、「 マヨール広場 」 とは、さしずめ 「 大広場 」 という訳語が与えられることになるでしょうか。ご案内の通り、スペインには各都市に Mayor と名前が付いた広場や教会があります。それらは、いずれもその都市で最も大きくかつ重要な意味を持つ広場や教会ということになります。( イタリアでも各都市に Maggiore と冠される広場や教会がありますが、全く同じです。)
私は、イタリアを旅行する際、初めて訪れる街の地図中に Maggiore の文字が付された場所を見付けると、真っ先に訪れることにしています。イタリアに限らず、欧州の古都、中でも旧市街と呼ばれる区画は、都市形成が中世あるいはそれ以前に完了しているものが多い筈です。其処には、延焼防止や集会場所の確保など、様々な理由で必ず 「 大広場 」 の類が設けられます。「 大広場 」 は、都市の内外から様々な人が訪れ、行き交ってきた場所です。現代の生活様式がどのように変わろうとも、その都市の歴史を見詰めてきた痕跡が、必ず何処かに残っているものです。初めて訪れる街の来歴を少なからず知りたいと思う時、必ず 「 大広場 」 を訪れます。それは、Mayor とスペイン語になったとしても、私にとっては同じことです。
レセプションで貰った地図を広げると、幸いにもマヨール広場はホテルから歩いて 10 分ほどの距離にあります。足元から忍び寄る寒さを供にして早速、歩を進めました。
大きな通りから続く、暗いアーケード状の通路を抜けると、突然広場が眼前に広がります。
マヨール広場は、四方を四層に重なった建築物に囲まれています。従って、通路を通り抜けて広場に入って初めて、一辺 200 メートル見当の空間が広がっていることに気が付きます。周りを囲む建物は、バルコニーが付いたマンション風の居住施設になっています。ここに住む人は、旧市街の狭苦しい風情から目を逸らすためにバルコニーに出て、広がる空間を見下ろし楽しむことが出来ます。建物が建てられ、現在ある広場の景観がマドリッドに浮かんだのは、17 世紀と言いますから比較的 「 新しい 」 とはいえ、街の喧騒から遮断された広場の空間は、独特の美観を保ちます。
寒さを避け、広場の一隅にあるカフェに入り、暖を取ります。
窓のガラス越しに、広場のあちこちで感嘆を漏らす観光客の群れをぼんやり眺めていると、ふと1 枚の絵が頭に浮かびました。以前何かの画集で見たことのある絵が、段々頭の中で明瞭になってきました。はっきりと思い出したその絵の輪郭を頭に浮かべながら、改めて目の前の広場を見詰めると、この美しい広場で起こってきたであろう様々な悲喜劇が重なってくるような気がします。
そう、やはり 「 大広場 」 は、その街の 「 歴史 」 だと思うのです ・・・。( 次回の記事へ )
旅のメモ:
今回の目的地であるアンダルシアの古都グラナダまでは、マドリッドから列車で5時間弱。出国同日のグラナダ入りは、とても叶いませんので、マドリッドを 「 旅の起点 」 としました。もっとも、残念なことに日本からスペインまでの直行便はありませんので、どのみち欧州のいずれかの都市から乗継便でマドリッドかバルセロナに入るしかありません。今回は、チューリッヒから乗り継ぎました。
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その他
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他の書庫に入れることが出来ない、文字通り「その他」の記事です。愛犬 Lunedi が「場つなぎ」役として時々登場します。
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スペインから帰国しました。
2 月初旬、諸々の雑事に手を入れつつ機中の人となり、西都マドリッドを経て地中海を背にするアンダルシアへ入りました。
「 入る 」 というのは、正に言葉の妙で、マドリッドを発った列車が荒涼たる低地を進むにつれ、いよいよ欧州の外れ、否、これまで見知った欧州とは異なる 「 別世界 」 に辿りつく感を強くします。伝え聞いていたとは言え、スペイン南部の風情は、車窓の景色を切り取るだけでも 「 もう一つの 」 の欧州を容赦なく心に刻み込みます ・・・。
「 雑事 」 の続きを片付けつつ、少しずつスペインの事を記してみたいと思います。
イタリアとは異なる 「 もう一つの 」 欧州もまた忘れ難い魅力を持ちます。
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Strange fits of passion have I known :
And I will dare to tell,
But in the Lover's ear alone,
What once to me befell.
When she I loved looked every day
Fresh as rose in June,
I to her cottage bent my way,
Beneath an evening-moon.
Upon the moon I fixed my eye,
All over the wide lea ;
With quickening pace my horse drew nigh
Those paths so dear to me.
To K
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Death, be not proud, though some have called thee
Mighty and dreadful, for thou art not so;
For those, whom thou think'st thou dost overthrow,
Die not, poor Death, nor yet canst thou kill me. From rest and sleep, which but thy pictures be, Much pleasure, then from thee much more must flow, And soonest our best men with thee do go, Rest of their bones, and soul's delivery. Thou'rt slave to Fate, chance, kings, and desperate men, And dost with poison, war, and sickness dwell, And poppy, or charms can make us sleep as well, And better than thy stroke; why swell'st thou then ? One short sleep past, we wake eternally,
And Death shall be no more; Death, thou shalt die. ・・・・・ John Danne, Holy Sonnets, X
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Prayers never know what should be done by themselves
They also never do What He puts on them
Though they need to pray and do What should be wanted by Him
They ought not eventually to know or feel It
Indeed it is so pleased to them that He does Itself
Prayers : naoki
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