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○○ 様
Firenze を発とうとしています。
決して慣れる事はありません。
1 つの街を離れる時、言いようもない寂しさが胸に湧いてきます。忘れ難い旅の思い出が、しがみ付くように心に残り、それに付随する深い思い入れが強まれば強まるほど、その街との別れ際は濃い旅情を帯びます。「 移動 」 を常とする列車の旅に必ず付き纏うこの旅情は、鉄道駅という 「 離れ発つ 」 という雰囲気を助長する 「 舞台 」 のせいかも知れません。何度も訪れている、この S. M. Novella 駅でさえ、独特の寂しさを沸き立たせる役目を充分に果たします。以前、訪れた時とは違う何か ・・・ それを今度の滞在で感じるならば、Firenze を発つ寂しさも一層つのる筈です。
Roma 行きの乗客も疎らな各駅列車の座席の中に身体を沈め、発車を待つ間にそのような事を思います。
各駅列車は、Roma へ向かう途中、数え切れない駅に停まる筈です。
今度の旅も Firenze から先の旅程を決めていません。駅で貰った路線図に目を落とし、ふと視線が止まった Arezzo が次の目的地になるでしょうか。しかし、車窓に気に入った景色が映り、気無しに降りた田舎駅もまた良いかも知れません。未だ決まらない次の目的地を無理やり頭に浮かべる ・・・ 1 つの街を発つ時に湧き上がる寂しさを紛らわす時、いつもこのようにしています。
次に差し上げる手紙が、Arezzo ではない街の消印で届いたら。
途中下車しても良いなと思う、景色に出会ったという事になるのでしょう。
Firenze を発つ列車にて
naoki
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○○ 様 |
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ローマに、今年も年の瀬が迫ります。 |
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