イタリア Lezione

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イタリア旅行に関する記事です。
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cipressi

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 ふと気が付いて顔を上げると、小さく揺れるバスの中から Toscana の風景が見えた。



 車窓から見える夕刻の丘陵は、何処までもなだらかに広がる。
 丘の向こう側から、次の季節を予感させる冷たい風が吹き込む頃、見慣れた筈の丘々も、それらしい風情に変わり始め、眼に映る。「 もう、すっかり ・・・ 」 と、心の中で密やかに呟くと、あれ程華やいだ盛夏の印象も、途端に霧散するような心持ちに変ずる。


 車窓に少し侘しい季節の色が加わると、糸杉の陰が、いつもより深く眼に残る。
 なだらかな丘陵に、鋭角な線を刻む糸杉は、侘しい色に良く似合う。




 Toscana の風景にある糸杉。
 丘々を彩る青々とした色に 「 埋もれて 」 いた糸杉の常緑も、辺りの色合いが刻々と褪せ始める頃、明瞭に、その姿を景色に刻む。鋭角な糸杉の屹立が、丘陵地帯に目立ち始めると、長閑に見えた Toscana の空も、ゆっくりと高くなってゆく。





 丘に疎らに立つ家々の姿が、車窓に流れ込む。
 各々の家を繋ぐ小さな道沿いに並ぶ、不揃いな糸杉の列。丘陵の向こう側に陽が落ち、侘しくなった季節の色合いに、もう直ぐ、その影が混じるのだろう。



 「 糸杉 ・・・ 」
 時折揺れるバスの中で、もう一度、呟いてみる。


 Toscana に、糸杉の存在が際立つ季節がやって来た。 

オレンジ 2 つ ( 改 )

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 小さな街に着いて、一息ついたら、ホテルの周りを一通り散策してみる。



 大きな通りではなく、小さな路地を見つけては、息を整えて、ゆっくりと歩く。
 建物の陰で陽が当たらないような横丁風の裏路地に、大抵 bar や雑貨屋、花屋、八百屋、果物屋などの小さな店があるものだ。そういう店を眺めているだけで、何だかとても楽しい。時には、少し奥まったところに、小さくて可愛らしい trattoria を見つけることもあって嬉しくなる。

 この手の散策が大好きだ。


 果物屋でオレンジを 1 つ買ってみる。
 見知らぬ外国人に対して、訝しげな色を浮かべる皺の深い店番の老婦人も、Molto gentile ! と一言添えると、一瞬驚いたような表情になり、そして柔らかな笑みを取り戻した。

 「 1つだけ ・・・ 」 と言ったのに、小さな紙袋には、オレンジが 2 つ入っていた。





 ガイドブックに載っているような旧所名跡を巡るのは、明日で良い。


 陽の翳った裏路地、穴だらけの石畳、落書きの看板、誰も振り返らなくなった Tabernacolo 、ボールを蹴る子供の喚声 ・・・ そして果物屋で買ったオレンジの酸っぱい味 ・・・。


 そういう 1 つ 1 つの何気ない断片もまた、この国の、そして旅の魅力。

夏宵

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 早目の夕食を済ませ、ホテルとは 「 反対 」 の方向に歩を進める。



 Venezia の夏宵。

 ホテルの部屋に戻るには早過ぎる。月明かりで薄く光る小水路の水面を頼りに、小さな路地を幾つか曲がる。路地を 「 通り道 」 にして、時折吹く心地良い風に、潮の匂いが微かに混じり始めると、程なくして S. Marco 広場が近付く。傾きかけた建物の壁に当たって、路地に共鳴する、囁くような人のざわめきは、Venezia の夏の宵に相応しい。


 小さな路地が終わり、不意に S. Marco 広場に出る。

 昼間観た夏の直射を浴びて鋭く光る石畳は、漸く穏やかさを取り戻し、涼しげな空気を発して傍らの Laguna に戻す。疎らになった人の群れも、緩やかな宵の流れに身を任せて、昼間とは異なる歩みを石畳に乗せる。
S. Marco 寺院の丸みを帯びた東方風の装飾も、察するように、独特の威圧を落として優しげに広場を見下ろす。





 広場の一隅に席を占め、束の間楽しむ 水の都の夏宵風景。



 何処か遠くの方で響くように聞こえる弦楽の音色

 穏やかに行き交う人の波

 細いグラスの中で細かい泡を立てる Bellini の煌き

 傍らの Laguna から漂う潮の匂い

 そして、肌を撫でる夏宵の柔らかな空気 ・・・



 弦楽の曲が La Vie en Rose に変わる頃、Venezia の夜に少しだけ異なる 「 色 」 が加わった。

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 透明な筈の夏の光も、Amalfi の海に反射すると、「 柔らかい 」 色合いに変じる。



 遠くから見る海は、「 柔らかい 」 光の色を通して、その独特の 「 青 」 を一層濃く深める。
 時折弾む、白波の飛沫さえ、Amalfi の光と海に溶け込むと、不思議な程、穏やかに眼に映る。切り立った石灰岩の壁岩、緑色を散らしたような木々の薄い堆積、そして点在する家並みの乳白。それら全ては、「 柔らかい 」 光と 「 青 」 の海を一心に引き立てる役目を負うかのように、音も無く対峙する。


 レモン畑の爽やかな香りが混じる陸風と、「 青 」 の上を滑ってそよぐ静かな海風。
 太陽が高くなり、「 柔らかい 」 光にほんの少し夏の眩しさが加わるとしても、風を頬に感じれば大丈夫。高台にあるホテルの窓には、涼しげな空気だけが足音を立てずに吹き込んで来る。


 南イタリアに景勝地は数あれど、Amalfi 海岸の 「 光 」 と 「 海 」 は、いつまでも忘れ難い。
 心躍るような旧所名跡の存在は皆無であり、また、そういう場所に眉尻を上げて訪れる必要も無い。ただ、「 柔らかい 」 光と、それに照らされた海の 「 青 」 だけが Amalfi の魅力。


 「 柔らかさ 」 と 「 青 」 だけを纏って過ごす 「 何もない 」 夏のヴァカンスも、決して悪くは無い。

夏の 「 浮遊 」

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 朝、ホテルの玄関を出る時に感じる、特有の浮遊感が好きです。



 9 時を過ぎ、閑散となったホテルの食堂で、朝食を静かに済ませます。
 部屋に戻って、漫然と身支度を整え、漸く外に出掛けます。ホテルから一歩出て、「 さて、今日は何処に行こう ・・・ 」 と思う瞬間、身体が浮き上がるような感覚を感じます。今日一日、予定は全く無い、仕事先に向かう事も無ければ、人と会う必要も無い。全てが自由です。「 何かをする必要が無い 」 というのは、手掛かりを失った様で、妙に落ち着かない心持ちですが、それ以上に、普段の生活で、思う以上に自分を縛っていた 「 何か 」 から、一挙に解放される快感が身体に充満します。明日も明後日も、旅先では毎日、ホテルの玄関を出る時に、「 さて、何処に行こう ・・・ 」 と考える事が出来る。そういう独特の浮遊感を伴う 「 自由 」 を手に入れただけでも、旅をしている甲斐があるというものです。





 幸いながら、夏のローマは、行き先に事欠きません。
 何度目かの訪問を経て、主な 「 見所 」 を飽いたと思う時、自由なローマの旅、否、「 浮遊 」 が始まります。
Termini の駅から、当ても無くブラブラと Cavour 通りを下って裏道に敷かれた石畳の凹凸を楽しむのも良し。
Palatino 橋の袂から、Tevere を臨み、対岸の人通りを漫然と眺めるも良し。Laterano 宮に程近い、小さいながら出色な味の gerato 屋で、何時もの pistacchio を頬張るも良し。或いは、風が心地良い夕刻、Garibaldi 記念碑から眺める、誰も知らない ロマンティックな夜景に 「 大切な人 」 を連れ出すも良し ・・・。ローマの夏には、次から次へと自由な 「 浮遊 」 が湧き上がります。





 夏。


 コートの襟を立て、寸分違わず行き先を決めて歩かなければならない、あの冬の寒さは、遠い記憶の彼方。
 「 永遠の都 」 に充満する夏の空気は、歩調を軽くし、当ての無い自由な 「 浮遊 」 を助長します。幾重にも見知らぬ路地を曲がり、ふと出会う光景こそ、自分だけが知る 「 夏のローマ 」 なのだと思います。


 朝、ホテルを出て、「 今日は何処へ ・・・ 」
 そう、思いながら、自由な空気を吸って 「 浮遊 」 する ・・・ 今年も、ローマに夏が来ました。


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