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Firenze の 「 見所 」 を浮かべて指を屈しても、Duomo に思い到らない方は居ないでしょう。
Firenze の Duomo は、やはり特別です。
イタリア中の各都市に、「 ドゥオーモ 」 と呼ばれる、巨大な 「 基幹 」 教会が立ち並びますが、picturesque な外観、仰ぎ見る程の巨躯、洗礼堂・鐘楼との調和、そして、その名声 ・・・ いずれを挙げても、Firenze の Duomo に比すには、少々憚られます。決して大きくはない街の中心に、威風堂々と座す立ち位置を考え合わせても、
Firenze の Duomo 以上に、都市を代表する symbolic な 「 ドゥオーモ 」 は無いと言って良いでしょう。建築史にお詳しい方であるならば、Duomo 建設に伴う F. Brunelleschi と L. Ghiberti の壮絶な葛藤に思いを馳せながら、「 花の蕾 」 然とした円蓋を見上げるのかも知れません。いずれにしても、Firenze といえば、Duomo であり、あの赤茶けた 「 花の蕾 」 を頂きに被せた独特の姿を思い浮かべれば、それは即ち、Firenze を想起する事と同じ意味になります。Firenze を訪れる際には、初訪、再訪に関わらず、街の真中に屹立する、この symbolic な
Duomo を心ゆくまで眺めたいものです。
Firenze は小さな街ですから、その中心部は、何処に行っても人の群れです。
世界中から、引寄せられる様にやって来る膨大な数の観光客は、街の 「 小ささ 」 故に、余計、密度を濃くします。Firenze 中心部特有の、建物が迫り来る狭い道に陣取って、我が Duomo を見上げようとして立ち止まると、忽ち、人の行き来を妨げる障害物と成りかねません。しかも、Duomo は、その巨体によって間近からの視点を遮ります。下から見上げると、幾何学模様の入った壁面は堪能出来ますが、肝心の円蓋部は、遙か上方にあり、よく見えません。
Firenze を最初に訪れた時、憧れの Duomo を 「 眼の前 」 で見たいと思ったものです。
その姿を出来るだけ、間近で見ようと近付きましたが、近付けば近付くほど、Duomo は、巨大な石の 「 塊 」 で、少し落胆した憶えがあります。美しい円蓋部の形が見えるように、色々と角度を変えて眺めましたが、後ろから絶えず流れてくる人の波に押され、Duomo の全体像を心ゆくまで 「 鑑賞 」 するには、程遠い ・・・ そのように感じました。
それ以来、Firenze を再訪する機会を得た時は、遠く 「 離れて 」 Duomo を眺めるようにしています。
人波に押されて慌しい思いをせず、しかも、その美しい円蓋部まで、明確に見通す事が出来る場所は、やはり中心部を離れた 「 高台 」 に限ります。Firenze の 「 高台 」 といって、真先に思い浮かぶのは、Arno 対岸の
Michelangelo 広場です。小高い丘の上にある、この広場からの眺めは、とても素晴らしい。Duomo の美しい姿はもちろん、Firenze の街全体を見渡す事が出来ます。初めて、この広場から Duomo の 「 全体像 」 を見た時、街の中心に座す蕾の優雅な遠景に心打たれたものです。ただ、Michelangelo 広場は著名な 「 観光スポット 」 ですから、絶えず大型のバスが発着し、同じ様に、「 離れて 」 Doumo を眺めようという同好の観光客が多く、少々落ち着かないというのが、唯一の難点でしょうか。
「 離れた 」 場所から Duomo を眺めて、改めてその美しさを目の当たりにしました。
ただ、人群れを気にせず、もう少し静かにゆっくりと眺めてみたいという欲求も沸き起こりましたから、以来、再訪する度に、理想の view point を探しています。現在、気に入っている場所は、Boboli 庭園です。同じ Arno 対岸の Pitti 宮に併設されたこの庭園は、小高い丘に登るような坂を有しています。この坂の頂上から眺める
Duomo もまた、美しい姿を保ちます。しかも、幸いなるかな?この庭園に入るには、「 入場料 」 が要りますから、人の姿も比較的少なく、落ち着いて眺める事が出来ます。Pitti 宮の Palatina 美術館に、多くの耳目は向きますが、庭園の頂上から眺める Duomo もまた、劣らず美的鑑賞眼を刺激すると思います。
Firenze の Duomo は、少し離れて見るのが良いと思います。
Firenze を何度か訪れた事がある方の中には、Duomo を眺める、お気に入りの場所を持っているかも知れません。そのような自分だけの 「 お気に入りの 」 場所を探しながら街を巡るのも、Firenze 観光の隠れた楽しみ方なのでしょう。やはり、「 花の蕾 」 は、最も美しい姿で眺めたいものです。
静かな場所から遠く眺めて、親指と人差し指で作った円の中に Duomo を収めてみます。
可愛らしく小さくなった 「 花の蕾 」 も、実に美しいと思います。
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