イタリア Lezione

主にイタリアに関する読み物です。

旅行

[ リスト | 詳細 ]

イタリア旅行に関する記事です。
記事検索
検索

Pitti の方へ

イメージ 1

 Firenze の 「 見所 」 を浮かべて指を屈しても、Duomo に思い到らない方は居ないでしょう。



 Firenze の Duomo は、やはり特別です。
 イタリア中の各都市に、「 ドゥオーモ 」 と呼ばれる、巨大な 「 基幹 」 教会が立ち並びますが、picturesque な外観、仰ぎ見る程の巨躯、洗礼堂・鐘楼との調和、そして、その名声 ・・・ いずれを挙げても、Firenze の Duomo に比すには、少々憚られます。決して大きくはない街の中心に、威風堂々と座す立ち位置を考え合わせても、
Firenze の Duomo 以上に、都市を代表する symbolic な 「 ドゥオーモ 」 は無いと言って良いでしょう。建築史にお詳しい方であるならば、Duomo 建設に伴う F. Brunelleschi と L. Ghiberti の壮絶な葛藤に思いを馳せながら、「 花の蕾 」 然とした円蓋を見上げるのかも知れません。いずれにしても、Firenze といえば、Duomo であり、あの赤茶けた 「 花の蕾 」 を頂きに被せた独特の姿を思い浮かべれば、それは即ち、Firenze を想起する事と同じ意味になります。Firenze を訪れる際には、初訪、再訪に関わらず、街の真中に屹立する、この symbolic な
Duomo を心ゆくまで眺めたいものです。


 Firenze は小さな街ですから、その中心部は、何処に行っても人の群れです。
 世界中から、引寄せられる様にやって来る膨大な数の観光客は、街の 「 小ささ 」 故に、余計、密度を濃くします。Firenze 中心部特有の、建物が迫り来る狭い道に陣取って、我が Duomo を見上げようとして立ち止まると、忽ち、人の行き来を妨げる障害物と成りかねません。しかも、Duomo は、その巨体によって間近からの視点を遮ります。下から見上げると、幾何学模様の入った壁面は堪能出来ますが、肝心の円蓋部は、遙か上方にあり、よく見えません。


 Firenze を最初に訪れた時、憧れの Duomo を 「 眼の前 」 で見たいと思ったものです。
 その姿を出来るだけ、間近で見ようと近付きましたが、近付けば近付くほど、Duomo は、巨大な石の 「 塊 」 で、少し落胆した憶えがあります。美しい円蓋部の形が見えるように、色々と角度を変えて眺めましたが、後ろから絶えず流れてくる人の波に押され、Duomo の全体像を心ゆくまで 「 鑑賞 」 するには、程遠い ・・・ そのように感じました。


 それ以来、Firenze を再訪する機会を得た時は、遠く 「 離れて 」 Duomo を眺めるようにしています。
 人波に押されて慌しい思いをせず、しかも、その美しい円蓋部まで、明確に見通す事が出来る場所は、やはり中心部を離れた 「 高台 」 に限ります。Firenze の 「 高台 」 といって、真先に思い浮かぶのは、Arno 対岸の
Michelangelo 広場です。小高い丘の上にある、この広場からの眺めは、とても素晴らしい。Duomo の美しい姿はもちろん、Firenze の街全体を見渡す事が出来ます。初めて、この広場から Duomo の 「 全体像 」 を見た時、街の中心に座す蕾の優雅な遠景に心打たれたものです。ただ、Michelangelo 広場は著名な 「 観光スポット 」 ですから、絶えず大型のバスが発着し、同じ様に、「 離れて 」 Doumo を眺めようという同好の観光客が多く、少々落ち着かないというのが、唯一の難点でしょうか。





 「 離れた 」 場所から Duomo を眺めて、改めてその美しさを目の当たりにしました。
 ただ、人群れを気にせず、もう少し静かにゆっくりと眺めてみたいという欲求も沸き起こりましたから、以来、再訪する度に、理想の view point を探しています。現在、気に入っている場所は、Boboli 庭園です。同じ Arno 対岸の Pitti 宮に併設されたこの庭園は、小高い丘に登るような坂を有しています。この坂の頂上から眺める
Duomo もまた、美しい姿を保ちます。しかも、幸いなるかな?この庭園に入るには、「 入場料 」 が要りますから、人の姿も比較的少なく、落ち着いて眺める事が出来ます。Pitti 宮の Palatina 美術館に、多くの耳目は向きますが、庭園の頂上から眺める Duomo もまた、劣らず美的鑑賞眼を刺激すると思います。





 Firenze の Duomo は、少し離れて見るのが良いと思います。
 Firenze を何度か訪れた事がある方の中には、Duomo を眺める、お気に入りの場所を持っているかも知れません。そのような自分だけの 「 お気に入りの 」 場所を探しながら街を巡るのも、Firenze 観光の隠れた楽しみ方なのでしょう。やはり、「 花の蕾 」 は、最も美しい姿で眺めたいものです。


 静かな場所から遠く眺めて、親指と人差し指で作った円の中に Duomo を収めてみます。
 可愛らしく小さくなった 「 花の蕾 」 も、実に美しいと思います。

la pioggia fitta

イメージ 1

 小路を巡る運河の水面に、雨粒の波紋が 1 つ、2 つ広がった。



 思わず見上げても、入り組んだ建物の壁面に遮られ、空が無い。
 運河と言うよりも、小水路然とした水の流れを伴う薄暗い路地は、時として空も入り込む余地が無い。この街では、小水路の水面上だけが、辛うじて空に繋がる部分なのだろう。気付かずに迫った雨雲の訪れは、いつも水面が先に知る。人は、小水路に広がる波紋を見て、足取りを早める事になる。


 独特の組み方をした石畳を通して、足元から伝わる冷気が少し強くなる頃、Venezia に冬が来る。
 知らぬ間に落ちてくる雨粒も、冷たい季節を彩る養分を色濃く含むようになる。入り組んだ水路を滑る特有の冷気が街の隅々まで行き渡り、極まった秋の風情を押し流すようにして、大運河たる Canal Grande へと抜けて行く。名残り惜しむような季節と共に、冷気に乗り、暗い小路を幾つも通り過ぎて、当ても無く歩みを進めると、やはり Canal Grande の大きな流れに出た。


 漸く仰ぎ見た空に、冬らしい厚い雨雲が広がる。
 大運河の広い水面に落ちる冷たい雨は、間もなく耐え難い程の冷たさを Venezia に運んで来るだろう。迷路のような幾つもの細い路地から、否応無く流されて来た前の季節の空気は、大運河に落ちる次の季節の雨に止めを刺されて霧散する。





 不揃いに傾く河岸の建物が、雨霧に霞み、もう直ぐ水面との境が分らなくなる。
 あれ程青く広がっていた空が鉛色に変わり、大運河の水面と同じ色になる季節。

 Venezia に、今年も冬がやって来る。

車窓

イメージ 1

 reggionale という名の各駅列車が、また 1 つ、小さな駅に着く。



 Sicilia の午後。
 最果ての島に流れる秋の時間は、あくまで 「 南 」 らしく、緩やかで音も無い。次の季節が足早に訪ようとする北部の観光都市とは異なり、南の島の秋は、列車と同様、動きが鈍い。去り難く残る西日の暖かさが駅舎の軒先に当り、車窓越しの視線を少し細める。乗り降りする乗客も見当たらない小さな駅の風景は、いつの間にか疎らになった車内の静寂と重なり、時間の刻跡を徐々に消して行く。


 目的地の Palermo に、急ぐ用事がある訳ではない。
 もしかしたら、Palermo を次の 「 目的地 」 とする理由も無いのであろう。一足飛びに移動して忙しく観光地を巡るのが、北部の列車旅ならば、何も無い駅の風情に誘われて、穏やかな時間に浸るのが、南の車窓に映る旅の有りようなのかも知れない。Palermo の事など、どうでも良くなり、「 下車してみようか ・・・ 」 と、不意に思う。静かな田舎の駅で、季節に似つかわしくない西日を楽しみながら、無為に時間を過ごしても良い ・・・ こういう感覚が、何処と無く沸き起こり、Sicilia の旅が知らず知らずに身体に染み渡る。


 音も無く動き出す列車。
 車窓に映る風景が、遠くまで広がるオリーブ畑に変わった。


 何も無い田舎の小さな駅が、不思議と忘れ難く残る。
 Palermo に着くまでに、あと何度、同じような駅を過ぎるのだろう。


 reggionale で行く Sicilia の午後。

Assisi の風

イメージ 1

 Assisi を通り抜ける風。



 Umbria の平原が初秋の空気に覆われ始める頃、既に Assisi の風は冷たくなる。
 小高い山の中腹にある小都市では、季節の移ろいも相応に早くなる。


 平原を見下ろす小さな街の小さな教会。
 バスで通り過ぎる観光客が立てた僅かな嬌声が再び止み、周囲に静けさが戻る時、教会の白い壁は、人知れず肌寒くなった風を独り受けて小さく身を屈める。


 山から降ろす風が、季節の深まりを一層帯びる頃、Assisi の短い秋は、平原へと下って行く。


 秋の風は、いつも小さな街を足早に通り過ぎる。

開く トラックバック(1)

夏の引き際 ( 改 )

イメージ 1

 Toscana にも、ゆっくりと次の季節が迫り、夕景の西日も盛夏の色合いを幾分薄くする。



 空と太陽が高くなり、丘陵を抜ける風に涼しげな感触が混じるようになると、もう夏の引き際。
 Toscana の内陸に浮かぶ、小都市 Firenze では、木々がその実を熟し、牧草が徐々にその色を変えるような季節の移ろいを逐一感じる事はない。この街で過ごす盛夏の魅力に引寄せられた人々の熱気は、次の季節の足音が間近に迫っても上空に暫く滞留し、夏の「引き際」を鈍くする。


 やがてヴァカンスも終わり、人の波が徐々に凪ぎ、いつの間にか高くなった空に熱が急速に奪われる。
 小都市を取り囲む、Toscana の涼しげな空気が、音も無く流れ込む頃、漸く Firenze も、1つの季節が去ろうとする足音に気付く。





 Arno に映る夕陽が、いつの間にか 「 秋色 」 に変わった。

 生気みなぎる赤い夕陽が、季節の変わり目を受けて既に色付き始めた丘陵地の牧草と同様、黄金の色をいつの間にか増している。Santa Trinita の橋上を行く人の影が昨日よりも少しだけ長くなり、Toscana の自然が程なく悟る次の季節の兆候は、内陸の小都市に佇む限り感じるべくもない。唯一、夕陽のもたらす色合いの移り変わりだけが
Firenze から夏を奪い去る気配となろう。



 夏の「引き際」を、黄金色の西日に見る頃、丘陵で熟した次の季節の気配が、Firenze にも確実に迫る。


.
アバター
naoki
非公開 / 非公開
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31

過去の記事一覧

検索 検索

ブログバナー

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

CMで話題のふるさと納税サイトさとふる
毎日お礼品ランキング更新中!
2019年のふるさと納税は≪12/31まで≫

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事