イタリア Lezione

主にイタリアに関する読み物です。

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イタリア旅行に関する記事です。
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一輪挿し

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 巨大な足元に群れる人波の隙間から見上げるのに疲れたら、「 遠目 」 の妙を求めたい。



 Firenze の中心に、色香を湛えて屹立する花の蕾み。
 近寄って、壁面の精緻な幾何学文様に感嘆するのも良いが、やはり、Duomo は、離れて観る方が、眼に 「 らしく 」 映る。多くの嬌声に囲まれながら、忍ぶ様に立つ蕾みの姿に、少しだけ息苦しさを憶えたら、出来るだけ遠くの方へ ・・・。小さな街の端に辿り着き、小山に登って漸く振り返る。


 間近で仰いだ 「 一輪挿し 」 の蕾みは、煉瓦色の低い街並みの中で、余計に大きくなった。





 1 つの街を、比すもの無く象徴する建造物は、Firenze の Duomo によって止めを刺される。
 たとえ、この街を離れたとしても、Firenze は Duomo であり、Duomo は、Firenze の記憶を鮮やかに蘇らせる。それならば、Firenze の中に伸びる 「 花の蕾み 」 として、Duomo を眼に焼き付けておきたい。足元のざわめきは、蕾みに与える彩としては、余り相応しくない。それよりも、出来るだけ遠くから ・・・ この街に包まれた 「 花の蕾み 」 として、Duomo をいつまでも眺めていたい。





 離れれば離れるほど、Firenze の中で際立つ Duomo の姿。

 Toscana の小さな街の中で、静かに佇む 「 花の蕾み 」 が、一番美しい。

夏の午後

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 遠く聞こえる潮騒の音で、ふと目が覚める。



 ホテルの部屋に付いた小さなバルコニーの籐椅子で、いつの間にか、うたた寝をしていたらしい。
 遅い昼食と共に空けた、如何にも「 南 」 らしい甘い Corvo のボトルが効いている。仄かに残るアルコールのぼんやりとした感覚も、丘陵の斜面から漂うレモン畑の香りと、海岸から登る涼しげな潮風と相まって、心地良く感じる。


 Amalfi 海岸で過ごす、夏の午後。
 少しだけ陰った陽の光だけが、時の移り変わりを知る全て。





 籐椅子に埋もれながら読んでいた筈の、Cosmopolitans が、見当たらない。
 眠っているうちに、手から落ちたのか、或いは、最初から読んでいなかったのか ・・・。薄く膜を張ったように朦朧とした頭では、どちらでも良い様に思えてくる。色の濃淡のみで、空と海の境目を分ける、「 青 」 の世界には、いずれにせよ、Maugham のシニカルな言葉は似合わない ・・・。その様な事をぼんやりと考えながら、目を閉じると、再び睡魔が潮騒の柔らかい音に乗って忍び寄る。





 Amalfi 海岸で過ごす、夏のヴァカンス。
 「 青 」 に囲まれる、午後のひと時。


 何もする事のない贅沢。
 何もしなくて良い贅沢。


 そして、特別な事が何も起こらない、静かな時間。

夏は夜

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 東京を凌ぐとは言わないまでも、夏の日差しは、ローマでの足取りを重くする。



 「 夏のローマ ! 」 と意気込んで、勇躍ホテルの部屋を踏み出しても、肌を照付ける容赦の無い直射は、石畳に跳ね返り立ち上る熱気と共に、否が応でも季節を実感させる。街の到る所に点在し、万人を感服せしめるローマの遺跡群が、じりじりと陽光を浴びて溶けていく様を目の当たりにするのも一興だが、その 1 つ 1 つから湧き上がる 「 古代ローマの足音 」 を想像して知的好奇心を存分に働かせるには、少々難儀する。


 Prendo le vacanze d'estate ...
 そのような声が、街中に聞こえ出す頃、ローマの夏は、季節を益々色濃くして行く。潮が引く様に、街から人が居なくなっても、古代から色香を失う事の無い、この 「 永遠の都 」 は、外から無数の観光客を引寄せる。引く以上に、返す波の大きさは、すなわち、人の熱を一層この街に充満させる事を意味する。ローマの 「 ヴァカンス 」 は、人を吐き出し、それ以上の人を街に吸い込む。


 季節の太陽と人波の熱は、街歩きの体力を刻々と奪い去る。
 時折、耐え兼ねて、名も無い教会の軒先に出来た小さな日陰で涼を取り、微かに吹く、幸いながら乾燥した風で安穏とする時、「 ローマの夏 」 に、少しだけ恨みがましい溜息がこぼれる。







 S.M.Maggiore 裏手の小さな ristorante で遅い夕食を済ませて外に出ると、日差しは漸く翳っていた。
 日暮れの遅いローマの夏も、さすがに時間の移ろいを知る様で、闇夜が直ぐ其処まで迫る。ホテルの部屋に帰り、暫くして窓の外を見ると、遠い西日が完全に落ち、「 夏の夜 」 が訪れていた。思い立って、もう一度、部屋を出る。





 強烈な日差しも失せ、人の大波も引いた夜。
 大通りを避けて、小さな裏通りを歩いてみる。夏の光を反射していた石畳も、夜は、オレンジ色の薄暗い街灯を照らし出す。人の熱は空に登って消え去り、誰にも見られる事のない時間を迎えた、街中のバロック彫刻も、涼しげな表情を取り戻す。「 夏は夜 ・・・ 」 とは、良く言ったもので、「 ローマの夏 」 も、夜が良い。


 人気の無い裏道は、時折、街灯が途切れて 「 闇 」 になるが、少し歩けば大丈夫。
 オレンジ色の街灯は、再び足元を照らし、開け放たれた家の窓からは、蛍光灯の明かりと家族の嬌声が漏れて来る。足元を脅かす、石畳の凹凸は少し剣呑だが、涼しげな風を感じながらの 「 夜の散歩 」 は、気持ちが良い。


 吹く風が、川風だと気付く頃、Tevere の黒い川面が眼に入る。
 川面に点々と映る、ぼんやりとした灯りは、涼しげな川風と共に、風情極まるといった体で、心に染みこむ。



 夜。
 ローマの夏。

雨降り ( 改 )

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 嘆いても仕方がないので、旅先の雨降りも楽しみたいものです。



 トスカーナのスカイブルーに映える白亜を纏った、ピサのドゥオーモ ・・・
 何処までも広がる薄緑のラグーナに沈む、ヴェネチアの夕景 ・・・
 満天の星と街の疎らな明かりがティレニア海の潮騒に混じる、アマルフィの夜 ・・・



 雨雲を寄せ付けることなど考えも及ばないこれらの風景は、旅をより一層引き立て、心の奥底にイタリアの思い出を深く刻み込みます。旅先の天気は、「 日頃の行い 」 の良し悪しに関わる事ですから、自らの日常に改めて思いを巡らせて胸を撫で下ろすと同時に、心に残るこうした情景の一瞬一瞬を見逃さないようにしたいものだと思います。



 しかし、旅先での雨 ・・・。
 「 日頃の行い 」 を後悔しても時既に遅いですから、ここは開き直って 「 雨に濡れる旅人 」 を気取りたいと思います。傘を持つ手は少しもどかしいですが、「 雨の情景 」 もまた、旅の一部なのでしょう ・・・。



 雨に濡れて鈍く銀色に光る、ローマの石畳 ・・・
 建物の隙間に数匹身を寄せ合って雨宿りをする、アッシジの猫達 ・・・
 音もない驟雨の向こう側に、遠く静かな海と漂う漁船が見える、パレルモ海岸沿いのバール ・・・
 そして、傘の中から2人で見た、小さな街の名もない教会 ・・・



 こうした情景は、雨の冷たさと相まって、何処となく寂しく目に映ります。
 しかし、時として 「 雨の情景 」 は、記憶の断片として、いつまでも心に残る事があるものです。旅は短く、またすぐ自分の生活に戻らなくてはいけませんから、たとえ「 雨の情景 」 であっても、良い思い出として、長く残しておきたいと思います。



 リストランテの軒先で、人の疎らになった広場を見ているうちに、雨も良いなと一瞬感じました。

花の都

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 この季節、Firenze には、花が似合います。



 Toscana の春は、知らぬ間に、内陸部の小都市にやって来るようです。
 初春の名残りを含んだ冷たい風が、いずこに過ぎ去り、暖かい 5 月の空気が、南から街に流れ込む頃、
Firenze の花々は、愛らしい色合いを露わにします。此の間まで、陰鬱に澱んでいた冬の曇り空は、潮が引くように霧散し、思わず額に手をかざす様な、眩しい陽光をもたらす青空が蘇ります。Toscana を支配する空の青につられて、花々も、自らの濃い色彩を思い出すという風情です。


 Firenze に訪れる花の季節。
 石畳と密集した建物に囲まれ、冷たい空気を逃がす事の無かった街の隅々に、5 月の風と、それに乗った爽やかな花の香りが流れ込みます。家々の締め切られていた冷たい窓の格子も徐々に開け放たれ、鉢植えの彩が、あちらこちらに増える様になると、街の雰囲気も相応に華やかになっていきます。コートの襟を立て、縮こまって歩いていた人々の背中も真直ぐに伸び、心なしか、ほころんだ表情が多く見られる様です。


 Toscana の丘陵に独り浮かぶ Firenze は、存外、季節の色合いが乏しいものです。
 丘陵地帯を俯瞰すると、この余りにも人工的に創られた小都市は、ルネサンスの芳香を未だ色濃く保つとは言え、その 「 自然 」 からの孤立感が、佇む者に抗い難く迫ります。かつて四方を取り囲んだ城壁、そして現在も残る人為的な都市機能は、実際に、此の街を訪れてみると分る通り、驚く程に Toscana における 「 自然 」 の流入を遮断します。街の中心部、建物が入り組んだ細い路地の石畳を、一日中踏み締めていると、流れ行く 「 季節 」 を感じる事は、殆ど無いと言って良いかも知れません。それ故、この時期、季節の移ろいを鮮やかに彩る花々の色は、Firenze に 「 自然 」 の安らぎを与えるのでしょう。


 Toscana の季節感を、唯一、明瞭に示す花の色彩は、この街に良く似合います。
 Firenze にも等しくやって来る春の盛りは、咲き乱れる色彩によって、人の眼を自然の移ろいに回帰させるのでしょう。Firenze で、「 自然・季節 」 を感じる時期が、今年も巡って来ました。



 Firenze で、最も花が似合う季節である 5 月。

 花の都 La Citta del Fiori の意味するところが良く分かります。


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