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パレルモで「牛脂サンド」を食べた。
Quattro Canti から歩いて5,6分の所に有名な Vucciria 市場がある。鮮魚、肉、野菜、香辛料、土産物等を売る店(露天も)が並び、活気があるので冷やかして歩くだけでも楽しい所だ。市場の真ん中に小さなカンポ(広場)があり、その一角で屋台を引く若者に声を掛けられた。シャツを捲り上げた腕に派手な刺青を入れている大柄な男だ。屋台を覗くと、大きな丸なべに得体の知れない煮込み料理がグツグツと音を立てている。「これは何?」と聞くと、牛肉の端切れを煮込んだもの・・・と言うのでよく見ると、確かに肉らしきものを細かく刻んで煮込んでいるようだ。
面白いので「1つおくれ。」と言う。するとやおら若者は、先端に目がこまかい金網がついたコテを2つ手に持って構えた。そしてその2つのコテで煮込みをすくって力一杯絞り上げた。煮込み汁が搾り出され滴り落ちるが、その汁には明らかに「脂」分が大量に含まれていた。牛肉の端切れとは、ばら肉の脂が多い部分、否、脂そのもののようだ。その「脂を絞った脂肉」を、両こぶしを併せた位の大きさのバゲットに挟み、器用に新聞紙で撒いて手渡してくれた。1つ1.5ユーロ。
恐る恐る食べてみると、どういう調味料で味付けしているのか分からないが、不思議と日本の牛丼のような「醤油甘辛風」である。正直美味しい。さすがに脂っこさは残るが、一緒に買ったビールを飲みながら食べると程よく中和される。挟んである牛脂煮込みの具からは、まだまだ脂が浮き出てきて、見た目はグロテスクだが案外と重くなくあっという間に食べきってしまった。
若者は「意外と美味しいでしょ。」という風に、にこりと笑った。
後で人から聞いたが、この手の「牛脂サンド」の屋台は、名物とまではいかないがパレルモでよくあるそうだ。冷静に考えてみると、空恐ろしいほど高カロリーのサンドで随分と健康に良くない食べ物だ。しかし、いつの日かパレルモを再訪し件の屋台を見かけたら、迷わずもう一度食べると思う。
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