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近代日本の大実業家・渋沢栄一は、王子の飛鳥山に邸宅を構えていました。
残念ながら空襲に遭い、かなりの部分は焼失してしまったのですが、
「晩香蘆」と「青淵文庫」は残り、重要文化財として現在も見ることが出来ます。
「晩香蘆(ばんこうろ)」(1917)は山小屋風の比較的小さな建物。
室内には暖炉があり、ランプシェードには虹色に光る貝殻があしらわれ、
栗材で丁寧に作られた室内は濃い茶色の落ち着いた雰囲気。
ここでインドの詩人タゴールなどの多くの賓客を、
クッキーとイングリッシュティーでもてなしたということです。なんてモダン!
“青淵”とは、渋沢栄一の「号」。
「青淵文庫」(1922)は、その名の通り、“書庫”として作られたもので、
箱型の簡素な外見でありながら、窓を囲む色タイルの柏の葉の文様が美しく、
旧閲覧室の窓の上部のステンドグラスは、直線を用いた抑え目の品の良いデザイン。
映像資料や展示がある部屋に、ここを訪れた蒋介石などの賓客と一緒に撮った写真が
分厚いファイルになって閲覧できるようになっていました。
2階部分の書庫は非公開ですが、竣工当時は最新鋭の書架だったそうです。
この2棟はともに田辺淳吉の設計。彼は1923年に起こった関東大震災で、
被災した自分の設計した建物の復興に忙殺され、
1926年に47歳で過労死してしまったというお話は哀しかった。
この2棟の建物は「土曜日12:30〜15:45」だけの限定公開。
やっと都合をつけて観に行くことが出来ました。
※左2枚が「晩香蘆」、右2枚は「青淵文庫」。増田彰久氏撮影の絵葉書から。
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