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 映画館でポスターを見て“ドキッ!”として、観るのを決めたシネマ歌舞伎。
泉鏡花の世界を坂東玉三郎が脚色し2009年7月に歌舞伎座で上演された公演の収録です。

 海神の公子(市川海老蔵)に人柱として輿入れをする美女(坂東玉三郎)、
しかし海の底で暮らす彼女は、陸が恋しくなって、戻して欲しいと懇願するも、
彼女は“蛇の姿”になっていて陸には帰れず、また海の底の別荘へ…。

 これは歌舞伎?と驚いた公子を演じる海老蔵の衣裳。
黒い全身タイツにラメの飾り、頭にぴったりと沿った飾りを被り、
キラキラしたマントを翻して颯爽と動いていました。

 台詞もごく普通の会話のようで、周りの歌舞伎っぽい口調と一線を画していたのですが、
劇が進むにつれ、公子の口調は熱を帯び、気付いたらすっかり馴染んでいました。
 
 玉三郎演じる美女は、ラメやビーズ、レース遣いが美しい純白のロングドレスを纏い、
目の縁に朱色が入った日本人形のようなメイク。
えも言われぬ“声色”で、現実を超えた海の中で生きる美女の雰囲気を醸し、
台詞回しも身のこなしも、とってもたおやかで、惹きつけられました。

 ポスターにドキっとした理由は、海老蔵さんが一瞬福井晶一(劇団四季)さんに見えたから。
映画の台詞で「眉の清(すず)しさ、目の勇ましさ」と表現される公子の顔、
予告編で観ても、やっぱり似ています。
 衣裳デザインは「ファイナルファンタジー」のキャラクターデザインも手がけた、
天野喜孝さん。劇中にはハープが奏でられますが、これは朝川朋之氏の演奏で、
昨年暮れの「くるみ割り人形」の時には、ピアノ伴奏でお目にかかっています。
やっぱり歌舞伎っぽくないですね。

 伝統的な歌舞伎ではなく、ミュージカルにも似ている舞台装置や衣装のこの作品は、
すんなり入り込むことが出来て“シネマ歌舞伎”の他の作品も観たくなりました。

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