|
物語は大原美術館の監視員、早川織絵の日常風景の描写から始まりますが、
時間を一気に遡った「アンリ・ルソーの絵の謎解き」の話へ進むと、
一気に引き込まれました。
『画家を知るにはその作品を見る、何時間も向き合うこと…そういう意味では
コレクターは、キュレーター、評論家よりもずっと向き合っているけれど、
コレクター以上に向き合っている人が居る、
美術館の監視員(セキュリティースタッフ)だ。』
こんな会話に納得しつつ、物語は織絵が若かった1980年代に遡り、
その中に“ルソーが生きたベル・エポックの話”が挟まれていく。
劇中劇のような趣のこのお話は心温まる展開で、
洗濯船(バトー・ラヴォワール)に集まるピカソやランボーなどを
生き生きと思い描くことができました。
物語の中で、ルソーが「自分の方が巧い」と思ってしまったブーグロー、
具体的に天然色のその絵が思い浮かぶのも、堪らなく楽しかった。
(ブーグローは端正な美しい絵→古典主義に近い画風です)
美術館のキュレーター、展覧会の企画立案、名画の真贋の鑑定…
興味深いことが次々と出現、
目が離せない、久々に面白い本を読みました。
|