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☆2013年3月13日(水)ソワレ 新国立劇場中劇場
突然思い立って観に行こうと思った訳は、写真家・澤田教一氏の作品への興味から。
もちろん、舞台初主演の玉木宏さんも素敵だろうな、と思って。
舞台には大きな満開の桜。そこで「わだ(私は)」、という津軽弁の会話。
柔らかくて素朴な津軽弁はちょっと早口で語られると、よその国の言葉のように響くこともありますが、
澤田教一とその妻サタさんの会話には、温もりがありました。
戦場カメラマンとして、ベトナム戦争時にサイゴンに入った彼は、最初は臆病に見えたものの、
「津軽男の底力を見せろ」と妻に言われた言葉を胸に、
戦争を憎む執念をこめて撮影した「安全への逃避」で、1966年のピュリッツアー賞を受賞します。
澤田を演じるのは玉木宏。木訥とした青森の青年から、寡黙だけど強い意志をもったカメラマンへの変貌、
サタを想う優しさ。初舞台とは思えない、迫真の演技。
妻サタ(酒井美紀)は、教一より11歳年上のはずなのに、少女のように初々しく天真爛漫…
酒井さんはサタさんの若い頃の写真となんとなく似ていました。
「戦争が憎い。その悲惨さをもっと知らせたくて命がけで写真を撮っている、
その写真で戦争を終わらせることが出来るように…」絞り出すように語る渾身の演技でした。
帰国の途に就く直前で、襲撃を受けてしまう…“魂”だけはサタと青森に戻り、
冒頭の桜の木の下で、「サタさん。家族が作れなくて勘忍。」と静かに繰り返すラストは、
心にずっしりと残る場面となりました。
こんなにも愛されていたサタ夫人はご健在、この舞台も観にいらしていたそうです。
僕の分まで長生きを…そんな台詞があった気がしますが、その通りになっていることに
とても救われた気分です。
※会場出口で配られたガム。チラシが手元になかったため、こんな写真になりました。
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