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☆2011年6月8日(水)ソワレ 自由劇場
とにかく凄かった!生の舞台の迫力に圧倒されました。
平幹二朗さんのシャイロックは、最初は落ち着いた、慇懃無礼な感じでしたが
「証文」を取るあたりから底知れないギラギラしたものが漂い、
裁判に至っては、どんなことがあっても“アントーニオの肉100ポンド”に拘る頑迷ぶり。
犬と呼ばれ、唾を吐きかけられても、高利貸しを生業としてきたユダヤ人、
その自分を蔑む“クリスト教徒”=アントーニオが偉そうに借りにきたお金が
期日までに返せない…。
今までの欝憤を晴らすかのような、かたくななシャイロックの目は、なぜかすこし
哀しそうに見えました。
平さんの台詞、佇まい、すべてに釘付けでしたが、台詞の間にも
大きな眼で語り、その瞳が潤む時、怒りと悲しみが同時に押し寄せてきた心の動きが
痛いほど伝わってきました。観ていて怖いほどに。
平シャイロックに対峙するアントーニオやヴェニス公も気おされ気味、そんな中
ポーシャ扮する若い判事は、清涼剤のような役割を果たしていました。
「血を一滴も取ってはならない」と聞いた時のシャイロックの狼狽、
今まで見ていた市民たちに小突きまわされる哀れなユダヤ人になり果てた、老いた金貸し…。
この演目は「喜劇」なので、シャイロックが居ない場面は意外に軽妙で
笑いが起こりますが、シャイロックに関しては本当に「悲劇」で、それまでのいきさつから、
彼が落ちぶれて行くことが“喜劇”と結びつかなくなってしまいました。
カーテンコールでは満場の拍手を浴びて、「平(ひらっ)!」という掛け声もかかったシャイロック。
その声と言葉、目ヂカラには圧倒され、観に行ってよかった!と心から思いました。
シャイロック以外のキャストについては、「その2」へ。
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