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先日、映画の予告を見たら原作を読みたくなって、借りてきました。
トオマス・マン作/実吉 捷郎(さねよしはやお)訳、岩波文庫。
初版は1939年なので、文章も当時のまま、ということになります。
短編のため、わずかな時間で読めるので助かりましたが、
主人公のアッシェンバッハがタッジオ少年を“讃える”時の形容詞が
とても美しく、声に出して読みたいほどでした。
〜蒼白で、上品に表情のとざされた顔、蜜いろの捲き毛にとりまかれた顔、
まっすぐにとおった鼻とかわいい口をもった顔、やさしい神々しいまじめさを
うかべている顔―彼の顔は最も高貴な時代にできたギリシァの彫像を思わせた〜
映画はまだ観たことがないのに、スチール写真で見た少年の美しさと、
この52ページの文章の言葉は、完全に一致していました。
こうした少年に関する描写は、いくつもいくつも出てきます。
老いていく者にとって、若く美しいものへの憧れと執着は、
現在“若い人”には、なかなか伝わらない感覚かもしれません。
もちろん…私には、よくわかる気がしました。
映画は「ベニスに死す」、小説は「ヴェニスに死す」なのですが、
ヴィスコンティ監督の映画が封切られた1971(昭和46)年当時、
親しみ易い方がいいかと、あえてこちらの表記にしたのかな?と推測してみました。
スクリーンでの鑑賞を、今から楽しみにしています。
※10月公開予定の映画のチラシと文庫本です。
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