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尊敬する先輩の勧めで、借りて来た本です。上下巻に分かれていますが、
2つの違う物語のような、展開の変化でした。
主人公・南部次郎は、満州で貧しい家に生まれ、父亡き後、戦後の引き上げを経て、
更に赤貧の生活のなか母を亡くす…その葬式代のかたに妹を売られそうになって
その相手を殺めてしまい、服役。
その獄中で出会った“陶芸”は、彼の人生を大きく変えていきます。
彼の家族は姉、弟、妹。妹は女優を目指し、したたかにのし上がり、成功を収めます。
しかし殺人犯の兄がいるとは公表できず、兄も妹を想い家族のことは口にしない。
南部次郎は黙々と土をこね、身元を引き受けてくれる陶芸家さんも居て、
その作品は徐々に評価されていく、ここまでが上巻。
そんな頃、中国青磁に魅せられてその“美しい青”を表現したいと研究に没頭し始め、
売るための陶器を焼かなくなり、生活は困窮していく。
その青磁に対する思い入れは深く、幻の青磁を焼かせた徽宗皇帝(在位1100〜1125)と
空想の中で会話ができるようになったほど。
周辺の人々はそれでも彼を支え続ける、特に女優になった妹の葛藤は、
読んでいて、胸が痛かった。
結末については納得できない!という意見も有りましたが、
私は読み終えた感じは“爽やか”でした。
陶芸に限らず、藝術は奥が深く、ただ観賞するだけの気楽な私には
計り知れない深い“淵”があるのかと、芸術家さんを更に尊敬する気分になりました。
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