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毎年楽しみにしている「自由学園明日館」の米山勇先生の講座、
今年は「様式の名手たち」で初回は佐藤功一。代表作は早稲田大学大隈講堂。
続いて岡田信一郎、渡辺仁が予定されていますが、
この3人のうち、佐藤氏だけは、今回初めて認識する名前でした。
片山東熊、佐野利器など、個性的な名前でなかったこともあるのでしょう。
栃木県出身、東京大学工学部卒業(同期に田辺淳吉・佐野利器・大熊喜邦ら)後、
宮内庁を経て早稲田大学理工学部建築家教授。
帝都復興院嘱託〜日本建築学会副会長、
各種設計審査員を歴任、帝国芸術院に推薦された直後に逝去(63歳)。
様式の名手といっても、次回以降の岡田・渡辺氏は様式の鬼才とか魔術師と
形容されますが、佐藤功一は様式を内部から壊していく=モダニズムへの道筋を
つけた人、と解説されました。
確かに作品を見ていくと、かっちりした様式美を敢えて崩しているのか見て取れます。
また彼は、住宅建築を重視し、外観重視から「住まう人が安寧に長寿をえるものを」と
心を砕きました。
校舎(津田塾)・庁舎(群馬・栃木・宮城・滋賀)建築の“廊下”を、
採光重視として片側に造る「寄せ廊下」とするなど、
使う人のことを考える視点には感動します。
また、都市景観として敢えて目を引くデザインに変更した
東京市政会館(日比谷公会堂)は、同時期に竣工した白亜の日本勧業銀行との対比を考え、
当初案の石貼りから煉瓦タイルに変更されています。
こうした都市景観は小泉葵巳男「昭和大東京百図絵版画」第三十五景として残っています。
またこの日比谷公会堂の音響は、当時最新の音響学を学んだ佐藤武夫が担当。
初めて聞く名前の建築家さんの、あまりの奥深さに
驚きの連続だった、とっても楽しい講義でした。
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