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 昨年秋、1人905円でペア、という前売り「グレコ券」を買って、楽しみにしていた展覧会。
夜間開館に併せて、寒風の中をいそいそと出かけてきました。

 彼はギリシャで生まれ、イタリアで修行し、後半生はトレドに住んでいました。
絵画を依頼されて作っても、依頼者が気に入らずに支払いで揉めては訴訟を起こすなど、
なかなか波乱の多い人生だったのかも…展示されていた年表には、訴訟が3回ありました。
 しかしその作品の“輝くような華麗な色彩”に魅了されてしまいます。

 印刷されたグレコの作品にはちょっと異様な印象を受けたことは否めませんが、
実物はその色彩もくどくなく、筆致が少し残る色合いが絶妙。
 特に眼を奪うのが衣服の襞の表現。白を効果的に配し、近寄って見ると
筋のように筆の跡が見えたりしますが、少し離れて見ると光が当たったように…
いやむしろ内部から発光しているような印象を受けました。

 肖像画の表現も、当時の写実的な平面的なものではなく、輪郭が若干歪んだ気もする、
色彩もグレーがかったまだらな色に見えるのに、なんでこんなに生き生きと感じるのだろう?
とっても、不思議。
 また、人物たちの「手」が概して大きかった。指も長いし、その手の表情も豊かでした

 聖母マリアの顔がとにかく美人さん…しゅっと細い輪郭に、潤んだ大きな瞳。
少女のままの聖母は青い衣を纏い、キリストは受難の象徴である赤い衣です。

 弟子たちが眠りこけるとか、教会で物売りを追い払うとか、そんな絵の前では、
頭の中をミュージカルのナンバーが駈け巡りました。
♪みんな眠るのか〜ヨハネ、パウロ、ヤコブ…。

 最後に観た「無原罪のお宿り」。昨年暮れに観た「ルルドの奇跡」で初めて聞いた“単語”。
その言葉と圧倒されるような大きな絵に、言葉を失いつつ、心静かにじっと眺めてきました。

 閉館時間を知らせる「蛍の光」が流れる中、絵をより“見上げる”ために、
しゃがみ込んで見詰める人が何人もいる不思議な空間でしたが、
私も一緒に視線を下げて、名残を惜しみました。

※お土産のチョコ。素敵な入れ物に惹かれて買ってしまいました。

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