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 なんというか…“洗練”とは対極にあるような絵、でも好ましい。
 小林猶治郎(こばやしなおじろう)は、生涯「売れる絵」を目指さなかった…
権威には敢えて距離を置いたのでしょう。
 若い頃「帝展」に入選したことは喜んだようですが、
後年は好きな絵を描き、幼児に絵を教え、学校の講師をして…。

 若い頃、結核で25歳までの命と言われたのに、93歳での長寿を全うできたのは、
泰然自若の生き方にあったのかもしれません。

 裕福な家に生まれながらも、幼くして両親と死別。
 そんな境遇から、家族をとても大事にしていたというのも、
絵から受ける感じが暖かいことと、関係がありそうです。

 チラシの絵の女性は雅(のり)夫人。写真でみると二重瞼ではっきりした顔立ちの、美しい方です。

 彼の絵を見て、素朴派のルソー、重厚な絵の具の質感は小出楢重、童画の単純な線が熊谷守一、
デフォルメされた汽車は岡本太郎…いろいろなものが思い出されますが、彼は、彼。

 取り澄ましたところのない画風はとても楽かったのですが、
絶筆となった「素描写生行脚」(1985)は飄々としていながらも、エネルギーが感じられ、
しばしその場を動けませんでした。

 同時開催の「富田有紀子展」の作者は、小林氏の孫にあたります。
やさしいおじいちゃんが孫娘の美大合格を祝う手紙を出した、という展示物もあって、
とても和みました。

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