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「その1」からの続きです。

 漱石の文学に登場する絵画のうち、実在の者が推測できる場合は、その本物を展示してあり
ターナーやウォーターハウスなど、イギリス美術の繊細な魅力が味わえましたが
実在しない絵画については“再現”を試み、
「虞美人草」の“屏風”、「三四郎」の“森の女”(油彩)の2点が制作されました。

 新井経氏の推定試作は、≪虞美人草図屏風≫。
銀色のバックに、楚々とした花たちですが、茎が描く曲線や
赤と紫の花の色はなかなか魅惑的。

 物語の中では逆さに立ててあったという設定のため、
6月15日には、1日だけ屏風を逆さに展示する趣向とのこと。
 上から下へ咲く雛罌粟(ひなげし=虞美人草)は、シャンデリアのように、
むしろ華やかかもしれません。

 もう1作、≪森の女≫。顔に光が当たるという言葉はあるものの、顔立ちなどは創作…
佐藤央育氏は、現代風の意志の強い面立ちに描いていました。

 他に、本の装丁。「我が輩は猫である」を始め、多くの装丁を手がけたのは橋口五葉。
漱石は、五葉の兄を教えたという関係。洗練された美しい模様でした。

 漱石も自分で装丁をデザインしていますが、これもまたいい感じに渋くて、
現在の岩波書店の装丁にも引き継がれることになっています。

 でも、他の「山水画」や「水墨画」の漱石自筆の作品たちは、絵を愛する心は
十分滲みでているものの、微笑ましさも漂う作品。
 でも、愛があれば…漱石が描いた“炒り豆のような桃の花”(点描)や、
腸(はらわた)を絞ったような山の線も、味がある様な気がします。

 最初に漱石の頭の中をイメージできる展覧会、と説明していただきましたが、
その通り、“絵を愛する想像力の豊かな漱石さん”がとても身近に感じられる
楽しい展覧会でした。
 後半のみ展示(酒井抱一など)の作品を観に、また足を運ぼうと思っています。

※写真は、美術館より特別な許可をいただいて撮影したものです。
≪夏目漱石の美術世界展 東京藝術大学大学美術館  5/14(火)〜7/7(日)≫
≪巡回展 静岡県立美術館 2013年7月13日(土)〜8月25日(日)≫

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