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「マザーズ」に想う

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 多分、今年最後の読書になったのは、金原ひとみ「マザーズ」。
話題作と言う事で何気なく手に取ってしまいましたが、ちょっと重すぎでした。
特に後半、一気に読んでしまうような惹きつけられることの多いものではありましたが、
どうにも…やはり理解できない!と叫びたくなってしまうところも多かった。

 登場するマザーズ=母親たちは、現代の20代ということなのでしょうが、
赤ちゃん=子どもが登場することによって、すべては子ども優先になる生活を
どうしても受け入れ難く、“自分が自分で無くなってしまう事”に思える…。

 更にそれが子どもへの“憎しみ”へと変化していく過程は、
頭ではわかる気がするものの、自分が子どもを持った時と程遠い感じ方に、
大きな断絶を感じざるを得ませんでした。

 頭ではわかる…と書いたのは、私の場合、娘たちを育てる過程でさほど“大変”と
感じた事がないからで、体が丈夫で医者には縁がなく、よく食べ、
まあまあ良く寝て(三女は少し夜泣きをしましたが)、公共の場で騒ぐこともなく、
おむつはいつの間にか取れて…という子育てだったからです。

 女の子は育てやすいと言いますが、下の2人は確かに大変だった記憶が皆無で、
こんな私には“マザーズ”を批判する資格はないのかもしれません…。
 母に聞いたら、兄と私に困ったことはなかったということでした。
体が丈夫というのは遺伝的なものもあるのでしょう。

 赤ちゃんをこんなに困難に感じるなら、少子化も止む無し…と思えた
なかなか重たい本でした。

 娘たちが子育てをするようになったら、世代の感じ方の差を忘れず、
そっとサポートしたいと思っています。

※本の写真は撮らなかったので…三女のお祝いに頂いたファーストシューズ(11.5cm)。
 あんよが出来た時は既に足が大きくて入らなかったため、そのままになっていました。

船を編む

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 今まで想像もしたことがなかった“辞書の編集者”が主人公のお話で、
今年一番!と思うくらい面白かった。

 ここで編集されているのは「大渡海」という名前の辞書。“だいとかい”と読みます。
「言海」というのは実在する辞典ですが、言葉というのは限りなく溢れ出て、
確かに“大海原”のような図りしれない、畏れを感じるものでもあります。

 そんな言葉ひとつひとつの意味や用例を五十音順にカードに蓄積していく。
執筆者の学者さんとのやりとり、進捗状況の把握や予算の問題、
こんなに苦労を重ねて、辞書を作っているのか…と、感動を覚えました。
“言葉の大海原を渡る船”、それが辞書というイメージなのでしょう。

 主人公の苗字は馬締くん。“マジメ”な青年です。彼の言葉に対する感覚や拘りが、
文字通り膝を叩いてしまうくらい同感し、読み終わるのが惜しい!と思いながらも
一気に読んでしまいました。

 私も娘も、国語辞典、漢和辞典、英和辞典等をひいたら
見開きで読める“関係のない部分”をついつい読んでしまい、
時間ばかり掛ってしまうという、同じような習性を持っています。
 私が読み終えたら、この本はそのまま娘の朝読書の本として、現在は通学カバンの中です。

 作者は三浦しをん。「神去なあなあ日常」(林業)、「仏果を得ず」(文楽)など、
いろいろな職業を描き、楽しく読ませることに関しては、きっとピカイチだと思います。

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 劇団四季の全国公演(ウェストサイド物語アンデルセン)で群馬県前橋市に行った時、
「萩原朔太郎記念館(前橋文学館)」に興味を持ったことがありましたが、
平日ソワレ公演で娘が学校から直行するため、4時半の閉館に間に合わず諦めた記憶があります。

 以前読んで衝撃を受けた、萩原葉子「蕁麻の家 三部作」や新潮日本文学アルバムを読み、
大まかな生涯は把握していたつもりでしたが、
詳細な展示を見ていくと、更に興味深い事実がたくさんありました。

 驚いたのは、朔太郎は音楽にも通じ、作曲もしていたこと。その楽譜には
アンダンテ・カンタービレと速度の指定も。
自宅の一部を洋風に改装してマンドリン倶楽部を作り、そこで使われた椅子のデザインも手掛け、
さらに写真撮影にも興味を示し、3Dになる写真も残されていました。

 「月に吠える」では装丁にも力を入れ、田中恭吉、恩地孝四郎と合作のような形で、
朔太郎自身の自筆の絵葉書も大変上手に描かれ、多芸多才な人だったのだと、改めて感心。

 そして下北沢をイメージした「猫町」という詩、これを“ムットーニからくり劇場”=
箱の中のからくりで上演するものも見て…光る眼は「キャッツ」の目チカにそっくり、
一緒に居た娘とわぁ!と、嬉しい驚きでした。

 鋭く研ぎ澄まされた言葉、柔らかいマンドリンの旋律、猫町のファンタジー、
加えて超美青年の朔太郎さんの学生時代の写真もあって…。
 パネル(壁面)にちりばめられた彼の詩の抜粋は“銀色に光る文字”の展示で
とっても印象的でした。

 常設展示は「萩原葉子〜出発に年齢はない〜」。
ダンスの衣裳や乙女チックなコラージュも目を引き、こちらも含め、
存分に楽しめた、世田谷文学館でした。

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 横浜の“港の見える丘公園”にある「神奈川近代文学館」。
“林芙美子”に惹かれていくことにした理由…母が時折
“花のいのちはみじかくて苦しきことのみ多かりき”と呟いていたからでした。

 森光子主演「放浪記」の原作者として有名な彼女ですが、貧しい育ちから
独力で文学を学び、投稿等を経て徐々に認められ…
並行して様々な職業で生活費を稼いでいました。
 なんと逞しいことか。
 今ならそれほど驚かないかもしれませんが、
女性は結婚するのが当たり前だった昭和初期のこと、どれだけの苦難があったのでしょう。
 
 しかし、幼い頃の貧しい暮らしは彼女の糧となったようで、
人生をぐんぐんと切り開き、人気作家として戦前〜戦後を駆け抜けて、
死の数時間前まで雑誌の取材を受けていて、帰宅後に急逝…47歳でした。

 生き急いだとしか思えない…。依頼された原稿は断らずに
寝る間も惜しんで書き続けたという、凄い女性です。
そしてあの言葉、“花のいのちは短くて…”好んで揮毫していた言葉ということですが、
まさにその通りでした。
 同じ言葉を「放浪記」主演の森光子さんが描いた色紙も展示されていましたが、
こちらは同じエネルギッシュでも長く続くもの…。
書体も綺麗に粒がそろった、芙美子とは好対照をなすものでした。

 文学の他、「油絵」も好んで描いていたことは初めて知りました。
文学の展示は1つ1つ読むととても時間がかかるものですが、この日は全部で60〜70分、
もう少しゆっくりしたかったな…と思いつつ、同じ公園内の別の博物館へと向かいました。

 実は今、林芙美子の文庫本を読んでいる途中です。
若い頃に一度読んだことはありますが、私が“彼女の最晩年”の年齢くらいになり、
展示を観てから読み返すと、また違った味わいです。

みぞれ

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 このところ話題になっていた荒川の可愛いお客様、アザラシの「アラちゃん」。
ニュースを聞いた瞬間、重松清のこの本が思い浮かびました。
中に「メグちゃん危機一髪」という題のものがあります。

 目黒川に姿を現したアザラシの“メグちゃん”を、通勤電車から眺める主人公と、
リストラされてこれを毎日見に行くその友人…ほろ苦い小説でした。
 “四十回のまばたき”を読んで、久しぶりに重松ワールドに浸りたいと、
古書店で買ってきたのが 「ビフォア・ラン」とこの「みぞれ」でした。

 文庫オリジナルというこの作品集は1冊に11編入っています。
「メグちゃん危機一髪」は、7番目。初出は別冊文芸春秋(2003・11)ということ…
ちょうどタマちゃんが話題になっていた時だったようです。

 アザラシを昼間見ている会社員、なぜ?メグちゃんが危機一髪とは…。
リストラ対象になった人とならなかった人、メグちゃんを見ながら何を想ったのでしょう。

 表題作「みぞれ」は、初出「野生時代」(2006.12)。
故郷に残る年老いた両親とそれを気にする息子。重松作品には何度も登場する設定ですが、
読むうちに、どうしても目頭を押さえる事になります。

 解説で、著者は『“息をするように”小説を書きたい。生きて来た時代、生きている社会、
自分自身の体験や状況を、お話を生みだす源として…』
と、語っています。
 確かに自然な語り口と展開ながら、しっかりとツボを押さえ、読み手を感動させる
素敵な短編ばかりでした。

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