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多分、今年最後の読書になったのは、金原ひとみ「マザーズ」。 |
読書
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今まで想像もしたことがなかった“辞書の編集者”が主人公のお話で、 |
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劇団四季の全国公演(ウェストサイド物語・アンデルセン)で群馬県前橋市に行った時、 「萩原朔太郎記念館(前橋文学館)」に興味を持ったことがありましたが、 平日ソワレ公演で娘が学校から直行するため、4時半の閉館に間に合わず諦めた記憶があります。 以前読んで衝撃を受けた、萩原葉子「蕁麻の家 三部作」や新潮日本文学アルバムを読み、 大まかな生涯は把握していたつもりでしたが、 詳細な展示を見ていくと、更に興味深い事実がたくさんありました。 驚いたのは、朔太郎は音楽にも通じ、作曲もしていたこと。その楽譜には アンダンテ・カンタービレと速度の指定も。 自宅の一部を洋風に改装してマンドリン倶楽部を作り、そこで使われた椅子のデザインも手掛け、 さらに写真撮影にも興味を示し、3Dになる写真も残されていました。 「月に吠える」では装丁にも力を入れ、田中恭吉、恩地孝四郎と合作のような形で、 朔太郎自身の自筆の絵葉書も大変上手に描かれ、多芸多才な人だったのだと、改めて感心。 そして下北沢をイメージした「猫町」という詩、これを“ムットーニからくり劇場”= 箱の中のからくりで上演するものも見て…光る眼は「キャッツ」の目チカにそっくり、 一緒に居た娘とわぁ!と、嬉しい驚きでした。 鋭く研ぎ澄まされた言葉、柔らかいマンドリンの旋律、猫町のファンタジー、 加えて超美青年の朔太郎さんの学生時代の写真もあって…。 パネル(壁面)にちりばめられた彼の詩の抜粋は“銀色に光る文字”の展示で とっても印象的でした。 常設展示は「萩原葉子〜出発に年齢はない〜」。
ダンスの衣裳や乙女チックなコラージュも目を引き、こちらも含め、 存分に楽しめた、世田谷文学館でした。 |
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横浜の“港の見える丘公園”にある「神奈川近代文学館」。 |
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このところ話題になっていた荒川の可愛いお客様、アザラシの「アラちゃん」。 ニュースを聞いた瞬間、重松清のこの本が思い浮かびました。 中に「メグちゃん危機一髪」という題のものがあります。 目黒川に姿を現したアザラシの“メグちゃん”を、通勤電車から眺める主人公と、 リストラされてこれを毎日見に行くその友人…ほろ苦い小説でした。 “四十回のまばたき”を読んで、久しぶりに重松ワールドに浸りたいと、 古書店で買ってきたのが 「ビフォア・ラン」とこの「みぞれ」でした。 文庫オリジナルというこの作品集は1冊に11編入っています。 「メグちゃん危機一髪」は、7番目。初出は別冊文芸春秋(2003・11)ということ… ちょうどタマちゃんが話題になっていた時だったようです。 アザラシを昼間見ている会社員、なぜ?メグちゃんが危機一髪とは…。 リストラ対象になった人とならなかった人、メグちゃんを見ながら何を想ったのでしょう。 表題作「みぞれ」は、初出「野生時代」(2006.12)。 故郷に残る年老いた両親とそれを気にする息子。重松作品には何度も登場する設定ですが、 読むうちに、どうしても目頭を押さえる事になります。 解説で、著者は『“息をするように”小説を書きたい。生きて来た時代、生きている社会、
自分自身の体験や状況を、お話を生みだす源として…』 と、語っています。 確かに自然な語り口と展開ながら、しっかりとツボを押さえ、読み手を感動させる 素敵な短編ばかりでした。 |





