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上野駅公園口を降りると正面に在る“東京文化会館”。 |
建築
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研究会第一部の「講演会」は管理棟の会議室で行われましたが、 第二部は邸内の広間に場所を移し、アーティストトーク、 山本三千子先生の「室礼(しつらい)」のお話。聞き手は武蔵野美術大学教授の新見隆氏です。 まず、新見氏のお話から始まりました。 森羅万象感じ、響あいながら、生活を大切にしていくことが日本の文化、 1936年に桂離宮を見たブルーノ・タウトは日本の“数奇屋”が民衆にもあることに 感心した…と、話されました。 そして室礼(しつらい)のお話は山本先生。 飾られた室礼は、まず囲炉裏の間の神棚に米・塩・榊・酒、 「あえのこと」*米俵・大根・魚・煮物・甘酒・飯。 囲炉裏には“燃える火”を表す柿。 そして大広間の床の間には、遠山元一氏の母が好んだという渡辺崋山の掛軸と 糸瓜・茄子・和合果(百合根)・龍乳果(葡萄)・あけびつる・石榴・林檎を盛ってあり、 畳廊下には「月見」(写真)。大きな鉈豆がありました。 家庭の中で年中行事(ハレの日)に、人間の生死、母と子、憧れなどを植物で表現、 「植物は我々の師」なのだそうです。 植物で願いを表現することがこんなにも美しく見えるなんて…いつまででも観ていたかった。 また、このお話を伺った大広間の欄間のタテの桟が天上と繋がる垂直線と捉えることができ、 庭の松の木は、座敷に座った視線でぐっとこちらに入ってくることなど、夢中で聞き入りました。 最後に、現在の遠山家当主の、遠山公一氏が挨拶をされ、 この日の聞き手の新見氏と、慶大仏文科で同級生でしたと紹介されました。 現在はルネサンス美術が専門の慶大文学部教授をされている、とっても上品な紳士です。 そして公一氏の父は、遠山一行氏と帰宅してから知り、びっくり…。 音楽評論で有名なこの名前はかなり以前から知っていて、 芸術の分野で連綿と続く素敵な家系だな…と思いました。 *収穫に感謝する行事。
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第一部は講演会「数寄屋邸宅建築の粋」について、京都大学名誉教授・宗本順三先生のお話。 写真の投影をたくさん使ったわかりやすいお話でした。 近代の邸宅は海外から入ってきた洋風建築も多かったのですが、それと対をなす「近代和風」。 ここで“近代建築”とはという話題になり、いきなり出てきたル・コルビュジエにびっくり。 5つの要点(ピロティ・屋上庭園・横長窓・カーテンウォール・ドミノ構造)、 サヴォア邸(1929)の写真もありました。 ここから“『いき』の構造”(九鬼周三)の話となり、いき(粋)→意気地… いなせ・やせ我慢・伝法・気品・品格などの言葉を連想。 華やかなものの残像、鼠色などが“粋”の色。 近代和風の数寄屋造りが並ぶ、京都東山邸宅群。(無鄰菴、清風荘、對龍荘など)。 数寄屋は“数奇屋”とも表記され、手間を惜しまず人手をかける…でもそう見せない。 それが“いき”なのでしょうね。 和風庭園を手掛けたのは小川治兵衛(植治)。何気なく見えて、育ち続ける植物の管理は 手間と費用が掛るもので、庭園を美しく保つことは本当に大変!と力説されました。 同様にこの「遠山邸」も贅を尽くした造りで、もっと評価されるべきだし、 できれば庭園も当初の状態に再整備したら更によい、とのことでした。 遠山邸で使われている“面皮柱・玉杢・鞍馬石・那智黒石”など、 初めて聞く言葉は新鮮な響きで、材料の産地にも興味がわきました。 宗本先生はときおり柔らかな京都弁を思わせる言葉遣いでユーモラスに語り、
難しい内容もありましたが、とても楽しい講演でした。 第二部に続く。 |
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入間に「西洋館」があるらしい…以前何かで観た記憶があったのですが、 |
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先日、銀座で映画を見ようと、5時に過ぎにチケットを買いましたが、 開演は6時25分。それまでどうしようかな?と、歩み出したら 偶然見つけたギャラリーは、テアトルシネマのすぐ近く。 マルチな才能の持ち主、西村伊作でしたが、やはり設計した建物も素敵。 当時の住宅は、“客間”をいちばんいいところに造るのが当たり前だったのに、 日当たりの良いところが食堂・リビング。 彼が今の住宅の配置の先鞭をつけたような気がします。 山本有三記念館にもあったイングルヌック(暖炉を囲むくぼみ)も設えてありました。 ここでも“団欒”を重視したことが覗えます。 家族を大切に…彼の孫(娘婿・建築家の坂倉準三*の子息)、坂倉竹之助氏の回想にも、 彼が残したものは建築作品とともに“家族と過ごした楽しい記憶”なのだそうです。 なるほど…と、展示パネルの前で大きく頷いてしまいました。 住む人を中心に考えた、生きることを楽しめる家。自邸のほか個人の住宅、 教会や幼稚園も設計し、現存する建物の写真、家具も、みんな簡素ではあるけれど やさしい感じの家でした。 さらに嬉しかったのは、伊作と妻とで考えた「子ども服」の再現があったこと。 小花柄の細畝コーデュロイを、明るい青のベルベットと組み合わせ ハイウエストにタックを取ったり、大きなリボン状になっていたりと、 とってもモダンで、今でも十分おしゃれです。 西村伊作、その底知れない“ハイセンス”はまだまだ興味が尽きません。 *坂倉準三と言えば、岡本太郎とパリで撮った2ショット写真を思い出します。
撮影者はロバート・キャパ…このパリ時代に伊作の娘さんと知り合い、結婚。 芸術家たちの繋がりは、あの時代、既にグローバルだったようです。 |




