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「ヤメテェェェェェ!」
茉莉が叫ぶのをものともせず、ローレンは軽やかな音をたてて明美の後を追った。
その後をズシャァァァァァァァと祐樹と茉莉が追う。
「お久しぶりデス、斎(ひとし)サン。」
靴を脱ぎ、廊下に立った斎に、ローレンは挨拶をする。
10秒位斎はローレンを見つめ、言った。
「おおローレンちゃん!久しぶりだなァ、よくここまで来れたね。いやぁよかった。心配したんだから」
「「……アレェ?」」
何がおかしい?
宇宙×地球
「明美、もう言ってもいい頃だろうから、」
「準備、すればいいんでしょ?」
「あぁ。」
リビングへと続くドアに明美が吸い込まれる。
パタリとドアが閉まり、斎は赤いネクタイを緩める。
2人が物心ついたころから、斎はそのネクタイを好んでつけた。
茉莉の髪のリボンと同じ、カーマイン色のネクタイ。
一度茉莉は父に頼んでネクタイを結んでもらったことがある。
その時初めて気付いた、ネクタイの裏に薔薇の刺繍があることに。
真紅の糸で刺しゅうされた薔薇が、幼い茉莉の目には妖精のように見えたのだ。
「まず、茉莉と祐樹には、信じられないだろうが本当の話をする。
それから、今後の作戦会議だ。
いいね、茉莉、祐樹、ローレンちゃん。」
眼鏡の奥の、普段は穏やかな相貌が、冷たい色を帯びた。
訳が分からないまま、姉弟は頷く。
ローレンは反対に満面の笑みを浮かべている。
「できたわよ〜」
明美がドアから顔を出す。
そしてドアを大きく開き、斎、茉莉、祐樹、ローレンの順に入る。
4人用の椅子と、どこから調達したのか不明なパイプ椅子がテーブルの周りに並べてある。
順に席は埋められていく。
斎は口を開いた。
「父さんは、ゾシア・ラルサ星と日本のハーフなんだ。
父さんがまだ茉莉くらいの年ごろまではゾシア・ラルサ星に居て、日本に移ってきた。
そう、今日この日を迎えるために。」
テーブルの上にあるグラスが、橙色の光を受けて光っていた。
次回へ続け、過去の話。
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