涅槃までの14万歩!ハッピーリタイアできない100kmウォーカー

2017年11月にタイトル変更・・・中身は変わりません。 ぷらっとして行ってください。

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「機関銃の社会史」という物騒な本を図書館で借りました。
正直万人向けの本ではありませんので興味の無い方はスルーしてください。
夫々に残された限りある人生読んで有益とは断言できません。

私は銃器マニアではありませんが「社会史」という部分が
気になり手に取ったしだいですがこの本は良書でまさに
その時代(19世紀後半から第一次世界大戦)の国家指導者や
軍人達に流れていた空気(火薬臭?)を嗅ぐことができます。

本書の主張は理想的な連射機能を持つ機関銃が、何故世界でスタンダード
な主力兵器と認知されるまでに半世紀以上もかかったか?という点を論考しています。
つまり機関銃が登場してから第一次世界対戦で大量に使われるまで
かなりな年数(約半世紀)がどうしてかかったという部分の解明に費やされています。

イメージ 1


機関銃は14世紀頃から構想され実用的な機関銃がアメリカ南北戦争前後に
各種登場しますが何故か南北戦争では使用されておりません。
ちなみに19世紀に機関銃を試作発明した人は皆何故かアメリカ人というのも
本書による新たな知見でした
南北戦争が終了し米国でインディアン狩以外に使い道の無くなったガトリング砲が
日本に輸入され戊辰戦争で長岡藩の家老を務めていた河井継之助により
官軍に向け実戦使用されています。

普通戦争や武器のニーズがあり産業革命後の発展著しい時期に西洋軍で
機関銃は殆ど使われなかった事が不思議に思えますが読み進めると理由が判明します。
実は初めて機関銃が両軍で使用された戦いが日露戦争でした。
世界の武器商人達は日露両軍に機関銃の威力を自慢し売り込みます。
日本軍ホッチキス式機銃、ロシア軍マキシム機銃の互角の殺し合いでした。

彼ら武器商人(死の商人)は自分達は死なないで他国民の死で稼いだ
点は麻薬の売人が人には勧めても自分はシャブしないし、JTや世界のタバコ
メーカーが、男性が駄目なら女性や未成年、先進国が駄目なら発展途上国
に売り込みつつも経営陣の多くがタバコ吸わないのと同じ論理です。

しかし日露戦争で更に有効製の実証された機関銃は何故か、主力兵器に急成長せず
ボーア戦争など植民地等での戦いには使われますが所謂、冷遇された兵器でした。
この当時、米、英、仏、伊、独等の先進国の高級軍人達は騎士道精神が
多少ですが残っており機関銃を忌み嫌う傾向が非常に強かったのです。
だからこそ、インデァイアンやアフリカ人への戦争には機関銃を
無制限に使用したり当時二流国の日本、露西亜に饒舌に売り込む事はあっても白人
先進国同士での戦いには使用すべきでないとの共通概念が各国の軍人同士の胸中にありました。
戦場で自分自身が機関銃の銃弾で連射され死ぬ事への恐怖感も存在したでしょう。

つまりロマンの感じられない機関銃という兵器は「不愉快な存在」として
欧米の高級軍人に無視されていたのです。

しかし、20世紀に入り近代戦の第一次世界大戦ともなれば軍人のロマンも消え失せます。
それまで高級軍人は日本を除くと貴族階級出身者が主で芸術的な戦争采配を望んでいましたが
第一次世界大戦は近代先進国同士の国家総力戦となり大砲から機銃、大型戦艦、航空機
毒ガスまで専科が分離し機関銃も躊躇わず使用されています。
たくさんの銃弾、機関銃が生産され多数の兵士が斃れますが後方から列車輸送で新しい武器、弾薬
兵士が無尽蔵に前線に運ばれ19世紀的頭脳を持つ指揮官(特に英軍)の采配で機関銃座で待ち受ける
敵軍の塹壕陣地に突進しては斃れたのです。
第一次大戦の西武戦線での死傷者の8割が機関銃によると分析されています。
皮肉ですが西洋人が忌み嫌った機関銃で第一次世界大戦を通じて禁忌しあっていた
機関銃で白人同士が殺傷の繰り返し行為を行ったわけです。
この視点から見れば日露戦争の旅順要塞攻囲戦での乃木大将の指揮は後世に批判を
浴びるどころか少ない犠牲(死者1万人強)と短い日数で難攻不落の近代要塞をおとした名将となります。
日露戦争より10年後の第一次世界大戦では独、仏、英の3カ国だけで400万人が戦死しています。
これらの戦死者の約半数以上が無能指揮官による無為な突撃命令で機関銃の返り討ちで斃されたのです。

第一次世界大戦は毒ガス、航空機、長距離砲、戦車と最新兵器が目白押しですが
これらは相手の機関銃座を潰す為(塹壕突破の為)に必要となった兵器かもしれません。
つまり長期的な塹壕戦で機関銃は防御兵器として主役に躍り出ます。

後世、太平洋戦争での日本軍の銃剣突撃を批判する向きが強いですが欧州列強の名将軍達も
日露戦争に多くの武官を派遣していながら203高地での機関銃に斃れた日本軍兵士の事
を知りつつも二流国同士のの野蛮な戦いとの浅い認識で実戦と他国民の血から多くを
学んではいなかったのです。

解りやすく書けば欧米のエリート軍人達は機関銃を出現当初から残虐な兵器と認識し
フェアな戦争では使用しないが、二流国への売り込み、植民地での有色人への殺戮には
機関銃を思う存分に使用しました。
しかしそれでも白人先進国同士の正規戦には心情的に使用する気が起きなかったという事です。

ここまで書けば連想される方もかなり増えてくると思いますが第二次大戦末期に原爆はドイツと
戦う為に米国で創られましたが完成時期やドイツの降伏、大統領の交代等多くの要因がありますが
米国トルーマン大統領はドイツに原爆を落とすより日本へ落とした方が良心への呵責が
少なかったと本書を読めば解ってくる事です。
日本で世界で初めて河井継之助が死の商人からガトリング砲を購入し実戦使用した事と
世界で日本だけに原爆を2発も落とされた事は歴史の因果関係を感じてしまいます。

機関銃を発明したガトリングは
「自分の発明した武器が強いる膨大な損傷に人々が気づいたときに、戦争は阻止されるだろう」
と言い訳めいた言葉を残していますが原爆を創った超一流の科学者の戦後の言い訳とも似ています。

私の感想として核弾頭や生物兵器、毒ガス等が非人道的・大量殺戮兵器・禁じ手兵器
として使用国側に慎重さが求められておりますが、その反面、過去も現在・今後も
罪悪感が湧かないのか、普通の手軽な兵器である小銃、機関銃、地雷で殺傷されている
兵士、民間人が顕著に多い事を理解すべきと得心しました。

この書籍、以前書は3200円で高価本でしたが最近文庫本で再刊行されました。
文庫本といっても1470円は少し躊躇する価格ですが増刷はあまり期待
出来ませんしブックオフに並ぶ事も杞憂ですので文庫本は買おうかと思案中です。

イメージ 2


「機関銃の社会史」に興味をもった方は日本国内の機銃の歴史の追った
「たんたんたたた―機関銃と近代日本」 兵頭二十八をお勧めしますが残念ながら
既にでに絶版です。
武道通信のHPから有償でpdfファイルとして購入できますが
こちらは読みにくいです。
帯には「常に欧米製品に半歩手前まで追いつくことはできるけれども、
リードすることはできなかった戦前日本の自動火器。
その根本には、われわれ日本人の言葉足らず-目に見えぬものを説明し想起させる言葉の
足りなさがあった…。 」とありました。
 
後世から俯瞰すると戦前日本軍人のヘタレで内弁慶な戦前史観が目につきますが本書に
に目を通すと戦前の軍人がいかに苦悩しつつ脳髄をふり絞り戦前日本に適った武器(機関銃)
を手に入れるべく模倣・模索・創意・努力したかが理解できます。
戦後重く遅く威力の少ない駄目機銃と思われている九二式重機関銃を日本軍歩兵の
実情に適合していた傑作武器であると再評価しています。
現代の私達は戦前の著名人を簡単に切り捨てますが彼らの方が現代の私達より
はるかに希望に燃え、悩み、改革に明け暮れ、我武者羅に奮闘努力しつつ敗れ去った
事が理解でき、現代の課題にも通じる日本的組織の問題点が凝縮されています。

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amazonで探せばあるのでは。絶版本はいつもamazonでまとめて購入してます。

それにしても、最後の「彼らの方が現代の私達よりはるかに希望に燃え、悩み、改革に明け暮れ、我武者羅に奮闘努力しつつ敗れ去った
事が理解でき、現代の課題にも通じる日本的組織の問題点が凝縮されています。」というご意見はまさしく共感できるご意見です。

2008/11/3(月) 午後 4:44 aki 返信する

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aki さんやはり物騒な題名でスルーされました。(笑
「たんたんたたた」は出版社が潰れて幻本なんでamazon中古で5-6千円位の3倍値になってました。 何故日本人が西洋に追いついたように見えて追い抜けなかったか?を論考しています。
私も戦争を経験している齢80歳以上の方は団塊世代の方より贅沢もせず立派な方が多いと思います。

2008/11/4(火) 午前 8:30 naomoe3 返信する

他の民族を見下していることに考えさせられます。

2008/11/4(火) 午後 5:31 ☆参謀☆ 返信する

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こういう書物から日本的組織問題を推察すると
面白そうですね、左近先輩はすごかぁ(汗)

2008/11/7(金) 午後 8:23 [ blu*ru*ner1*0x*h ] 返信する

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参謀さん 白人にとり蛮族殲滅用にホースの水かけのような
機関銃は最適だったんでしょうね。
でも第一次大戦で白人同士が機関銃撃ち合って大量死を
発生させたのは歴史の皮肉を感じます。

2008/11/8(土) 午前 9:00 naomoe3 返信する

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ナカ爺ィさん おはようございます。
この本はミリオタ本でなく当時の社会史となってます。
ただの趣味読書なんで偉いも馬鹿もありません。
私の場合、暇つぶしの読書ですから(笑

2008/11/8(土) 午前 9:02 naomoe3 返信する

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