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『戦史叢書』(せんしそうしょ)とは防衛研修所戦史室 (現在の防衛省防衛研究所戦史部の前身) によって1966年(昭和41年)から1980年(昭和55年)にかけて編纂され、朝雲新聞社より刊行 された公刊戦史である。 地方の大きな図書館でも戦史叢書(以下公刊戦史で統一)は一部が置いてあったり するが普通は貸出禁止の図書館が多い。 昔、兵庫県加古川市の図書館で公刊戦史をコピー機でフルコピーしている 老人を見かけた事がある。 書斎に並べるかページや図版の切取や落書きが館内で増えているからであろうか。 福岡市の総合図書館には全102巻中90巻程度が閲覧でき、 しかも問題のない人物には貸出も行なっている。 私は福岡市に移り住んで5年になるが公刊戦史を過去5.6冊貸出せて もらい自宅に持ち帰り読むことができた。 東京等の古本屋で昔全102巻で60万円という値札を見たことある。 一巻の重さ3キロとしても102巻で300キロ以上車1台で運べない のではとその時は思った。 福岡市図書館の貸出には私自身は非常にありがたく感じるが長年にわたり貸出 されたせいか、図版・付録等の資料の紛失、本の汚れが目立つような気がする。 以下、国民の歴史財産ともいえる公刊戦史について少しだけ論考してみたい。 日本の公刊戦史は陸軍68巻、海軍33巻、共通年表1巻、全102巻から構成され米国の 106巻についで巻数が多い。 公刊戦史は戦後20年以上経過した昭和41年から昭和55年にかけて刊行された。 この刊行化により多くの日本人特に戦史に興味を持つ人や戦争に従軍した人達の 興味を惹きつけた。 公刊戦史が出版される以前の戦記本は従軍した兵、下士官、下級将校は戦略的な事が 判らず自己の関わった戦闘が概観できず他の戦線との関連や戦った意味も 判らない事が実に多かったが公刊戦史刊行後は各戦闘を俯瞰的に眺める事ができ 個人戦記などでも昭和50年以降は公刊戦史を参考にした書物が多いようである。 又、輜重、補給、等最前線で敵と戦った事のない参謀の戦記や従軍記も公刊戦史を 充分に参考にしたり、昭和40年以前の戦記本は公刊戦史公刊後に改訂版が出された りとかなり修正されている。 私は「読み物」としては公刊戦史刊行前の戦記本の方が面白いのだが、、、。 日本の公刊戦史の特長について触れてみたい。 ■敗戦国ながら非常に多くの兵士や将校(数千人規模)に聞き取りし終戦から 26−35年かけて刊行されたた点である。 終戦後かなりの年数が経過していたため将官クラスがかなり鬼籍にいっており、 編纂にあたった元左官クラスの軍人達によって都合よく描かれている。 海軍も陸軍同様で例えばレイテ海戦で小沢艦隊所属で敵前逃亡した駆逐艦桐、杉の 2艦を庇うように公刊戦史捷号作戦で「小沢司令官は自隊の警戒能力が手薄になる事を 承知しつつ燃料不足となりつつある両艦を台湾高雄に向け分離させる事を決意した」 と決戦前日の逃亡にもかかわらず両艦の艦長を許しているが国民が読む戦史の所々が 仲良し倶楽部の助け合いで隠蔽されていてもいいものであろうか? ■戦勝国の米英の公刊戦史は歴史学者が元将軍や将校兵士から聞き取りしてから 編纂にあたっているが、敗戦国の日本では敗戦への戦争指導を事実上行なった 大本営参謀が敗戦後20年以上を経て編纂にあたっているのである。 (しかもこれら参謀の中には終戦クーデターに参加したものまでいたが、、、) 敗軍の将が兵を語り過ぎるのは如何なものであろうか? ■刊行後は日本の戦争バイブルとして持て囃されたが、刊行後30年近くも経過 すると綻びも目だってくる。 実は陸軍人も海軍人も肝心な点は公刊戦史で隠しているのである。 (現在の御役所が刊行する白紙のようなものか?) 開戦原因、二元統帥、終戦反乱、餓死、病死、溺死等などに触れずごまかす箇所が 目につく。 海軍もサイレントネィービーと称し見事に国民を1990年代まで 良識イメージで欺いた。 ・・・2002年に刊行された相沢 淳「海軍の選択-再考真珠湾への道」は 画期的であったと思う。・・・ 終戦から1980年代まで実に金太郎飴のような戦記本が公刊戦史をネタ本と して量産・劣化コピーされてきたのである。 国民に隠してある部分があるからといって全てが駄目な本ではなく 多くの日本国民が読むべき書物なのだがどうも国民の目ふ触れられる事なく 最近はフェイドアウトしつつように思えるのである。 本来政府が主となって日本の公刊戦史全102巻はパソコンで閲覧可能なように
をデジタル化すべきだろうが、そのような事業が進んでいるとは聞かないが。 国民財でもある公刊戦史も見直しの時期に来ているが朝雲新聞社、防衛省、 国がやらないとすればこのまま各図書館で孤島にバラ撒かれた戦時中の 召集兵士達のように各個撃破(ページの切抜や盗本)されて朽ち果てて行く運命なのだろうか? 追記・・・ もし何処かの図書館や大学で戦史叢書のデジタル化、PDF化、画像化を すすめている処があればお教えいただけないでしょうか? |

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