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青空を見上げると、竜介の笑顔を思い出す。
朝を告げる家内の大きな声と、あくびをしながらの間の抜けた子供達の返事。
朝食が済み、子供たちの登校準備が始まる。
大きいカバンを背にして、二才上の長女が竜介の手を引き小走りに走る。
つまずきそうになりながら、手を引かれた小学一年生の竜介が後を追う。
「待って!お姉ちゃん!」
竜介の小柄な体が、か細い声で叫びながら後を追う。
姉が振り返り「早く!早く!」と急かす。
大きなランドセルで姿の見えない二人が、黄色いボウシを左右に振って朝もやの中を駆けて行く。
まるでランドセルに手足が生えたようだ。
走る二人の姿が小さくなって行く。
見守るように二人を見送ると、家内が、さてと言う顔で次男を抱きかかえた。
おしめの入ったバックを持ち、次男の手を私に向けてひらひらと振る。
「行ってきまーす」
保育園へ出発。
そんな穏やかで優しい時代があった……
今……
長女も次男も、それぞれ家庭を持ち、竜介は年を重ねること無く、写真の中で笑みを浮かべている。
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