吉川真澄応援サイト「歌の翼」管理人ブログ

吉川真澄が出演したコンサート等(主として管理人が聴きに行ったもの)を記録しています。

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【演奏会場】
国立劇場小劇場

【演奏曲目】
平野一郎 胡絃乱聲(こげんらんじょう)

《演奏》
四絃琵琶=塩高和之
五絃琵琶=久保田晶子
笙=中村華子
竽=東野珠実
打物=池上英樹
群声=東京混声合唱団

【管理人コメント】
琵琶は西域で生まれ、奈良時代の直前に日本に渡って来て、聖武天皇の正倉院には、四絃琵琶、五絃琵琶のふたつの型の琵琶が残されているそうです。演奏会では、雅楽から始まり、平家、盲僧、薩摩、筑前と続き、現代の鶴田琵琶まで時代を追って演奏され、最後に正倉院琵琶の復元楽器を使った平野一郎さんの「胡絃乱聲」が初演されました。吉川真澄さんは、東京混声合唱団によるコロス(群声)8名の一員として、演奏に参加されました。

プログラムの作曲者の言葉には、「最後に思い切り卓袱台をひっくりかえすつもりで…」と作曲を依頼されたと書かれています。邦楽の中でもとりわけ古風な琵琶の演奏の後で「胡絃乱聲」を聴くと、そこに大いなる跳躍があるのは確かなのですが、それは決して卓袱台返しなどではなく、悠久の琵琶の歴史の延長にあるものとして私は素直に受け入れることができました。恐らく、最初の雅楽がアンサンブルの中の琵琶として演奏され、その後の歴史の中では「語り」の伴奏楽器として発展して来たこと。そして最後に再びアンサンブルに回帰したことにより、その千三百年の歴史物語が完結させられたと感じられたからだと思います。

平野作品がいつもそうであるように、「胡絃乱聲」も大きなスケールで時間の流れの中に聴衆を巻き込んでいく素晴らしい作品でした。それは、ユーラシアの砂漠を旅し、海を渡って東の果て大和にたどり着いた二面の琵琶が、自身の旅の記憶と、今日まで見つめてきたこの国の歴史を語っているようでした。

舞台で奏でられる伝統楽器の調べに集中していると、背後から何か低い音がかすかに響いてきます。客席の背後にいつの間にか配されたコロスが発する声です。あぁ、忘れ去られた記憶が、復元された正倉院琵琶の音に呼び覚まされようとしている…。次は、大海原を渡って大和にたどり着いた琵琶の記憶。続いて、琵琶が目撃した千三百年の歴史、その歴史を紡ぎだした人々の魂が現れ来て会場一杯に乱舞する。しかしやがて、その荒ぶる魂たちも琵琶の音になだめられ、この国の新たな時代の礎となるべく昇華される。聴きながらそんなストーリを思い浮かべました。

琵琶と笙、 竽(「う」と読む、大型の笙?)の幽玄な響き、時におどろおどろしく、時に清らかに晴れ渡るコロスのハーモニー、それらを打物が絶妙に結びつける。鳥肌ものの名演奏でした。会場の下手側後方の席にいた私は、客席の後ろ左右いっぱいに広がって配置されたコロスの中で吉川真澄さんが歌っていた位置に近く、その声を間近に聞く幸運に恵まれました(^^)


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