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走路有風〜 作家・坂野徳隆の書斎からの景色
Photos & Texts (C)Narutaka Sakano 転載厳禁 *著者への連絡は上の「メッセージ」にお願いします

書庫ヴァルター・シュピース

バリ島ルネッサンスの父、伝説の芸術家ヴァルター・シュピース。
1927年、ジャワからバリ島へ移住した直後に、あるオランダ人の友人が死亡した
との手紙を受ける。
以下は、その友人の奥さんへ宛てた手紙。

「この(バリ島の)神がかりの自然のなかでは、人間などもろい存在です。
しかし死はつぎの生へ流れ込むのです。
どうか、僕の側へ来てください。一緒に、ここで怠惰な時間に
身を任せれば、この意味もわかることでしょう」

鋭い感覚でバリ世界をとらえていたシュピースだが、ロシアでの捕囚時代から
死を身近に感じ、信仰と芸術、人間の距離を考察していた。

彼にとって「パラダイス」とは、
いつそこで死んでもいい場所であり、つまりそこは
生きていても天国のような場所であった。

バリ島である。

パラダイスは心のなかにある、などと陳腐な話になるが、
人生で二度目の抑留を強いられる約10年後まで(さらにその後も)
シュピースはバリという彼の楽園に身体だけでなく、
心も魂も同調させ、「身を任せていく」のである。

「ヴァルター・シュピース」書庫の記事一覧

坂野 徳隆
坂野 徳隆
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