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以前ご紹介したウブドゥの「シュピース画派」美人画家、ガルーの弟を紹介しよう。
アナック・アグン・グデ・ウィラナタ。37歳。
(写真:著者撮影)
メングゥイの近くに住む彼は、姉のガルー同様、シュピースの熱帯幻想絵画(細密風景画)を真似た、あるいはモチーフにした作品を発表し、その作品は一枚数百万円でジャワやシンガポールの収集家に人気だ。アトリエをたずねると、未完成の作品がいくつもならび、すでに製作前から収集家に買われ、予約がたくさんはいっているほどの人気ぶりだ。
16年前、シュピースの絵を印刷物で初めて見た彼は、「三次元的な構成の、光と影の魔術のような絵に驚愕した」という。
「シュピースは完璧な画家で、テクニックは簡単に真似できるものではない」と、彼は自分の絵がシュピースのものと比べられるのを恐縮しながら首を振る。
ウィラナタはさばさばとした、好青年である。自然体の彼と話していると、シュピースの絵に共感しながら成功を得られる画家とは、こんな人に限られるのではないか、と感じてくる。
「僕はまだ勉強中なんです。絵はまだまだ発展途中だから」
ウィラナタはそう言って、また、すでに売り手の決まっている作品となる、真白なキャンバスに筆をつけていく。
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