|
新春休みのあいだに、今頃になってという感じで、初めて「台塑牛排」(台湾プラスチック・ステーキ)をいただいた。(別にプラスチックでできているわけではない)
本店の高いものではない。支店のお得なセットである。
台湾プラスチック、略して「台塑」は、台湾最大の企業グループを形成する企業で、グループの創業者・
王永慶氏は貧困から立身し「台湾の松下幸之助」と言われている。
台中にある本店で氏が食して気に入り、そういう名前になったとか、彼の経営するレストランのメニューとしても認定されたとも聞くが、とにかく、この台湾版幸之助さんの知名度とともに、台湾人のあいだにけっこう認知されているステーキなのである。
台北の「亜米日記 (Yammie Steak)」の480ドルという激安のコースには、このステーキをはじめとするメインから選ぶほか、前菜、エスカルゴ、サラダ、デザート&ドリンクまでついている。日本円で1700円しないわけだから、その安さにびっくりしてしまった。
味は確かにいい。ワインと中華風の香草がよく効いていて、柔らかい肉の赤身繊維と縁の脂身が口のなかでゆっくり溶けながら、複雑に肉に染み込んだ香味が鼻から心地よく抜けていく感じだ。
せこい話だが、日本でオーストラリア系ステーキ屋で食べる半分の値段で、倍の満足が得られるのは間違いない。
フォーブス何位だか忘れたが、アジア屈指の大金持ちとなったアントラプラナーが、庶民的な舌と台湾的な味、健康志向を忘れずに命名した、いかにも人柄を感じさせるメニューである。
(写真 著者撮影)
|