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そのインスタントラーメンは生涯で一番うまかったと断言できる。
台湾での経験である。
私の料理上手な台湾人ガールフレンドが珍しくラーメンを作ってテーブルに置いた。
どれどれと顔を向けると、まずその匂いに驚いた。私が大好きな漢方の匂いだった。麻油薬膳の匂いがなぜそこに、と思いながら器を覗けば、なんだ、ただのインスタントラーメンではないか、とがっかり。しかし彼女が気を利かせて入れてくれた卵のまわりに浮かぶのは拘杞子。何やら複雑な細かい具は丹念に作ったスープを思わせる。
インスタントラーメンはあまり食べないが、これは従来のそうしたラーメンの常識を打ち破る、画期的なものだった。細麺にからまるその味は絶品である。なぜこんなものが今までなかったのか。素食のうえにうまいものが上手な台湾ならではの味だ。
袋を見れば、康師博の「麻油薬膳細麵」(純素)とある。スーパーで調べたら24元(70円)だ。
台湾のインスタントラーメンでほかに以前唯一うまいと思ったものがあり、それはレトルトの牛肉が入った牛肉麵だった。台湾の友人はそれを日本へ土産にもってきてくれたこともある。日本人には絶対珍しい味である。しかしこれはまったく種類が違う。薬膳の麵である。向こうでは高級な部類の食べ物で、とにかく体にいい。もっともインスタントがどのくらい手作りに近いのが疑問だが、お勧めの一品である。
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