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暑くなったせいか、突然オムライスが食べたくなって、トゥガナンのバリアガの村で昔遭った、地元青年のことを思い出した。
パンダナス(刺だらけのアロエのような葉っぱ)で殴り、叩きあう、彼らの有名な奇祭のときのことだ。
普段村から出ている青年たちが、このときばかりは帰省する。そんななかで、流暢な日本語で話しかけてくるバリアガの青年がいた。
バリ人はよく知り合いの日本人経営者に面倒をみてもらいながら、東京など日本国内でレストランの仕事などをして、出稼ぎをする。彼もそんなバリ人だった。聞けば、私の故郷、世田谷の三軒茶屋にいたとのこと。地元の話をしているときに、246沿いにあるオムライスのおいしい定食屋が、共通の話題にあがった。
「あそこのオムライスがうまくて、よく行きました」と青年。
今はあるかどうか知らないが、三茶の駅東口から三宿方向へ行き、右の角。
確かに私もあの定食屋のオムライスは15年もお世話になった。700円くらいで、豚肉の入った簡素ながらボリュームのあるトマト味ライスを適度に半熟タマゴがかぶっていて、サラダがついて、さらに味噌汁がある。美味くておなかがいっぱいになる。貧乏人の味方の店だった。バリ人にはきっと豚肉という点が気に入ったのかもしれない。確かにあれはバリ人好きな味だ。
しかしバリアガの青年とそんなバリのどえらい田舎で、大都会三茶の定食屋のメニュー談話に花が咲くとは思わなかった。ふたりで、「そうだよ、くいてぇな」と頷き合うのは思えば奇妙な情景だった。
いつかバリにカフェをオープンしたら、豚肉入りオムライスをつくって、トゥガナンに支店を出そう。
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バリ島





