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走路有風〜 作家・坂野徳隆の書斎からの景色
Photos & Texts (C)Narutaka Sakano 転載厳禁 *著者への連絡は上の「メッセージ」にお願いします

書庫日月潭&邵(サオ)族

夏である。日月潭である。
台北がうだるような熱鍋の底にあるとき、この標高750メートルの山中にたたずむ湖は涼風肌を撫でる別天地となる。
台湾へ行く予定があるなら、ぜひこの有名な観光地で一、二泊し、涼気ともうひとつ、その地の持つ風水パワーに浸って欲しい。
日月潭に滞在するなら水社か日月村となるが、どちらに泊っても、一度は涵碧楼、あるいはその半島近辺から対岸の景色を眺めるだろう。いわゆる「青龍直線」と呼ばれる吉景である。
慈恩塔のそびえる二龍山、そして玄奘寺、玄光寺が乗る青龍山からラルー島へ至る直線は、涵碧半島から見るとちょうど直線で蒋埠頭の公園に伸びている。
 
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この同じ景色は、日本統治時代の絵ハガキにはこのように描かれていた。
 
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小さな写真としてあるのは、ラルーに祀られた玉島神社である。
絵葉書の中の青龍直線には、当然ながら、戦後につくられた慈恩塔や寺院の姿がない。
日本時代にこの直線に言及する資料は見られないが、吉景として愛されていたところを見ると、やはり風水=人間が自然に感じる居心地のいい景観配置、であることを実感する。
現在、この青龍直線は「恋を成就させる」として、ラルーを集団結婚式場に使用した国民政府時代からの伝統的カラーでくくられている。
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育楽亭という、蒋介石の建てた東屋から見ると、まさに直線である。
 
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                                蒋介石(左)はこうして涵碧楼から青龍直線を臨んでいた。

 
しかし私がそこに立って思いを馳せるのは、日本統治時代、まだそこに大きな島影を映していたサオ族の聖地、ラルーの雄姿である。
 
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『台湾 日月潭に消えた故郷』(ウェッジ刊)
書評:
 「本書はこの小さな民族に光をあてた貴重な一冊である」「かつての日本の電力政策が一つの民族の運命を左右し、今も影響を与え続けていることを教えられる」(日本経済新聞)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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