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戦後すぐ台湾で発生した228事変の際に、台湾では影で多くの中国人(外省人)が殺された事実があり、これはあまり表に出ていない感じがする。
そのなかに、霧社事件で有名な霧社で、おそらくセーダッカ(セデック)が中国人に出草をしていた資料の記述を見つけたのは、前著『日月潭』取材中だった。
霧社には発電施設があるため、台湾電力の日本人技師が戦後も残って働いていたのだが、突然勃発した事変に、興奮したのは国民党政府に抑圧されていた本省人だけではなかった。敗戦国人となった残留日本人らの前で、日本軍の軍服に身をつつみ、蕃刀を手に現れて「中国人を殺す」と勢いづいていたのは、霧社の戦争帰りの原住民たちである。
彼らは南方で戦ったため直接中国人とは戦闘していないが、日本の教育ですっかり反中国だったため、ここぞとばかりに伝来の首狩り解禁に沸き立ったのである。彼らは人止関をとおりプーリにまで出草に出かけたというから、まるで「セーダッカ対中国人」の霧社事件版である。
本でも書いたが、このとき霧社の発電所長は外省人で、日本人技師らは彼を守るために、原住民に酒や肉をおくり、機嫌をとっている。涙ぐましい日本人の努力で、外省人所長は保護されたのである。
英雄とはこんな史実の影に隠れているものではないか。
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日月潭&邵(サオ)族






