|
暇な台湾の新年のある日、台湾の「テレビ」で『KANO』を見た。
こちらでは新年に話題の新作映画を特別放送する。しかしその放送予告CMに監督の馬志翔ではなく、プロデューサーの魏徳聖だけが出ていたのには驚いた。原住民俳優から監督になったこの作品の無名監督より、有名な彼を前面に出すほうが宣伝効果はあるだろうが、いかにも原住民を低く見ているこの台湾人社会を体現しているように感じた。
映画自体は悪くなかった。99%が日本語という印象で、日本語が堪能な監督とはいえ、制作の苦労は大変だっただろう。初めての長編監督作品としては非常に良いといえるのでは。誌的なシーンの作り方が秀悦で、嘉南大シュウ(事実とは異なるが)と合わせた流れも悪くない。欲をいえば、チームが強くなる過程や、戦中に敵投手が戻るシーンのさらなる活用などで、もっと感動的に仕上げたら、さらにいい作品になったと思う。次の作品が楽しみな監督だ。
数日後、台北の「順益台湾原住民博物館」に久しぶりに行ってみた。
プライベートな博物館で、原住民関連のものとしては台湾初のところ。
ちなみにほとんどの台湾人は、この博物館などまったく知らない。原住民が何族認可されているか、原住民が中国語を話すかどうかも知らない。つい先日も、『KANO』の監督が、無知な台湾人記者にそんな失礼な質問をされて怒っていたのを思い出す。『KANO』のなかでも、甲子園に来た原住民球児に「日本語はしゃべれるのか、蕃人」と意地悪な質問をする日本人記者がいたが、それを地でいくようなエピソードだ。
こうした実情は日本では知られていない。国民党の戦後教育で原住民に対する知識が普及せず、原住民の住む山岳部が日本時代から継承された立ち入り禁止エリアになったままだったためだ。今でも原住民に対する一般台湾人の見識、知識は非常に低いまま。台南生まれの台湾人で、『KANO』のプロデューサー魏徳聖も、知識不足の台湾人が書いた霧社事件の漫画を読んで感動し、そのまま漫画を再現するように『セデックバレ』をつくったのだから、日本人やt原住民、歴史に対する認識が誤解だらけなのは仕方ない。いっそのこと、馬志翔が『セデックバレ』を作り直したら?
さて、ここでは、サオ族が追加認可された後もここではサオ関連の追加展示もなく、見てみればその他の後認他民族のものもなかった。個人でやっているので仕方のないことだが、よく経営がなりたつものだと余計なことを考える。ちなみに、今は1階の入り口を入ったところにある奇妙な丸いかたちのディスプレイに、民族紹介のうちのサオとしてアップデートされ、そのサオのサムネイルと代表写真として出るのがキラシさん、あるいはキラシさんと奥さんだったのには驚いた。思わず写真を摂ると、係に撮影禁止だと怒られ、中国語も英語も日本語もわからぬフリをしてまた撮り、逃げる。
その後、今にも泣きそうな空のもと、博物館の裏山の有名なトレッキングコースを歩く。
エビ釣り場の上に、こんなところがあったとは、知らなかった。(下の写真は、トレッキングコース入り口の辺り)
一緒に行った、企画者の台湾人ベテラン登山家ら(!)とその後公園内で台湾式に自炊にて野外茶を飲みかわす。次は、わずか30分歩くだけで登れる(!)台湾唯一の3000メートル級の山を制覇することを約束して別れる。
山はあらゆるひとを魅了する。しかし今でも台湾人、外国人には入山許可が必要な原住民エリアはたくさんある。
|
映画



