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辛いことに遭うたび、僕はシュピースの手紙を思い起こす。
人生で二度の大戦に巻き込まれ(20歳と43歳のとき)、両方のとき収容所に入れられ、終に沈み行く捕虜輸送船と運命をともにした、悲劇の芸術家である。
「僕にとって、人生のすべては終わりのない誕生日です!」
彼の誕生日のテーブル(つまり人生のステージ)には、好むもの、好まざるものに限らず、さまざまなプレゼントが山のように積まれていく。彼はそれらをすべて受け入れ、良しも悪しきも同様に「楽しみたい」と思うのだが、あまりにもプレゼントが多すぎて、そうする時間がない。
彼は、そのことを「なんともったいないことか!」と嘆く。
そして、運命に困難を何度ぶつけられても、彼は「まるで起き上がりこぼしのように」起き上がり、くじけることはない。
人生とは、良い事と悪い事が常に交錯し、混在することで成り立つ、シリアスなステージだと、シュピースは20歳のころから実感していた。それを楽しむ術こそ芸術であり信仰であると、彼は考えた。46年の生涯を終えるまで、彼は人生という芸術と、生きている奇跡を信じる信仰に、明け暮れた。
心で思い、念じるだけで幸せになれるのだということを、信じたい。
この冷たい風が、はやく南風に変わりますように。。。
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