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走路有風〜 作家・坂野徳隆の書斎からの景色
Photos & Texts (C)Narutaka Sakano 転載厳禁 *著者への連絡は上の「メッセージ」にお願いします

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1994年のこと。僕はバリ島によく気侭に旅行し、ウブドゥあたりを定宿にしながら、さまざまな島の文化、伝統、事象に興味を持ち、資料や書物、噂話にアンテナを張っていた。フットワークも軽く、バイクでデンパサールなど一日に二度も往復できた。そんな僕の耳に入ってきたのが、平良さんという、旧日本兵の存在だった。
デンパサールに、その人はいるという、バリ人の噂だった。
日本人がバリ島における独立戦争に参加したことは聞いていたが、ゆいいつ生き残り、戦後もバリに定住しているのは、彼だけだという。
驚いた。
さっそく、デンパサールの自宅を探しに、バイクでウブドゥを出発した。

独立戦で何十人も敵を殺した、虎のように強力を秘めた、長身の翁だ、という噂を聞いていたので、どんな人が現れるのかと、玄関に立った僕は緊張した。
「日本語は最近よくしゃべるから、流暢になったんだが、ときどき忘れたらすみませんね」
といい、平良さんは気さくに笑いながら現れた。
しかしその眼は鋭く僕を品定めし、意思の強さを感じさせた。
最初は、小説を書くネタにさせてもらいたいと思い、取材をお願いした。
平良さんは後年体調の悪化とともに老衰が加速するが、当時まだとてもお元気で、矍鑠としていた。

「しかし全部話すとなると、時間がかなりかかりますね」と困惑しながらも、話し始めてくれた。
その記憶力には驚かされた。何度もご自宅に通っているうちに、これは小説のネタどころのはなしではない、と思い始めた。

こうして、平良さんの話は紡がれていくことになったのだ……。

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坂野 徳隆
坂野 徳隆
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