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シュピースが親しかったあるオランダ人学者と、平良氏が独立戦争直後にシンガラジャで邂逅した、興味深いエピソードがある。
ゲリラ戦が収束し、山を降りてシンガラジャで自転車屋をはじめた平良氏は、一人取り残された異邦人として数奇な目で見られ、やがて生活に疲れていく。
そして、憂さ晴らしに行った一杯飲み屋に、そのオランダ人がいた。
1950年代はじめ、バリ島に民間の外国人など数人しかいなかった。特に、独立戦争で敵として戦ったオランダ人でバリ島に残っていたのは、この学者だけである。
この学者、ホモセクシュアルで、女々しい男だったという。しかし、巨体で、何人も敵を殺戮してきた空手の達人たる平良氏に、真っ向から戦いを挑んできた。飲み屋での、酔っ払い二人の一騎撃ちだ。
「きさま、なんでオランダ人が、飲み屋にいやがる!」
「おまえこそ、どうして日本人がこの島に残っている!」
「くそ、外へ出ろ!」
はたして、軍配は……。
「サムライ、バリに殉ず」(講談社)に、そのエピソードを綴ってあるので、ご一読を。
しかしこのオランダ人学者がシュピースとどんな関係だったのかについては、「バリ、夢の景色 ヴァルター・シュピース伝」を読まないと、わからない。
「サムライ、バリに殉ず」(講談社)、絶賛発売中。。。
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