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2008年5月11日付「しんぶん赤旗」に、慶応大学教授 倉沢愛子氏による書評が掲載されました。
「インドネシア日本人義勇兵の半生」
本書は、インドネシアのバリ島で終戦を迎えたのち、日本軍を離脱して現地の独立戦争に身を投じた平良定三の半生を、本人からの聞き書きを中心に綴ったノンフィクションである。
終戦後、インドネシア各地で千人近い日本人がこのような形で独立戦争に参加したといわれている。(……)独立戦争に参加した残留日本兵の存在は、いわゆる解放史観を立証する根拠としてしばしば引き合いに出される。しかし、私は常々、日本人個々人の行為と、国家としての日本が何をしたのかとは分けて考えねばならないと思っている。この本の面白さは、その個々人の行為も、決して英雄的なものではなく、人間としての弱さ、迷い、日本人どうしの対立や嫉妬などがうずまいていたことを率直に描いていることである。
さらに、独立のためのインドネシア民族の闘いも、(……)独立をめぐっての住民同士の対立や裏切りが日常茶飯事であったことも、この本は描いている。
全体として感情に走らず、「語り」以外の文献も参照して史実に忠実に記述しようという著者の姿勢が感じられる。
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