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台湾の洋食は全滅だし、なんちゃって和食もほぼ全滅。ラーメンに至っては食う気もしない。
もちろん例外もあるが、おしなべてそんな状況が、私が台湾に行き始めて十年、ほとんど変わらない状況である。
自分的にはインドカレーが大好物なので、インド系人が作ったカレーとナンがないところでは酸素を失った魚のようになってしまう。香港は良かった。イギリスの産物のおかげで、特に重慶マンションの安い店にはお世話になった。家のように感じた。
しかし台湾はインドカレー屋がまったくといっていいほどなかった。
台湾でインド人を見たことがない。台湾人に、日本にはインド人がたくさんいて、うまい彼らのカレー屋がうじゃうじゃあるといっても、誰も信じてくれない。日本とインドの関係がいいこと、中村屋ボーズの話をしても信じてくれない。日本がインドから核兵器をもらって中国をやっつける相談をしている、というと、信じるくせに。。。
ところが、インドカレー砂漠の台湾に、異変を感じることがあった。
ミラマー(内湖)の地下フードコートに、台湾人が「ハオツうぅ」と勧める、本場インド人の作るカレー屋ができた、というのだ。
さっそく行ってみると、確かにガラス越しにそれらしき男がナンをかまどで焼いている。ナンも奇妙なゴマ味やガーリック味などあるし、チャパティもある。値段はこんな場所にしては高いが、日本に比べれば安い。さっそく食べてみると、カレーは60点くらい。砂漠にいたら、まずまずの味かもしれない。ナンは笑った。生地に練りこむ隠し味が足りない。しかし砂漠なら我慢できる。だが、セットにしたのが間違いだった。ついてきたのは学生食堂のスープ。つまりまずいコーンスープ状のもにグリーンピースとニンジン角切りが入っているもの。さらにサラダは超マズく、チャイだと言って出てきたのは、香港のまずいコーヒーとミルク紅茶の混ぜたような吐き気のする代物。
「でも、ここはインド人が作っている店でしょう」と同行の台湾人は私の苦い顔を見ていう。
もちろんパキかもしれないしスリランカ、バングラ、いや、ミャンマーかもしれない。どうであれ、誰が作ろうと、味のわからない客がくる国では、その程度の味しかできないわけである。
日本に帰ったら、うまいインドカレー屋に行こうと、口を拭きながら想像するミラマーの夜だった。
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