|
日月潭の本を書いてから、ある質問をよく受けるようになった。本の冒頭で紹介した蒋介石の秘密の園が龍穴にあたり、そこを訪れたときに体が軽くなり、手先が心地よく痺れる体験をしたときのことである。あの場所はどのなのか、と訊ねられるので、その場所を紹介しに、旅立ってみたい。
場所は、台湾の中心に近く、九匹の龍が養水として飲むために立ち寄るため、風水的に台湾一の地であるという日月潭のなかでも、もっとも風水のいい「龍穴」である、文武廟のあたりにある。そこは松柏崙半島、と呼ばれ、背後に孔雀のようなかたちの岡を抱く、サオ族の聖地でもある。かつてそこにはサオ発祥の神木がたっていたし、サオの交易の重要な場所でもあった。
文武廟のすぐ南、歩いてすぐのところにこのような入口がある。目立たないが、最近このようにきれいにされ、以前はまったくなにもなかったときに比べれば、一目瞭然の「トレール入口」という感じにつくられている。
看板をアップするとこうなる。
この遊歩道を入れば、すぐに蒋介石の秘密の園が現れる。
ガイドブックには載らない、奇妙な公園「中正広場」である。蒋介石は死後、遺言で息子の経国にこの公園をつくらせた。実際訪れたら、なぜこんな目立たないところに、と思うだろう。
実際、そこは蒋介石が日月潭を向く銅像がたつだけの、何もないところなのである。
しかし、蒋介石はここの特別な風水の力を借りて、死後も台湾に影響力を与えようとしていたと思われる。
この公園から下ること10分、旅人は鬱蒼とした原生林のなかを心地よい龍気に触れながら歩くことになる。私が経験したその感覚は、ちょうどこの写真の傾斜と、下の湖へつづく道との交差部分である。
時間のかからないこの散策は、最近トレールが整備されてからとても便利になった。
私が本に書いたことで、少なくとも日本人旅行者にはもう秘密ではなくなった。あなたも、ここで龍気を感じられるだろうか。
ただ、実際に行くと、トレールは勾配があり、ひとけのないところなので、ひとりで行くことは避けたい。
初夏のこのとき、私は遠雷の音を聴きながらそぞろ歩き、疲れた足をふいにとめると、稲光が誘う松林のあいだに美しい風景を見た。
|
過去の投稿日別表示
-
詳細
2012年04月24日
全1ページ
[1]
コメント(0)
全1ページ
[1]



